クラウド基盤最適化 Forum
デル・テクノロジーズ
エージェンティックAI時代を支える
次世代ハイブリッドクラウド基盤の姿
AIは人を支援するアシスタントから、自律的に業務を遂行する「エージェンティックAI」へと進化しつつある。AIエージェントが企業活動の中核を担う時代には、ITインフラにも従来とは異なる役割が求められる。停止が許されない可用性、予測不能な需要に対応する拡張性、強固なセキュリティー、そして信頼できるデータ基盤。こうした要件に企業はどう向き合うべきなのか。デル・テクノロジーズの講演では、AI時代のハイブリッドクラウド基盤に求められる条件と、その実現に向けたアーキテクチャの方向性が示された。
エージェンティックAI時代における
ITインフラの4条件とは

デル・テクノロジーズ株式会社
Storage CTO
執行役員
インフラストラクチャー・ソリューションズSE統括本部
統括本部長
森山 輝彦氏
人間のサポートを行うアシスタントの領域から、自律的に意思決定して業務を遂行する「エージェンティックAI」へ――。現在のAIは大きな進化を遂げつつある。さらに、ロボティクスと融合した「フィジカルAI」の登場により、AIは単なるツールではなく企業活動そのものを担う業務実行の主体へと変貌しようとしている。
「これにより、インフラに求められる役割も大きく変わりつつあります。常時大量のAI推論を回し続ける『トークン経済圏(トークノミクス)』時代の到来により、AIが企業のオペレーティングモデルそのものになるからです。この自律稼働を支えるためには、従来のITインフラの延長線上では到底対応できない、新たな基盤設計が不可欠となります」と語るのは、デル・テクノロジーズの森山 輝彦氏だ。
それでは具体的に、どのような要件を満たす必要があるのか。森山氏は、重要なポイントは4つあるという。
1つ目は「可用性」だ。AIエージェントが24時間365日休まずに自律稼働するため、インフラの停止は、AIエージェントを活用した業務プロセス全体に大きな影響を与える可能性がある。
2つ目は「拡張性」である。推論需要の増減は不確実で予測が難しい。そのため柔軟かつ迅速にスケールアウト・スケールインできる能力が欠かせない。
3つ目は「セキュリティー」。AI時代にはデータこそが、企業の競争力を左右する最大の資産となる。巧妙化するランサムウエアなどの脅威からデータを強固に保護し、継続性を担保することが必須だ。
そして最後の4つ目が「AI Ready Data」だ。AIが信頼して活用できるデータを、必要な場所で必要なタイミングに利用できる状態を整備していなければ、AIは本来の知性を発揮できず、企業価値に結びつかない。
このような状況の中、企業は再びプライベートクラウドに注目するようになった。その背景は、国境を越えるデータのガバナンスや、主権を自社内に担保する「ソブリンAI」への関心の高まりがある。
「データ主権やロックインのリスク、地政学的なサプライチェーンリスクなどを考慮し、パブリッククラウドからプライベートクラウドやオンプレミス環境への移行を検討する企業も増えています。しかしこれは、単なるオンプレミスへの逆戻りではありません。データが発生する場所に分散してAIエンジンを配置し、セキュリティーやコストを最適化するためにクラウドとオンプレミスを適材適所で使い分ける、『ハイブリッドクラウドの時代』へとシフトしているのです」と森山氏は語る。
デル・テクノロジーズが描く
次世代インフラの姿
このような時代には、ITインフラを単に「作る(Day 0)」だけでは十分ではない。不確実性の高いAIインフラを、いかに安全かつ効率的に管理しダウンタイムを排除するかという、「運用(Day 2)」を重視する必要がある。そのためにはAI技術を組み込みながら「自動運用する」ことが求められる。
この考え方を具現化するデルの中枢ソリューションが、「Dell Private Cloud(DPC)」と「Dell Automation Platform(DAP)」だ(図1)。DPCは、企業が自社内(オンプレミス)にクラウドライクなシステムを安全に実装・運用するための「検証済みインフラ」。その最大の特長は、特定のハイパーバイザーにロックインされない柔軟性にある。
VMwareやRed Hat、Nutanix、Azure Localなど、企業の多様なワークロード環境に応じて最適なハイパーバイザーや、コンテナ環境を自由に選択でき、既存の基盤を再利用しながら別の環境へスイッチすることも可能。従来のHCIの「管理のシンプルさ」を継承しつつ、リソースの利用効率や柔軟性を大幅に向上させている。
一方、DAPは、ITインフラ全体の自動化を司るオーケストレーター。デルにより設計・検証された「ブループリント(構成テンプレート)」を使用することで、複雑なインフラを迅速に導入・展開できる。企業が既に使っているTerraformやAnsibleといった、既存の「Infrastructure as Code」の投資もそのまま再利用可能。手動操作による設定エラーや運用コストを劇的に削減する。
この次世代インフラの自律化をさらに高度化するのが、インフラ自身に組み込まれたAI予測分析機能とSaaSを連携させた「AIOps」だ。ボトルネックの検知、容量制限の予測、アレイ間での自律的なデータ負荷分散などをAIが予測・推奨。その是正リコメンドに対するエンドユーザーの承認率は、PowerMaxのケースでは、実に93%に達しているという。
図1 Dell Private Cloud with Dell Automation Platformの全体像

