Wind River Cloud Platformは、先に紹介したエッジ環境の要件を網羅的に満たしている(図2)。
図2 エッジ環境の構築・運用時の課題とWind River Cloud Platformの特長
例えば低遅延の実現に向けては、ホストOSにリアルタイムパッチを用意。同時に、リアルタイムパッチの性能を最大化するための改善も継続的に実施している。「たゆまぬ取り組みによって、安定した高性能と低遅延を実現し続けています」と観音氏は述べる。
独自のアーキテクチャーによって、仮想マシン上で動くレガシーシステムも、コンテナ上で動く新しいシステムも共存可能だ。複数のソフトウエアバージョンを混在させることもできる。OTとITの融合をスムーズに行えるのはもちろんのこと、既存の資産を生かしながらクラウドネイティブ環境へ移行する際にも役立つだろう。企業・組織の柔軟なデジタル戦略を後押しする。
「サーバー環境にはハイパーコンバージド構成を採用しているため、Kubernetesで求められる複数の機能をサーバー1台に集約可能です。フットプリントや導入コストを抑えられるほか、スモールスタートも可能です」(観音氏)。さらに、一般的な仮想化環境はCPUソケット数やコア数、あるいは仮想マシンの数に応じてライセンス料が発生するが、Wind River Cloud Platformはノード単位のライセンス体系のため、コスト予測も立てやすい。
加えて、オープン性と移植性を重視した設計も特徴だ。商用利用可能なオープンソース技術をベースにしており、ほかの環境へのマイグレーションにも柔軟に対応する。「特定ベンダーの仮想化基盤などに縛られることなく、将来の選択肢を確保できます。ウインドリバー自身がオープンソースコミュニティに積極的に貢献することで、その品質向上にも努めています」と観音氏は続ける。
既に多くの企業がWind River Cloud Platformを活用し、OTとITの融合を加速している。米国の通信大手ベライゾンはその1社だ。それまで専用ハードウエアを使っていた5G基地局システムを汎用サーバーへ移行し、アプリケーションもコンテナ化。数万台規模のサーバーが稼働する世界最大規模の5G仮想化基地局をWind River Cloud Platform上で実現し、遅延のない高品質な5Gサービスを提供しているという。
また、携帯通信大手のBoost Mobileは、2万以上ある既存アプリケーションの新たな基盤としてWind River Cloud Platformを採用し、段階的に移行している。システムのダウンタイムを最小化しながら、安全かつ効率的な移行を進めているという。「Open RANにおける通信業界最大規模のCaaS(Container-as-a-Service)化プロジェクトの成功例として、このお客様の取り組みは多方面から注目を集めています」と観音氏は紹介する。
移行の際はウインドリバーが技術支援も行う。単にプラットフォームを提供するだけでなく、その価値の最大化までを包括的にサポートするという。
ビジネスの変化に即した柔軟なシステム活用の実現、そしてAIをはじめとする先進テクノロジーの価値を取り込むために、OTとITの融合は不可避の取り組みといえる。多くの強みを備えたWind River Cloud Platformは、取り組みを検討する企業にとって有力な選択肢となるだろう。