Gemini&Vertex AIによる
RAGで課題を解決
こうした状況のNJSに伴走し、課題解決に導いたのがアイレットだ。日本のクラウドインテグレーターの先駆けである同社では、クラウド移行支援から構築/MSP、アプリケーション開発、UI/UX デザイン制作に至るまで、幅広い領域におけるソリューションを提供。2500社以上のクラウド導入実績を誇る。
「NJS様の課題を解決するアプローチとして、今回当社が採用したのが、Google Cloudの生成AI『Gemini』とRAG機能を実現するサービス『Vertex AI Agent Builder』(以下、Vertex AI)です」とアイレットの加藤 翔太氏は話す。
Geminiでは100万ものトークン(2025年7月時点)がサポートされるため、データ分割によって意味が失われずに済む。また、Vertex AIを用いることで、ベクトル検索の仕組みを独自につくりこむ必要もなくなる。テキスト・動画・音声・画像・PDFなどの多様なファイルを取り扱える上に、他社モデルと比較して低コストで利用できるのも大きなメリットだ。
「NJS様では、精度で苦労された経験があるため 、200件分のドキュメントを用いた検証も実施し、精度の高さを実感していただきました」と加藤氏は続ける。
実装されたシステムは非常にシンプルだ。まずクラウドストレージ上にそのままドキュメントを格納する。以前のように、わざわざ自前でベクトル化を行う必要はない。これと並行して、Vertex AIが検索インデックスを作成してRAGを構築。これにより、質問に対して最適な情報をインデックスから探せるようになる。あとはチャットに入力した内容をVertex AIに渡せば、自然言語で回答を生成してくれる。
「これらの仕組みにより、回答精度は劇的に向上。また期間についても、Google Cloudのマネージドサービスと当社のパッケージソリューションを組み合わせることで、お申し込みからわずか1カ月で納品することができました」と加藤氏は強調する(図1)。
図1 Gemini&Vertex AIで高精度なRAGを構築
Google Cloudが提供するGeminiとVertex AIを活用することで、社内データを活用したRAG環境を実現。従来の課題であった回答精度を大きく高めることができた
なお、ここで用いられた同社のパッケージサービスが「Google Cloud かんたん AI パック」である。このサービスはGemini&Vertex AIを活用したRAGチャットボットを容易に実現するソリューションで、サーバーレス構成による運用負荷軽減、BigQuery+Looker StudioまたはLookerによる分析機能、低廉なコスト、柔軟なカスタマイズ性など、数多くの特長を備えている。この結果、NJSのニーズにも迅速に応えることができた(図2)。
図2 RAGチャットを容易に構築できる「Google Cloud かんたん AI パック」
アイレットが提供する「Google Cloud かんたん AI パック」は、Vertex AIを用いたRAGチャットボットを実現する製品だ。画面は勤怠管理業務への適用例だが、このようなシステムを短期間で開発できる
ただし、生成AIの導入後に課題となる点もあるという。それは、生成AI活用をいかに社内に浸透させるかという点だ。「生成AIを生産性向上や価値創出につなげていくためには、できるだけ多くの人に使ってもらう必要があります。そこでNJS様でも、推進役となるAIアンバサダーの任命や、関心を持つ人を増やすための取り組みなど、様々な施策を検討されています。このようにして利用頻度を高めることで、自律的な生成AI活用が行える組織を目指されています」と加藤氏は話す。