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活用事例

大林組がタフパッド 4Kを徹底検証
2013年12月3日公開
A3図面やCIMモデルを現場最前線で活用

大林組がタフパッド 4Kを徹底検証

タフパッド活用ガイド(2) 大林組 モニター事例

大林組は全国16カ所の建設現場に、3Dモデルによって構造物の設計・施工を行う新手法「CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)」を導入している。同社は三重県四日市市で施工中の吉崎ポンプ場の現場に、パナソニックが開発した20型タブレットパソコン「タフパッド 4K UT-MB5」を持ち込み、徹底検証した。



A3図面を囲んでの打ち合わせが楽に

「タフパッド 4K UT-MB5」を現場で使う大林組の下屋陽八郎所長(右)と杉浦伸哉課長(左)
「タフパッド 4K UT-MB5」を現場で使う大林組の下屋陽八郎所長(右)と杉浦伸哉課長(左)

「これだと土留め壁を補強する切り梁に、ショベルカーのアームが当たってしまう。地上からクラムシェルを下ろして掘削する方法に変えよう」──四日市市南部にある大林・穂積・丸谷JV(以下、大林組JV)現場事務所では、下屋陽八郎所長らがパナソニックのタブレットパソコン「タフパッド 4K UT-MB5」を囲み、今後の施工方法を検討していた。

 画面には深さ33mの土留め壁や切り梁、仮設柱などが精密に描かれた3Dモデルが表示されている。指先でタフパッドの画面をタッチすると視点が地上や地下に移動したり、視野を拡大・縮小したりする。まるで実際の工事現場を見るように、3Dモデルを様々な角度からチェックし、施工法を検討しているのだ。

タフパッド 4K UT-MB5を囲んで施工方法を検討する。大林組JVの現場事務所で
タフパッド 4K UT-MB5を囲んで施工方法を検討する。大林組JVの現場事務所で
A3判図面がほぼ原寸で表示できる20型液晶パネル視野角は176度以上で、打ち合わせ机を囲むメンバー全員がクリアに見られる
A3判図面がほぼ原寸で表示できる20型液晶パネル視野角は176度以上で、打ち合わせ机を囲むメンバー全員がクリアに見られる

 大林組JVが建設しているのは、吉崎ポンプ場だ。周辺地域42ヘクタールに降った雨水を伊勢湾に排水する役割を持つ。ポンプは建屋の地下空間に据え付けるため、最深部では約15.35mにわたって地盤を掘り下げる必要がある。

 しかし現場のすぐ隣は伊勢湾のため、地盤からの出水が予想される。水を食い止めるために深さ33mの地中連続壁を建設し、内部を掘り下げていく計画だ。

 タフパッド 4K UT-MB5の画面は20インチで3840×2560ドットの「4K」の高解像度液晶パネルを搭載している。そして液晶画面の視野角は176度以上ある。「A3図面をほぼ原寸で表示でき、まるで紙の図面のようにくっきりと見やすいのがいいですね。360度どの方向からも斜めからもよく見えるので、現場スタッフが図面を囲んで検討するのに便利です」と下屋所長は語る。

複雑な3Dモデルもサクサク扱える

 大林組の土木部門では、2012年4月からCIMを自主的に導入し、施工の生産性向上などの効果を上げている。CIMとは、コンピューター内に構造物の3Dモデルを作りながら、設計や施工管理などを行う最新の手法だ。

 大林組JVの主任技術者、岡部賢孝氏はこの工事の現場事務所ができてから着工までの間にCIMソフトの使い方をマスターし、施工段階ごとの3Dモデルを作成した。施工方法の打ち合わせで、タフパッド4K UT-MB5に表示させていた仮設材のモデルも岡部氏が作ったものだ。

「図面と違って3Dだと現場の状況が誰にでもよくわかります。発注者との施工方法についての打ち合わせや、近隣住民への工事説明でも3Dでの説明はわかりやすいと好評でした」と下屋所長は語る。

CIMを使った施工方法の検討。ショベルカーのアームが切り梁に当たることが判明(左)。4Kの高解像度モニターは細部までくっきり(右)
CIMを使った施工方法の検討。ショベルカーのアームが切り梁に当たることが判明(左)。4Kの高解像度モニターは細部までくっきり(右)

