クラウド基盤最適化 Forum
ゾーホージャパン
ハイブリッド環境に潜む“3つの落とし穴”
その原因と解決に向けたアプローチとは
マルチクラウドとオンプレミスが混在するハイブリッド環境では多様な監視・運用ツールの使い分けが必要になる。しかし「ツールは増えても、基盤全体の状況が見えてこない」「ツールを使い分けるため、運用負荷が増大している」といった課題を抱える企業は少なくない。ハイブリッド環境の運用現場には“3つの落とし穴”があるという。ゾーホージャパンの講演ではこの3つの落とし穴の実態とその原因をひも解いた上で、実績に基づく有効な解決策が提案された。
監視領域や環境の分断が
“死角”を生む

ゾーホージャパン株式会社
ManageEngine マーケティング部
ITOMグループ リーダー
上野 翔大氏
現在、企業のIT環境はマルチクラウドとオンプレミスが混在するハイブリッド環境が一般化しつつある。このことが運用現場に新たな課題をもたらしている。例えば、ある日、利用者から「サービスが利用できない」というクレームが入る。原因を切り分けるため、アプリケーションやネットワーク、サーバー、クラウドなどの各担当者は自分の持ち場を確認する。やがて報告が上がり、全員が同じ言葉を口にする。「自分の担当箇所に異常はありません」――。にもかかわらず、サービスは止まったままだ。
なぜこうした状況が起こるのか。「各担当が管理するシステムやクラウドの状況は可視化されていても、社内ネットワークからクラウドまでの経路や外部サービスとの接続部分といった『あいだ』が見えていないのです」とゾーホージャパンの上野 翔大氏は指摘する。
自社ネットワークに問題はなくてもISPの回線品質やクラウドにつながるルーティングに問題がある場合もある。個々のアプリケーションやシステムとつながる外部APIの品質に起因することもある。「こうしたことが“死角”になって、サービスが不調に陥ることがあるのです。これはインフラ、アプリケーション、ネットワーク、クラウドといった監視領域が分断され、さらにオンプレミスと複数クラウドが個別に管理されていることが根本原因です」と上野氏は説く。
このような監視の分断が積み重なることで、3つの落とし穴が生まれるという。
オンプレミス、クラウドの
すべてを統合的に可視化
まず大きいのが「監視ツールの乱立」と「環境ごとの管理負荷」だ。監視領域や環境の数だけツールが乱立すると、覚えることも手間も増え、管理負荷が膨らむ。状況をつかむためにサーバー、ネットワーク、クラウドのツールを駆使して、いくつものコンソール画面を確認するといったことも珍しくないはずだ。すべてのツールを一人で使いこなすのは難しいため、特定環境を理解している担当者への依存が強まり、障害対応や運用ノウハウの属人化を招く。
もう1つ見逃せないのが「クラウドの予算超過」だ。分断された状態で複数のクラウドを使っていると、その請求もバラバラに届く。一つひとつは大きな金額でなくても、複数クラウドを合わせると思わぬ高額になる。先月と比べてどこが増えたのか。その増加は一時的なのか、これからも続くのか。並べて見られなければ、判断はできない。
Flexera Software社が実施した「2026 State of the Cloud Report」によると、IaaSやPaaSといったクラウド基盤の支出のうち、29%が無駄になっていると推計されるという。年間のクラウド費用が1億円なら、そのうち2900万円が無駄になっている計算だ。
クラウド支出の無駄はこれまで改善傾向が続いていたが、今回の調査で5年ぶりに悪化に転じた。レポートで主な要因として挙げているのが、AIワークロードの増加だ。AIを利用し始めた組織から、コストが見えにくくなる状況が浮かび上がる。「AIエージェントを本格的に動かす段階になれば、“見えないコスト”の増加がさらに膨らんでいく可能性があります」と上野氏は指摘する。
こうした3つの落とし穴から抜け出す打開策として、ゾーホージャパンが提供しているのが「Site24x7」だ。これは根本原因である分断を1つにまとめ、領域も環境もまたいでフルスタックの監視が可能になるSaaS型統合監視ソリューションである。
同社は企業向けIT運用管理ツール「ManageEngine(マネージエンジン)」やSaaS型ソリューションを提供するグローバルベンダー。グローバルでは100万社超の顧客基盤を持ち、日本では2001年よりビジネスを展開している。
Site24x7はManageEngineシリーズの1つで、世界190カ国で利用され、監視対象のデバイスやアプリケーション数は500万を超える。
Site24x7によって可視化されるものは大きく4つある。「ネットワーク」「クラウド」「コスト」「アラート」だ。オンプレミスの機器、回線、スイッチやルータなど領域をまたいで可視化し、異なるクラウドの利用状況やコストも1つの画面上で確認できる。「“死角”となりがちな社内ネットワークからクラウドまでの経路もSite24x7の画面上で把握可能です」と上野氏は説明する。発生場所の異なるアラートも集約して確認できるという。
障害対応を迅速化し、
クラウドコストを最適化
例えば、障害発生時はネットワーク機器やサーバーのステータス、経路、アプリケーションやデータベースの状況を1つのダッシュボード上に並べて表示し、分断された状態では分からなかった“死角”も見えるようになる。「全体が見えるので、画面をまたがずに状況を把握し、障害要因を調べられます」(上野氏)。
障害発生時のアラートも1つにまとめて起点を絞ることができる。イベント相関機能により、複数のアラートを関連付けて分析し、根本原因とみられる事象を優先表示できるためだ。様々なアラートが別々に通知され、どれから手をつけるべきか判断に迷うことがなくなる(図1)。
図1 イベント相関機能のアウトプットイメージ(イベント相関機能はEnterprise Planで利用可能)

