主催者講演③-1 医療・バイオ

内閣府

「医薬品産業で経済成長」と
「原材料の過度な海外依存から脱却」が柱

内閣府健康・医療戦略推進事務局
事務局長

内山 博之

 世界の医薬品市場は約200兆円、このうち日系企業の販売額は11.6兆円(シェア6.9%)を占めており、医薬品産業は日本の重要な基幹産業の一つとなっている。

 「医薬品市場は世界的に拡大を続けており、今後も成長が見込まれている。しかし、各国の特許品市場が9〜10%台の成長率を示すなかで、日本の特許品市場は5.3%程度。イノベーティブで革新的な医薬品を継続的に創出するには、日本の創薬力を最大限に生かし、グローバル展開を加速していく必要がある」と内山氏は指摘。政府も事業費ベースで3,300億円規模の支援パッケージを打ち出し、創薬を国家戦略として位置付け、取り組みを本格化させる意向だ。

 創薬・先端医療ワーキンググループでは、「医薬品産業による経済成長」と「原薬・原材料の過度な海外依存からの脱却」の2つを柱に据える。「ファーストインクラス製品・ベストインクラス製品」の創出に加え、健康医療安全保障の観点から、感染症対応製品やバイオ関連製品の国産化も重要なテーマとなる。

 実現に向けては、基礎研究力や高品質な治験といった日本の強みを生かしつつ、実用化を担う人材の育成と流動性の向上、スタートアップへの投資呼び込み、AI・データ活用による研究開発プロセスの高度化・効率化などを一体で進めていく必要がある。さらに、国際共同治験における資金面・制度面の課題を解消し、研究開発から事業化までを一気通貫でつなぐ体制の構築も不可欠だ。

 内山氏は「日本発の創薬シーズを社会実装まで結び付け、需要が拡大する海外市場の獲得へとつなげていく。“世界直行型”の開発モデルを実現したい」と語り、講演を結んだ。

主催者講演③-2 医療・バイオ

アイパークインスティチュート

医薬品産業の成長へ、最優先すべきは
「スタートアップの育成」

アイパークインスティチュート

代表取締役社長/創薬・先端医療
ワーキンググループ構成員

藤本 利夫

 内閣府は今年1月、「創薬・先端医療ワーキンググループ」を立ち上げた。類似の会議体は過去にも存在したが、医薬品産業を成長産業と位置付け、具体的な官民投資ロードマップを策定するのは今回が初となる。藤本氏は、そのロードマップに盛り込まれる施策の中でも、最優先とすべきは「スタートアップの育成」だと強調する。

 「既存産業の新陳代謝を促す主役は、新しい技術を社会に届けるスタートアップだ。世界では大学発の技術を実用化する手段としてスタートアップが機能し、高速で試行錯誤を繰り返しながら大企業へとつないでいくモデルが確立されつつあるが、日本はこの点で出遅れている。一方で、日本にはノーベル賞受賞者を多数輩出してきた医学分野や化学分野の厚い基盤と世界的な製薬企業が存在する。創薬には4つの『死の谷』があると言われるが、この2つの強みの間に橋を架けることができれば、世界に冠たる創薬立国となる可能性は十分にある」と藤本氏は言う。

 実現に向けては、短期的な支援にとどまらず、長期にわたるシームレスな投資が不可欠だ。加えて、CRO(医薬品開発の臨床試験などを受託する企業)やCDMO(医薬品の開発・製造を受託する企業)を支える専門人材の育成や、分散しているAI活用基盤を官民で統合することも課題として挙げる。

 「官民投資ロードマップの策定では、数値目標を明確に示し、複数年でコミットすることが重要だ。そして何より、この分野への投資がどれだけ豊かな未来をもたらすのか、そのビジョンを国民に示せるかどうかが鍵になる」と語った。

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