Microsoft Corporation
Microsoft Threat Protection 担当コーポレートバイスプレジデント
ロブ レファーツ氏
セキュリティー分野におけるAI活用は新たなフェーズに入りつつある。AIがアシスタントとして人の業務をサポートするフェーズを超え、複雑なタスクや一連のプロセスを自動で実行することも可能になった。これを支えているのが「エージェント」だ。
その先の未来も見え始めている。エージェントが本格的に自律化し、相互に連携することで「デジタルワーカー」になる。より複雑なビジネスプロセスやワークフローを実行できるようになり、セキュリティー業務のさらなる効率化・高度化が期待できる。Microsoft Corporationのロブ レファーツ氏は「デジタルワーカーが『セキュリティーの実務者』になる未来もそう遠いことではありません」と主張する。
一方、サイバー脅威がますます深刻化しているのは周知の事実だ。攻撃者がフィッシングメールから標的のデータにアクセスするまで、今ではわずか1時間だ。パスワード攻撃もこの1年でほぼ倍増し、1秒あたりの件数は7000件にも及ぶ。マイクロソフトが追跡を要する悪質なサイバー攻撃者もこの1年で300から1500に急増した。
脅威の波は日本にも押し寄せている。「多くの日本企業のお客様の話を伺うと、以前はほぼゼロだったフィッシングメール攻撃がこの3~5年で大量に発生するようになったそうです」とレファーツ氏は述べる。
その理由は明らかだ。AIの進化と普及が大きく影響している。大規模言語モデル(LLM)を使えば、英文のフィッシング文面も簡単に日本語に翻訳できる。見るからに怪しい日本語ではなく、自然な日本語なので受け手も警戒感が薄れてしまう。
これは1つの例にすぎない。攻撃者はマルウエアの生成にもAIを活用している。高度なスキルがなくても新種や亜種のマルウエアを短期間で生成できる。「攻撃のハードルが下がり、その出現頻度も高まっています。脅威の深刻化は今後も加速していくでしょう」とレファーツ氏は語る。
AIに伴うリスクは組織の中にもある。例えば、AIに重要情報を渡してしまうと、外部に流出する恐れがある。これは意図しない場合もあれば、悪意を持って故意に行う場合もある。またエージェント化によってシステムやデータの連携が増えると仕組みが複雑化する。脆弱ポイントが潜在化し、そこを攻撃者に狙われる可能性もある。