「複雑な仮設材などの3Dモデルは、パソコンのスペックが低いとなかなかスムーズに拡大・縮小や視点の移動などができません。その点、タフパッド 4K UT-MB5は全くストレスなく、3Dモデルを扱えます」と岡部氏が続けた。

 タフパッド 4K UT-MB5はWindows 8.1 Proで動作し、CPUにはIntel® Core™ i5-3437U vPro™ プロセッサー 1.90 GHzプロセッサーを使用している。グラフィックス ・プロセッサーにはNVIDIA® GeForce® 745Mを搭載。RAMは最大8GB、データ保存用のSSDは最大256 GBという、ワークステーション並みの仕様だ。

 大林組の本社も、各現場でのCIM活用を強力にバックアップしている。同社土木本部本部長室 情報企画課長の杉浦伸哉氏はこの日、吉崎ポンプ場の現場を訪れていた。

「基礎杭とポンプ場の建屋の接続部には、非常に多くの鉄筋が密集しています。鉄筋が干渉しないように鉄筋をCIMソフトで3Dモデル化し、干渉チェックを行いました。こうした作成に時間のかかる3Dモデルの作成や検討は、本社が支援しています」と杉浦課長は語る。

Windows版CADが高精細画面で使える

20型の大型画面とハイスペックな仕様を現場最前線に持ち出して使える
20型の大型画面とハイスペックな仕様を現場最前線に持ち出して使える

 施工段階では現場や地盤の状況に応じて設計変更がよくある。これまでは紙の図面上に修正点を赤ペンで描き、CADオペレーターに依頼して図面を修正する方法をとっていた。

「机上で使っているCADソフトをそのまま現場に持って行って使えるのが最大のメリットですね。またUSBメモリーを使ってデータを受け渡しできるなど、普通のパソコンと同じように使えるのもわかりやすいです」と下屋所長は言う。

USB対応の様々な周辺機器を使える
USB対応の様々な周辺機器を使える

 吉崎ポンプ場の建設現場では、現場内に無線LANを設置し、現場の最前線でもネットワークに接続できるようになっている。CAD図面を修正すると、すぐに無線LANでサーバーにアップでき、最新の図面を関係者全員で共有できるのだ。

「杭の打設位置などを図面に合わせて現場で位置決めする『墨出し』という作業では、現場でCAD図面を開いて基準となる点からの距離を求めることもあります。20型でしかも4Kのモニターを搭載したタフパッド 4K UT-MB5は、図面上の2点を同時に大きく表示しながら、正確にポイントをクリックできるので、墨出し作業にも便利に使えそうですね」と岡部氏は語る。

 専用の電子タッチペン(オプション)を使うと、筆圧に応じてCAD図面上に手書きでメモや修正事項を記入することができる。メモをそのままCAD図面上に張り付けて無線LANで現場事務所のCADオペレーターなどに送ると、現場での点検とCAD図面の修正を同時並行で行うこと可能だ。

軽量だから現場に持ち込んでその場で確認(左)。専用の電子タッチペン(オプション)で図面への朱書きや、写真の上からスケッチすることも可能(右)
軽量だから現場に持ち込んでその場で確認(左)。専用の電子タッチペン(オプション)で図面への朱書きや、写真の上からスケッチすることも可能(右)

 「トンネル現場では、『切り羽』という掘削面に現れた地層の写真をデジタルカメラで撮り、それを下絵としてパソコン画面上で断層の線などをスケッチする業務があります。筆圧に応じて太さが変わるタッチペンは反応もいいので、切り羽のスケッチにも使えそうです」(杉浦氏)。

20型のタフなボディーかつ世界最軽量・最薄

 20型のタブレットパソコンというとかなり大きい。しかしその重量は約2.4kg、厚さは12.5mmと世界最軽量・最薄(※)なのだ。軽くて薄いので、気軽に持ち運べる。

 また、タフパッドならではの頑丈設計だ。万一、動作時に底面から落とした場合を想定し、76cmの高さからの落下試験(動作時、底面方向)を実施。スイッチをオフにした状態で30cmの高さから角から落とす試験も実施している。

 20型の大画面を持ち、しかも軽量・頑丈設計のタフパッド 4K UT-MB5は、様々な業務で活躍する新しいタイプのタブレットパソコンだ。現場最前線のIT化やCIMの活用を推進する原動力を秘めたマシンと言えるだろう。

※20型液晶搭載タブレットにおいて。(2013年9月6日、パナソニック調べ)

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