主催者講演①-1 先端テクノロジー

経済産業省

AI・半導体競争、AIロボット世界シェア3割超へ
勝ち筋はフィジカルAIに

経済産業省

商務情報政策局
総務課長

金指 壽

 人口減少やDX・GXといった社会課題の解決を通じ、「強い経済」を実現するには、AIと半導体を中核とするデジタル産業基盤への戦略投資を拡大し、構造転換とイノベーション創出を促すことが不可欠だ。

 「現実世界を理解して動くフィジカルAIや、特定領域の課題解決に特化したバーティカルAIの進展により、競争は新たな段階に入った」。AIの実装は、工場や物流、医療、介護、防災といった現場へ急速に広がっていくとの見方を金指氏は示した。

 その中で日本の勝ち筋はどこにあるのか。AIモデル単体ではなく、「身体」の中核機能を担うコンピューティング、制御、アクチュエーション、センサーといった各要素を統合した「フィジカル・インテリジェント・システム」が、フィジカルAIの実装を支える土台であり、日本の強みを発揮できる領域である。

 「鍵となるのが、チップに必要な機能から逆算し、ロジックやメモリー、センサー等の各種半導体を各々設計・製造して作りこみ、システムとして最適に組み合わせる『System to Silicon』の考え方だ。特に要となる半導体設計については設計開発支援の継続・拡大に加え、最先端のオープンな研究開発・設計拠点の整備を軸に、取り組みを強化すべきだと考えている」(金指氏)

 その実現に向け、政府はTSMCやラピダスをはじめとする先端半導体の開発・製造支援に加え、非先端領域も含めた半導体、電子部品等の基盤強化、経済安全保障の観点を踏まえたサプライチェーン支援を進める。供給側と需要側を一体で設計し、社会実装を先行させることで、2040年にはAIロボット市場において米中に並ぶ「第三極」として世界シェア3割超を確保し、20兆円規模の市場獲得を目指す考えだ。

主催者講演①-2 先端テクノロジー

きづきアーキテクト

日本浮上への先端テクノロジー戦略
投資を成長につなげる「3つの鍵」

きづきアーキテクト

取締役会長/マテリアル(重要鉱物・
部素材) ワーキンググループ構成員

長島 聡

 日本が先端テクノロジーの分野で成長の果実を手にするには何が必要なのか。まず第1の鍵として長島氏が挙げたのが「新たな需要を創出する企業・産業間連携」だ。

 「ラピダス始動時には『日本が先端半導体をつくって何に使うのか』との声もあったが、生成AIの普及でそうした見方は大きく変わった。素材や装置、エネルギー、電力まで含めた需要の連鎖・循環によって市場は形成されていく」と語る。

 第2の鍵は「企業・産業間連携を促す国の仕組みづくり」だ。オープンイノベーションの重要性は共有されてきたものの、機密保持や知財管理が障壁となり、実際の連携は十分に進んでいない。法整備も含め、企業同士が安心して連携できる制度設計が不可欠である。

 そして第3の鍵が「企業・産業間連携を実現する商習慣づくり」だ。日本の強みである高品質志向は、一方で製品やサービスが完成するまで外に出さない傾向を生み、需要の連鎖・循環を生みにくくしてきた。

 「『完成したら買う』のではなく、ニーズやシーズの段階から互いのリソースやノウハウを買い合うことで、早期に売上が立ち資金が回る。こうした商習慣がイノベーションを加速させる」と長島氏は強調する。

 そのうえで「日本は欧米に比べ国家予算が一桁以上少ない。だからこそ選択と集中を徹底し、既にある技術やノウハウおよびその組み合わせを最大限活用しながら、企業同士が価値を買い合う文化を醸成することが唯一の勝ち筋だ」と指摘。こうした取り組みが、経済安全保障に関わるすべての分野において革新的なソリューション創出と価値創造の加速、さらには産業全体の競争力強化や持続的な成長基盤の確立につながると結論づけた。

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