複数アラートの相関を分析し、根本原因を推定する。原因とその結果の現象を整理し、関連が薄いアラートは優先度を下げて整理される。アラートの確認とアクションの判断を同じ画面の中で行えるため、迅速な障害対応が可能になる
見るべき画面が1つにまとまれば、領域や環境の異なるシステムを幅広くカバーし、スキルも習得しやすくなる。「業務の属人化を防ぎ、スキルの平準化も期待できます」と上野氏は語る。
監視結果を1つにまとめるだけでなく、障害対応の自動化も可能になる。Site24x7はあらかじめ設定した手順を自動実行するワークフローを組むことができるのだ(対象サーバーにエージェントを導入した環境が前提)。「閾値や異常を検知後、サービスやサーバーの再起動、決めておいたコマンドやスクリプトの実行、関係者への通知などを自動化できます。迅速な一次対応が可能になり、休日や夜間の緊急対応の負担も減らせます」と上野氏は話す。
短期間で立ち上げた事例もある。あるSIベンダーの情報システム部門は本社と拠点のネットワーク機器、サーバー、データセンター、クラウド、そして社員が使うWebシステムの外形監視を実現した。監視対象はネットワーク機器が約20台、レガシーOSのサーバーが約10台、Azureの仮想サーバーが約30台。この規模の監視の仕組みを、担当2人だけでわずか1カ月ほどで構築した。
数百台のサーバーを使ってサービスを提供しているあるSaaS事業者は、サーバーの設定変更を監視画面から自動実行できる仕組みを実現。サーバーに1台ずつログインして設定変更していた場合に比べ、作業工数はおよそ100分の1に削減できたという。
クラウドコストをまとめて可視化できるメリットも大きい(図2)。「コストの無駄は請求書を1枚ずつ見ているだけでは気付きにくい。バラバラに届いていた請求が1つの画面に並ぶことで、無駄を見つけやすくなる。予算を超えそうになった段階でアラートを出すようにすれば、予算超過を未然に防げます」(上野氏)。
図2 クラウドコストの可視化画面

複数クラウドのコストを1つの画面上で可視化する。時系列的なコスト推移、部門やプロジェクトごとのコスト状況も可視化可能だ。全体を俯瞰することで「無駄」を見つけやすくなる。どこで、何が、いつから増えたのか。マネジメント層にも納得のいく説明ができる
ゾーホージャパンはSite24x7の評価版を無償提供している。現状の監視環境を動かしたままで利用可能だという。「『まだ製品を検討する段階ではない』『どこから手をつければいいか分からない』というお客様でも『全体が1つで見える』世界観をぜひご体験いただきたい」と上野氏は述べる。
新たなテクノロジーの活用が進み、ハイブリッド環境は今後も複雑化が予想される。コンテナやエッジが増え、AIエージェントが自律的に動く基盤も監視の対象に入ってくる。監視対象の増加と運用環境の複雑化が進む中、インフラ運用の分断を解消する手段として、統合監視の重要性は今後さらに高まっていくだろう。
お問い合わせ
ゾーホージャパン株式会社 ManageEngine事業部
TEL:045-319-4613
E-mail:jp-memarketing@zohocorp.com
URL:https://www.manageengine.jp/








