――2021年4月、先端総合研究機構(略称:先端総研)が設立されました。まずはその経緯について教えてください。
冲永 本学は2016年に創立50周年を迎えました。これまで総合大学として歩んできた半世紀におよぶ歴史の中で、研究・教育を通じて培ってきた“知”をいかに社会に向けて有効活用するかということが背景にあります。近年は大学の活動をしっかり発信していくことも重要ですから、学内に蓄積されている知を私たち自身が把握し直し、企業や地域との連携に生かしつつ、教育研究の質を高めるという好循環をつくっていかなければいけません。そうした流れの中で、先端総研を設立しようという議論が生まれました。
――5つのキャンパスに10学部32学科を擁する総合大学としての強みについては、どう考えていますか。
浅島 総合大学だからこそ集積された知があるという強みがある一方で、それをどうやって社会課題の解決に役立てるかが明確になっていませんでした。そこで、学内に散在している幅広い学問分野を横展開して、文理融合、学際的に課題に向き合っていくための教育・研究の場として設立されたのが先端総研です。先端総研の「先端」という言葉は、単にひとつの分野を深掘りするのではなく、学問の枠組みを超えて社会課題に挑んでいくことを意味しています。