特別トップインタビュー
Vicor

第5世代電源技術と知財戦略で築く

次世代イノベーションを拓く
48V時代の電源技術
さらなる飛躍の年に

Vicor
日本法人 代表取締役社長
米国本社 バイスプレジデント

堂園 雄羽

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電源モジュールメーカーのVicor は、圧倒的な電力密度・小型・高効率を追求する企業風土から、より顧客との技術共創を推進する事業体制へと進化を遂げている。航空宇宙・防衛、インダストリアル事業の堅実な成長に加え、車載事業では量産を開始。AI を支えるハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)事業では、知的財産(IP)ライセンス事業の拡大など、サステナブルな成長基盤の強化が進んでいる。日本法人代表の堂園雄羽氏に、第5世代製品をはじめとする展望を聞いた。

2025年の事業環境を振り返り、貴社の業績とそれを支えた技術トレンドについて聞かせてください。

堂園 AIデータセンターやEVといった最先端分野において、当社が長年提唱してきた48V電源アーキテクチャーが、業界標準として広く受け入れられてきたことを実感した1年でした。48Vは自動車以外の産業アプリケーションからも注目され、導入が進んでいます。従来の12Vでは対応が難しい大電力を効率的に扱う上で、理にかなう流れだと考えています。

 この潮流に乗る形で、当社の事業も共に成長しました。第3四半期の売上高は1億1040万ドルに達し、その中核を担ったのが48V関連のソリューションです。オートモーティブ分野では、長年の取り組みが実を結び、当社の車載グレード製品を搭載した欧州OEMの車両が量産に入りました。

 また、市場の要求に応えるため、超小型かつ高効率の48Vから12VのDC-DCコンバータ「DCM3717」などの新製品もリリースしました。お客様のニーズに真摯に向き合い、新たな価値提供を実現してきた1年であったと感じています。

 事業全体が堅調に拡大する中で、もう一つの大きな進展がIPライセンスの運用です。

IP運用も収益の柱に

好調な業績の中でも、特にIPライセンス事業に関する2025年10月の発表は注目を集めました。

堂園 IPライセンス事業は、当社の収益基盤の重要な柱の一つです。当社の特許技術が適切に活用されるための取り組みの中で、米国国際貿易委員会(ITC)が限定的排除命令を発令したことが契機となり、大手OEMやハイパースケーラー各社との間でライセンス契約の合意が進みました。2026年までに3億ドル規模の収益が見込まれます。

 これは、Vicorが培ってきた垂直電源供給(VPD)などの技術がHPCの中核技術として認められた結果だと受け止めています。これらの技術は、パートナー各社の新たな製品設計やシステム最適化を支える基盤技術として活用されており、電力供給の最適化の後押しをしています。

 第3四半期では、ライセンス収益が当社の四半期研究開発投資額を上回る水準となりました。

 我々のビジネスモデルの根幹は、収益の18%を投じる、研究開発によるイノベーションにあります。IPライセンスの運用は、その成果を守りながら、さらに次の当社の技術革新へとつなげていくための重要な要素だと考えています。

第5世代を生む開発哲学

次世代の電源技術や製品について聞かせてください。

堂園 当社の成長を次の段階へ導く鍵となるのが、次世代コンバータ「第5世代製品群」です。

 米国マサチューセッツ州アンドーバーの新工場「ChiPファブ」が本格稼働を開始し量産体制が整い、2026年にはパッケージング技術「ChiP(Converter housed in Package)」を活用した第5世代新製品群のリリースを控えています。小型フットプリントで超薄型パッケージのコンバータは、HPCのASICとの親和性に優れ、従来を超える高効率・大電流密度を実現します。成長著しいHPC・データセンターの電源システムを引き続き支えることができるでしょう。

第5世代という先進的な電源技術を市場に展開する上で、どのような点に注力されますか。

堂園 当社のビジネスは、通常のモノ売りにとどまりません。お客様と共に“次の時代にどのような価値を生み出すか”という構想段階から議論を重ね、次世代の業界標準を共に創るビジネスモデルが多いことが特徴です。性能の追求だけにとどまらず、お客様の3年後、5年後、さらには10年後を見据えた次世代システムのアーキテクチャーの中で、「我々の技術をどのように生かせるか」、ひいては「業界全体の電力供給のあり方をどのように良くしていけるか」。そうした視点で最適解を一緒に考えていくことを重視しています。

 こうした継続的な取り組みの積み重ねが、新しい技術革新につながると考えます。

日本市場における
技術共創

そうした共創のアプローチを取る中で、日本市場はどのような役割を担っていますか。

堂園 日本市場は、次世代の電源システムやアプリケーションの共創を推進する上で非常に重要な存在です。

 日本は、世界でも高い技術水準を誇り、半導体製造装置、テスター、ロボティクス、ファクトリーオートメーション(FA)、車載などのあらゆる分野で、小型化・高効率化に対する非常に厳しい要求が求められます。

 こうしたお客様の高い期待に応えていくことにより、結果として当社製品の競争力を高めることにつながっていくと考えます。

日本市場での、その他の動きを教えてください。

堂園 48Vバスを中心とした、さまざまなアプリケーションにおける次世代システムの共同開発が進んでいます。例えば、エネルギー利用効率化のため従来のアプリケーションを電動化する場合にも、電力需要へ対応する上で、小型・高電力密度で高効率の電力変換技術は大きく注目されています。

 日本における販売網戦略では、代理店内に当社専門チームを設けています。ここでも、モノ売りだけではなく、お客様の小型化、高電力、高効率化を実現するために、きめ細やかな協業体制を築いています。

最後にメッセージをください。

堂園 我々は、お客様の技術革新を支えるパートナーとして、構想段階から事業推進に至るまで、次世代のテクノロジーとソリューションの実現に共に取り組んでまいります。

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Vicorは長年、電力供給ネットワーク全体の電力密度を高めるソリューションを提供しており、2026年にリリースする高性能48V電源モジュールは新しいスタンダードとなる。

お問い合わせ

Vicor株式会社
〒141-0031 東京都品川区西五反田8-9-5 FORECAST五反田WEST 6F
TEL:03-5487-3016
URL:https://www.vicorpower.com/ja-jp/