日経トップリーダー Special

8/29開催 経営課題解決セミナー レポート
中堅・中小企業のDXは身近なところから8/29開催 経営課題解決セミナー レポート
中堅・中小企業のDXは身近なところからPICK UP

2022年、新型コロナ感染症の終息の見通しが立たないままに世界情勢は緊迫した状態に陥り、中堅・中小企業を取り巻く経営環境も大転換期を迎えている。物価高騰、アメリカの金融政策の引き締め・円安、地政学...。様々なリスク要因と隣り合わせの時代に、中堅中小企業はどのように対応をしていくべきかー。こうした問題意識の下、去る11月25日、日経トップリーダー主催のプラチナフォーラム2022Winterが開催された。ここでは、豪華講師陣の講演のレポートを紹介する。

PICK UP
菊間 千乃 氏
松尾綜合法律事務所 弁護士
菊間 千乃

ハラスメントとは、他者に対する発言・行動で、相手を不快にさせる、尊厳を傷つける、不利益を与えることで、いわゆる嫌がらせである。そのハラスメント行為が企業の中で増加傾向にある。

松尾綜合法律事務所の弁護士・菊間千乃氏は、「ハラスメントは個人間の好き嫌いや相性の問題ではない。組織を挙げて取り組むべき重要な問題」と指摘する。確かに、これは人権問題であり、今、人権をないがしろにする企業は大きな逆風にさらされる。

菊間氏がいう。「企業の目的は、より良いサービス・商品の提供であり、従業員が組織目的に参加・貢献することで精神的・経済的満足を得る職場を作らなければなりません。つまり管理職としては、企業の目的達成のためにあってはならないこと、つまりハラスメントのような問題を解消していかなければなりません。これが社員のやりがいにつながります」
 つまり、会社がハラスメントを放置することは、被害者の不利益になるだけでなく、回り回って会社の目的達成を阻むことになるのだ。

パワーハラスメントが及ぼす影響

例えばパワハラ被害者への調査結果を見ると、被害の後に「何も行動しなかった」という回答が4割弱で一番多い。その理由は「何をしても解決にならない」とか、「自分への不利益になるから」などと考えているからだ。逆に言えば、職場でハラスメントの報告がないからといって、問題のない職場とは言い切れないのだ。
「むしろ、経営者としては、潜在的に3割くらいの社員がハラスメントで悩んでいる可能性があり、会社を信用していないから行動を起こせないのかもしれない、と疑ってかかるくらいの姿勢が重要。報告を待つのではなく、上から積極的に部下を見ていかなければならない」と菊間氏は指摘する。

「パワハラ扱いされるのが怖くて部下に注意できないという上司の声を聞きますが、客観的に見て業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示・指導はパワハラに該当しません。何が『業務上必要かつ相当』な範囲なのかを意識することが大事」(菊間氏)

パワハラは早い段階で対処する

パワハラで圧倒的に多いのが精神的な攻撃だ。「『小学生みたいな資料を作りやがって』とか『頭おかしいんじゃないか』等の発言は、一方的に自分のイライラをぶつけているだけで、指導ではありません。言われた方の部下も、おそらく『すみません』を繰り返すしかないでしょう。部下が、『すみません』としか言えないような状況はパワハラの危険信号です。自分の不満をぶつけるのではなく、まず、なぜこのようなミスをしてしまったのかと本人の言い分を聞く、そのうえで上司として、『どうすればうまくいくのか』を一緒に考えて、改善策を示す、これが指導であり、上司の役目です」(菊間氏)

パワハラは仕事のできる社員がやりがちだと菊間氏はいう。そして、そのような「デキる」社員からパワハラを受けているという被害の訴えがあった場合、会社は大目にみてしまうことも多いという。しかし、「どれほど加害者側が成績優秀者でも、アウトはアウトであるとしっかり表明し、問題が大きくなる前に芽をつむことが大切。早い段階で加害者本人が変容できるチャンスを与えることが重要です」(菊間氏)。先の調査結果からもわかるように、被害に遭ってもなかなか言い出せないのがハラスメント。それだけに、会社に訴えの報告が来ること自体、大変な勇気を振り絞っての行為であり、かなりの重大事態だと受け止めるべきなのだ。

職場に一切の性的言動を
持ち込ませないのが
セクハラ対策の基本

それはセクハラも同じで、被害に遭っても我慢して何もしないとの回答は6割以上を占める。「パワハラなら『業務上必要かつ相当な範囲』かどうかが線引きのポイントになりますが、セクハラの場合、相手方の意に反するかどうかがポイントであり、どこまでならセーフだというグレーゾーンはありません。褒めるつもりで『スタイルがいいね』と言ったとしても、相手が不快に思えばセクハラです。どんな内容であれ性的言動はアウトなのだと考えましょう。『そんなつもりはなかった』は通用しません」と菊間氏はいう。

会社は、パワハラ、セクハラなどの問題を起こさせない環境整備が不可欠だ。菊間氏は、特に大事なのが、双方向のコミュニケーションが活発に行われる職場づくりだという。「ちょっとした挨拶でも感謝など、短くてもいいので、双方向のコミュニケーションを増やすことです」。
 しかし、どれだけ研修を受けてもハラスメントを起こしてしまうこともあるかもしれない。思わず感情的になって大きな声を出してしまうこともあるかもしれない。
「そういうときは、謝ることが大切です。謝ることができないから大きな問題になる。普段はコミュニケーションが取れる上司がたまたまその時感情的に言ってしまったとしても、その後自分で気づいて申し訳なかったと謝ることができれば、そういうことをした上司を部下は訴えようとは思わないと思います。コミュニケーションを円滑にはかることは、ハラスメント加害者にならないように自分を守る最大の手段にもなるのです」(菊間氏)

プラチナフォーラム 2022 Winter
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