豊田通商
グローバル部品・ロジスティクス本部 グローバル部品米州・欧州部
StreamsプロジェクトG グループリーダー
廣田 晶久 氏
「サプライチェーンの強化は、全体像の可視化から始まります」と語るのは、豊田通商 グローバル部品・ロジスティクス本部の廣田晶久氏だ。
豊田通商
グローバル部品・ロジスティクス本部 グローバル部品米州・欧州部
StreamsプロジェクトG グループリーダー
廣田 晶久 氏
豊田通商は、トヨタグループを中心とするサプライチェーンの構築、管理、運用を担ってきた。最近は同グループ以外の顧客も増えており、産業・農業機械や家電、航空など、様々な業界の企業から相談を受けている。
サプライチェーンを強化するには、まずTier1から末端のサプライヤーに至るまで、サプライヤーの情報を集めて可視化し、全体像を捉えることが必要だ。それによってリスクの分析が可能になり、課題を抽出できる。
例えば、ある部品を1社のみから購買しているケースで、その1カ所が止まるだけで、生産全体が止まってしまうリスクがある。このような課題が見つかれば、在庫の量を増やしたり、2社以上のサプライヤーから調達する形に変えるなどの対策を講じる。同様に、強制労働や児童労働といった人権侵害が懸念されるサプライヤーはないか、カーボンニュートラルへの障害になる企業はないかなど、様々な角度からサプライチェーンを評価していく。
その一方、世界的な潮流として「グローバリズムから保護主義への移行」がある。従来は、世界で最も安価な場所で材料を調達し、最も有利な場所でまとめて製品を製造し、世界中の市場に運んで販売する「グローバリズム」的な考え方が主流だった。しかし、不確実性が高まっている今日のビジネス環境において、それは必ずしも効率的とは言えなくなっている。米国、欧州、アジアなど、市場のブロックごとに調達、製造、販売の機能を持たせてリスクを分散し、サステナビリティを高める「保護主義」的な潮流が加速している。サプライチェーンの強化は、こうしたトレンドもにらみながら考えていく必要がある。
「サプライチェーンの可視化につまずき、その先の課題解決に進めない企業が増えています」(廣田氏)。サプライチェーンのデータ収集がうまくいかない原因はいくつかある。よくあるのは、Tier1に対して、Tier2以下の情報収集を一任してしまうことだ。これでは情報収集の負担が特定の企業に集中し、なかなか進まなくなる。
調達先の情報は、当該企業の競争力の源泉になっている場合もある。情報提供に積極的になれない企業も多い。また、サプライチェーンの情報を集める作業には時間と労力がかかるため、そこに投資する明確なインセンティブがなければ協力してくれない。情報を収集する方法やルールが確立されていなければ、手探り状態になり結果的にさらに工数がかかる。サプライチェーンの可視化を進めるには、こうした数々の阻害要因を取り除くことが必要だ。
さらに困難なのは、一度情報を収集しても、常にメンテナンスしていかなければ情報がすぐに陳腐化してしまうことだ。
可視化だけでもこれだけの課題があるが、その先にある課題の抽出と解決となると、さらに難しくなる。サプライチェーンを分析し、リスクと課題を洗い出す。その結果、リスクの高いサプライヤーについては在庫を積み増したり、2社購買に変更をする必要があることは、すでに述べた。しかし、在庫を増やすにしても、リスク回避とコスト増のバランスをどう考え、適正な在庫量をどう決めればよいのか。新たなサプライヤーは、どうやって探せばよいのか。相手先の技術力や品質を見極めるには、工程監査も必要になるだろう。新たに取引口座を作るにしても、時間と労力がかかる。これを1社ごとにやっていくとなると、容易ではない。
こうした課題を解決するため、豊田通商は「Streams」という新たなサービスを始めた。サプライチェーンの可視化から、課題の抽出、解決に至るまで、ワンストップで支援する。
豊田通商
グローバル部品米州・欧州部 欧州地域グループ
課長補
河邑 陽介 氏
まず、サプライチェーンの情報収集と可視化、課題の分析までをSaaSの「Resilire(レジリア)」で進める。豊田通商自身も活用し、効果と機能を熟知している可視化基盤だ。豊田通商 グローバル部品・ロジスティクス本部の河邑陽介氏は、「過去の経験で使用してきた可視化基盤の中で、最も実効力の高い仕組みです」と述べる。
Resilireの第1の特徴は、オンラインで情報を管理する権限を、サプライチェーンのすべての企業に与えることできることだ。各社が自社情報のみを入力すれば、全体像が自動的に完成するため、特定の企業に情報収集の負担が偏らない。また、お互いの情報を閲覧、編集できる権限を細かく設定できるため、見られたくない企業に対しては情報を守ることもできる。メンテナンスの労力を各社で分担しながら、常に最新の可視化を維持できるのだ。
第2の特徴は、海外情報も含む、リスク情報をリアルタイムに把握できることだ。気象庁や各種SNSなどを使ってリスク情報を常に監視し、災害や事故などがあった際はすぐにアラートを出す。Resilireでサプライチェーンの情報を一元管理しながら、その全体像を樹形図で可視化し、課題を客観的に分析できる。
全体像の可視化と課題の分析に続き、具体的な課題解決に入る。まず、可視化された現状のサプライチェーンが抱えるリスクについて、様々な観点から分析する。例えば、台風や地震、洪水のような自然災害リスク、企業の倒産のような財務リスク、資源不足や戦争のような地政学的リスクだ。
こうした分析を基に、改善策を提案する。改善策では、前述したリスクだけでなく、カーボンニュートラルや調達業務のDXのような視点も入ってくる。Streamsの最大のメリットは、こうしたサプライチェーンの改善において豊田通商のリソースとノウハウを活用できることだ。
グローバル部品ロジスティックス本部は世界28カ国、49カ所に営業拠点を持ち、59カ所に自社倉庫を保有しており、自動車部品を中心に貿易実務などのオペレーション業務を集約・効率化し、更に生産拠点の最適化の提案など、サプライチェーン構築のパートナーとして支援している。
一例として、Streamsでは世界中のサプライヤーデータ保有しているため、その中からサプライチェーン強靭化に向けた最適なサプライヤー提案が出来る。ボルトからモーター、バッテリー、半導体など、様々な部品を世界中から調達できるというわけだ。
豊田通商は世界中で多くのサプライヤーと既に取引があるため、新たに取引口座を作る必要はない。さらに、同社が世界中で確立した信頼できるオペレーションと、徹底的に効率化した最適物流のメリットも享受できる。コストを抑えながら、スピーディにサプライチェーンを強化できる。
欧州や米国では、カーボンニュートラルや人権問題などに関してサプライチェーンの管理を強化する新たな方針や法規制が次々に出されている。Streamsを利用すれば、そうした動きも先取りして対応できる。
Streamsはサプライチェーンを可視化し、そのデザインからオペレーション支援まで、全領域にわたってサポートする。サプライチェーンを、効率的かつスピーディに強化したい企業にとって、1つの有力な選択肢となるだろう。
豊田通商
グローバル部品米州・欧州部 欧州地域グループ
課長補
河邑 陽介 氏
01可視化経営の現在地

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