このように、進化し続ける攻撃に対抗するためにはどうすればいいのか。
まず、侵入を防ぐ策としては、VPN装置のセキュリティーパッチ適用の迅速化や、ゼロトラスト構成への移行が効果的だ。盗まれたID・パスワードによる侵入を防ぐため、パスキーなどの多要素認証の導入も検討すべきといえる。
「被害を最小化するためには、『ランサムウエア攻撃は防げない』という認識を持って、迅速に復旧する能力、すなわち『サイバーレジリエンス』を高める視点が必要です」と勝村は強調する。復旧が遅れるほど被害額は増大するため、対応スピードを上げることが肝心だ。
重要なことの1つがバックアップである。ただ、バックアップをしていても復元できなかったケースは多い。警察庁のレポート
※によれば、2025年は回答99件中、79件がこれに該当していたという。「理由は、攻撃者は侵入後、真っ先にバックアップサーバーを探索してデータを暗号化・消去するからです」と勝村は述べる。
これを防ぐには、データを3カ所に保存し、2種類のデバイスに分け、1カ所は隔離環境にする「3-2-1ルール」の徹底が効果的だ。さらに、復元に向けた体制を整え、手順を日ごろから訓練しておくことも重要といえるだろう。
「いずれにせよ、サイバーセキュリティーに『これさえ行えば完璧』という唯一絶対の対策は存在しません。様々な対策を打ち、少しでも攻撃のコストを上げることが企業・組織に求められています」と勝村は力を込める。多面的な対策を実施し、粘り強く取り組むことが、組織全体の耐性を高めるためのカギとなる。
- ※「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」、警察庁サイバー警察局