AGCは連結売上高2兆円強、約200社のグループ会社を擁する総合素材メーカー。建築ガラス、オートモーティブ、電子、化学品など多様な事業を展開し、従業員の約7割が30を超える国々で活動しているグローバル企業である。
そんなAGCの海外グループ会社のIT環境は当初、日本本社のIT部門の配下で運用されていた。同社のグローバルITリーダーを務める戸張 雅彦氏は、「2000年代初頭から欧州のガラス事業でIT環境統合が進み、2010年頃からはアジア地域もこれに続きましたが、日本側からコントロールする体制はそのままでした」と振り返る。
しかし、各地域でビジネスが拡大する一方、求められるセキュリティーの対策レベルが高度化していく中で、あらゆる課題に日本側の判断だけ対処するのは困難な状況に直面していた。そこで選択したのが「グループのIT基盤をグローバル全体で標準化・統合化し、ワンチームで運用していく」という新たな方針である。
転機となったのは、2020年から2021年にかけて実施したITインフラ基盤統合プロジェクトだ。アジア、ヨーロッパ、アメリカの各地域で分断していたIT環境を、グローバルで標準化・統合されたインフラへ移行するものである。そして、このプロジェクトを推進するにあたり、同社は国や地域を超えたメンバーによる完全混成チームを編成した。
「プロジェクトマネジメントを日本・アメリカ・ベルギーの代表者3人による共同体制とし、各サブチームのリーダーには、アメリカならびにチェコのメンバーを配置。プロジェクトの最上流から、この日欧米のメンバーが緊密に連携しながら企画立案や計画策定を行う体制を構築しました。これがきっかけとなり、初めてワンチームとしての意識が芽生えていきました」(戸張氏)