基調講演

経済産業省

国内投資、2040年に年間200兆円規模
税制面でも大胆なインセンティブ

経済産業省

経済産業政策局長
兼 日本成長戦略本部事務局長代行

畠山 陽二郎

 2000年代以降、日本経済は低迷が続いてきた。畠山氏はその要因について、「国内投資が不足してきた結果、潜在成長率が伸びなかった」と指摘する。また、名目賃金も上昇しつつあるものの、物価上昇に追いつかず、実質賃金が伸び悩んでいることにも触れた。

 こうした状況を踏まえ、政策の軸となるのが「成長投資の拡大と賃上げの好循環」だ。畠山氏は「国内投資をいかに増やしていくかがポイントになる。2040年には年間200兆円規模まで投資を引き上げたい」との見通しを示した。

 その実現に向けて高市政権が立ち上げたのが「日本成長戦略会議」だ。AI・半導体や量子、バイオなど、日本が勝ち筋を見出し得る17分野で官民投資ロードマップを策定。分野ごとに、目標、市場、必要な投資、そのインパクトまでを具体的に示すことで、企業の投資判断の予見性を高める狙いだ。

 政策設計の軸となるのが「大胆な政策パッケージで民間投資を引き出し、自律的・継続的成長を実現する」「不確実性やリソース制約といったボトルネックの解消と投資加速策を両輪で進める」「経済安全保障の観点から自律性と不可欠性を確保する」「需要創出と技術の社会実装を重視する」「17分野と分野横断課題を戦略的に連携させる」という5つの基本方針である。

 方針を具体化する施策として、政府は予算・税制の両面から投資促進策を講じる予定だ。予算面では事業者が安心して研究開発や設備投資を進められるよう、投資の予見性を高める仕組みを構築する。また、複数年度予算や長期基金の活用により、研究開発や設備投資を継続的に支援するほか、成長投資や経済安全保障に資する投資については、通常の財政枠組みとは別に多年度で管理することで政策の継続性を担保し、企業が中長期の投資判断を行いやすい環境を整える。

 そのうえで、すべての業種を対象に、税制面でも大胆なインセンティブを講じる方針だ。「計画上の投資が35億円以上(中小企業の場合は5億円以上)あること。ROI(投資利益率)が15%以上であること。この2つの要件を満たせば、投資額の100%即時償却、または7%(建物は4%)の税額控除のいずれかを選択できる。さらに研究開発税制についても、AIや量子、バイオといった戦略領域では40%の税額控除を措置するなど、企業が中長期で投資判断できる環境を整えていく」(畠山氏)

 人材面の構造改革も不可欠だ。2040年には就業者数が減少する一方で、AI・ロボット人材や現場人材の不足が顕在化する見通しだ。リスキリングや大学改革、専門教育の強化を通じ、供給力の底上げを図る。

 畠山氏は「こうした取り組みに真正面から向き合うことが、高市政権が掲げる成長戦略の本質だ」と強調。6月を目途に戦略を取りまとめ、企業が予見性を持って投資判断できる環境整備を進める考えであることを明らかにした。

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