EDR/XDR導入・運用のハードルをどう乗り越えるか。最近はEDR/XDR製品において、新たな機能実装が進んでいる。それがAIの活用だ。
イーセットでもAIを実装した監視サービス型XDRソリューション「ESET PROTECT MDR」を提供している。脅威の可能性があるリスクを自動で検知し、リアルタイムに通知する。人が行っていたシステムやネットワークの監視、振る舞い分析などの作業をAI実装ツールが行う仕組みだ。
「AIは学習によってその能力を高めていくため、検知力が非常に高い。業界トップクラスの脅威ブロック率を誇り、他社に比べて大幅に低い誤検知率をマークしています。これにより、セキュリティーの監視・運用業務も大幅に効率化できます」と曽根氏は語る。
2024年には生成AIベースのアシスタント機能「ESET AI Advisor」の提供も開始した。チャット形式の対応により、インシデント解説と推奨対応を日本語で分かりやすく提示する。「リスクの識別や分析、その対応方法を適切に把握し、作業できるようになるため、セキュリティースキル不足を補い、重大インシデントに対する対応方針の意思決定を迅速化します」と曽根氏は続ける。
なぜESETはこうした機能を実現できるのか。同社はスロバキア共和国に本社を構える1992年創業のセキュリティーベンダー。セキュリティー業界で30年以上の実績と経験があり、グローバルで40万社以上の法人顧客を持つ。日本でも長年にわたり事業を展開しており、国内納入実績は累計58万件を超える。ユーロポール(欧州刑事警察機構)の中でサイバー犯罪対策の活動を行う「EC3アドバイザリーグループ」の一員であり、サイバー空間の安全と健全な発展のための活動にも継続的に取り組んでいる。
この知見とノウハウを生かし、AIや機械学習の活用も早くから進めてきた。1997年にニューラルネットワークを使用した製品提供を開始して以降、新たな学習データでモデルのファインチューニングを継続。AIを活用して検知したデータから相関分析を行い、重要度の高いインシデントを検出する高度な技術を開発した。そこにLLM(大規模言語モデル)を搭載することで、インシデントに対して対話形式でユーザーをサポートするESET AI Advisorを実現したわけだ。「AIはデータが命といわれます。技術のブラッシュアップを重ね、そこに国内外の多くの導入実績から得られる膨大なデータを掛け合わせることで、深いインサイトを創出することができます」と曽根氏は強みを述べる。
AIはセキュリティー監視を半自動化し、より早期での脅威検知が可能になる。メリットは大きいが、運用プロセスのすべてをAI任せにできるわけではない(図1)。過検知や誤検知もゼロではない。「AIでのアラート検知後、人による精査は現時点では避けられないプロセスです。最終的には人による意思決定が不可欠です」と曽根氏は主張する。