ITインフラSummit 2025 Summer -複合AIシステム時代の、ITインフラの条件- Review

クラウド基盤最適化 Forum
ウインドリバー

OTとITをクラウドテクノロジーで融合する
「Wind River Cloud Platform」

ウインドリバー株式会社 営業技術本部 フィールドアプリケーションエンジニア 観音 洋生氏

デジタル化が進む中、これまで分かれていたOT(制御・運用技術)とITの密な連携が求められている。しかし、その実現は一筋縄ではいかない。耐用年数が長くレガシーなシステムが多いOTと、コンテナやAIなどの先進的なITをどう融合・共存させるかは多くの企業にとってクリアすべき問題だ。ウインドリバーは、革新的なプラットフォーム製品「Wind River Cloud Platform」によって最適なエッジ環境の実現を支援している。


OTとITの融合に向けて
前提になるエッジ環境

OTの世界で、ITとの融合を目指す動きが活発化している。ものづくりの現場や社会インフラなどを支えるOTと、ITが密に連携することで、設備稼働データの収集・分析などのDXの取り組みを加速できるようになる。これにより、作業の効率化や自動化、新サービス創出の可能性が広がるからだ。

「OTとITの融合においてカギを握るのが、『エッジ環境をどう構築するか』ということです。OTはその性質上、わずかな遅延も許されないことが多くあります。例えば、パブリッククラウドでは通信のレイテンシーがボトルネックになる場合があります。このような場合、オンプレミスやプライベートクラウドなどにエッジ環境を構築することが、課題解決のカギになるのです」とウインドリバーの観音 洋生氏は説明する。

エッジ環境では、レガシーなワークロードと最新のワークロードが共存できることが重要な要件となる。OTシステムは長期間使用されることが多く、その基盤には旧バージョンのシステムや仮想マシンが多数使われているからだ。コストや運用管理負荷を最適化するためには、それらの技術とコンテナなどのクラウドネイティブ技術の差異を吸収し、統合的に実装できる基盤が必要になる。

「また、OTとITの融合が進むほど仕組みや連携パターンは多様化していきます。将来的な拡張やスケールアウトが可能なこともエッジ環境の要件といえるでしょう。多様な製品・技術を選択できるよう、特定のベンダーに依存しない仕組みにしておくことも大切です」と観音氏は言う。

仮想マシンとコンテナを
1つのプラットフォームで稼働

このようなニーズに対し、ウインドリバーが提供しているのが「Wind River Cloud Platform」である。仮想マシンとクラウドネイティブなコンテナ環境を、単一のオンプレミスのプラットフォーム上で稼働させられる。これにより、統合的な活用・運用を実現するものだ(図1)。

図1 Wind River Cloud Platformの構成イメージ

図1 Wind River Cloud Platformの構成イメージ

仮想マシン環境にはKubeVirtとOpenStackの2つを提供する。コンテナ環境には業界標準のKubernetesを採用した。オプションとしてオーケストレーション機能や監視機能も提供。これらはすべてWind River Cloud Platform Core Services上で統合的に運用可能だ

同社は航空・宇宙・防衛・産業機器・医療機器・自動車・通信など、ミッションクリティカルなシステム向けのソフトウエアやサービスを提供するソリューションプロバイダーである。主力製品のリアルタイムOS、商用組込みLinux、IoTおよび組込み向けOSは世界での売上トップシェアを誇る

「ミッションクリティカルなOTを支えてきた高信頼の製品・技術が、当社の大きな強みです。そこにITの仮想化技術を取り入れることで、これまでつなぐことが難しかったOTとITのデータ連携が可能になります」と観音氏は言う。

プラットフォームのベースになる「Wind River Cloud Platform Core Services」は、DebianをベースにしたホストLinux OS上に冗長構成やソフトウエアアップデートなど、クラウド基盤の運用に必要な機能を提供する「StarlingX」を実装している。オプションの「Conductor」はクラウドプラットフォームをゼロタッチで構築するためのオーケストレーション機能。同じくオプションの「Analytics」は、クラウドプラットフォームからデータを収集し、状態の可視化や異常検知を行う監視機能を提供するものだ。

※2025年VDCレポート「IoT & Embedded Operating Systems( IoTと組込みOSの世界市場)」

コストを抑制しつつ、
低遅延なエッジ環境を構築可能

Wind River Cloud Platformは、先に紹介したエッジ環境の要件を網羅的に満たしている(図2)。

図2 エッジ環境の構築・運用時の課題とWind River Cloud Platformの特長

図2 エッジ環境の構築・運用時の課題とWind River Cloud Platformの特長

例えば低遅延の実現に向けては、ホストOSにリアルタイムパッチを用意。同時に、リアルタイムパッチの性能を最大化するための改善も継続的に実施している。「たゆまぬ取り組みによって、安定した高性能と低遅延を実現し続けています」と観音氏は述べる。

独自のアーキテクチャーによって、仮想マシン上で動くレガシーシステムも、コンテナ上で動く新しいシステムも共存可能だ。複数のソフトウエアバージョンを混在させることもできる。OTとITの融合をスムーズに行えるのはもちろんのこと、既存の資産を生かしながらクラウドネイティブ環境へ移行する際にも役立つだろう。企業・組織の柔軟なデジタル戦略を後押しする。

「サーバー環境にはハイパーコンバージド構成を採用しているため、Kubernetesで求められる複数の機能をサーバー1台に集約可能です。フットプリントや導入コストを抑えられるほか、スモールスタートも可能です」(観音氏)。さらに、一般的な仮想化環境はCPUソケット数やコア数、あるいは仮想マシンの数に応じてライセンス料が発生するが、Wind River Cloud Platformはノード単位のライセンス体系のため、コスト予測も立てやすい。

加えて、オープン性と移植性を重視した設計も特徴だ。商用利用可能なオープンソース技術をベースにしており、ほかの環境へのマイグレーションにも柔軟に対応する。「特定ベンダーの仮想化基盤などに縛られることなく、将来の選択肢を確保できます。ウインドリバー自身がオープンソースコミュニティに積極的に貢献することで、その品質向上にも努めています」と観音氏は続ける。

既に多くの企業がWind River Cloud Platformを活用し、OTとITの融合を加速している。米国の通信大手ベライゾンはその1社だ。それまで専用ハードウエアを使っていた5G基地局システムを汎用サーバーへ移行し、アプリケーションもコンテナ化。数万台規模のサーバーが稼働する世界最大規模の5G仮想化基地局をWind River Cloud Platform上で実現し、遅延のない高品質な5Gサービスを提供しているという。

また、携帯通信大手のBoost Mobileは、2万以上ある既存アプリケーションの新たな基盤としてWind River Cloud Platformを採用し、段階的に移行している。システムのダウンタイムを最小化しながら、安全かつ効率的な移行を進めているという。「Open RANにおける通信業界最大規模のCaaS(Container-as-a-Service)化プロジェクトの成功例として、このお客様の取り組みは多方面から注目を集めています」と観音氏は紹介する。

移行の際はウインドリバーが技術支援も行う。単にプラットフォームを提供するだけでなく、その価値の最大化までを包括的にサポートするという。

ビジネスの変化に即した柔軟なシステム活用の実現、そしてAIをはじめとする先進テクノロジーの価値を取り込むために、OTとITの融合は不可避の取り組みといえる。多くの強みを備えたWind River Cloud Platformは、取り組みを検討する企業にとって有力な選択肢となるだろう。


問い合わせ

ウインドリバー株式会社
URL:www.windriver.com/japan/cloud-platform/contact
E-mail:info-jp@windriver.com