単にインフラを「作る(Day 0)」だけではなく、「自動運用(Day 2)」まで視野に入れた数々の特徴を備えている
「デル・テクノロジーズの次世代インフラが目指すのは、これら自動化プラットフォームと強力なサイバーレジリエンスを融合させることで企業を『インフラの運用管理』から解放し、本質的な『AIによるビジネス変革』に集中できる環境を実現することなのです」(森山氏)
最新鋭の技術で思想を体現する
「Dell PowerMax」ストレージ
その思想を体現するストレージ製品の代表格が「Dell PowerMax」である。これは、航空、金融、医療、通信、運輸といった、一瞬のシステム停止すら許されないスーパーミッションクリティカルな社会インフラを、30年以上にわたって支え続けてきた高い実績を持っている。そしてAIエージェント時代の「可用性」「拡張性」「セキュリティー」「データの信頼性」への要求も、最新鋭の技術で応えている(図2)。
図2 次世代インフラの思想を体現した「Dell PowerMax」の重点領域

「データを絶対に止めず、守り抜く」という哲学を継承しながら、ミッションクリティカル、AIによる自動運用、サイバーレジリエンスを実現している
その中でも特筆すべきは、ストレージOSをオンラインのまま一瞬で更新する「無停止アップグレード(NDU)」の仕組みを90年代から実現していることだろう。ホストI/Oを一切中断せず、最大16基のコントローラーに対して一斉かつ並列に、新しいコードを適用できるのだ。その更新処理はわずか数秒以内で完了。この圧倒的な「絶対に止まらない」アーキテクチャこそが、多くの企業からPowerMaxが選ばれ続ける理由の1つとなっている。
また、インフラ自体に組み込まれたAI予測分析機能「AIOps」が稼働状況をプロアクティブに監視し、SaaSで提供する機能と連携し、最適化や自動修復を自律的に実施する点も注目すべきポイントだといえるだろう。
もちろんセキュリティー面も極めて堅牢だ。AI駆動の高度な異常検知機能「Dell Cyber Detect for Storage」は、ランサムウエアの攻撃による破損から免れた「最後のクリーンなスナップショット」を、99.99%の確実性でスキャン・特定可能。さらに、バックアップサーバーを介さず筐体から直接「PowerProtect Data Domain」へスナップショットを伝送し、物理的に隔離された「エアギャップ」を構築することで、万が一の被害時にも数日で業務をリカバリーできる。さらに、量子コンピュータによる将来的な脅威を見据えた「ポスト量子暗号(PQC)」への対応など、防衛思想においても最先端を走り続けている。このような特長が評価され、米国防総省が厳格な機能・プロセスを評価してお墨付きを与える認定製品リスト(DoD APL)にも掲載されている。
「データを止めないこと、そして守り抜くこと。そのために自動化やセキュリティー、プライベートクラウドを含めたアーキテクチャ全体を設計することが重要です」と森山氏。エージェンティックAI時代に求められるのは、単なる高性能なAI基盤ではない。AIを継続的かつ安全に稼働させる“止まらないデータ基盤”こそが、新たな競争力の源泉となるのである。
お問い合わせ
デル・テクノロジーズ株式会社
https://www.dell.com/ja-jp/shop/storage-servers-and-networking-for-business/sf/powermax








