JTBコミュニケーションデザイン
JTBコミュニケーションデザインが
けん引するPPP・PFIの新手法
地域との対話・運営視点による「ソフト先行」で
箱モノ整備の先にある持続的な価値を創造
先行き見通しの不透明な時代。公共施設の運営管理には効率・効果の高さが求められる。そんな時代にJTBコミュニケーションデザインがけん引するのは、「ソフト先行」ともいえる新手法だ。運営者が整備段階から入り、運営視点で地域と対話を繰り返し、地域に根差した持続的価値を共創していく。
公共施設の在り方が、大きな転機を迎えている。人口減少を背景に、統合集約や再配置は避けられない。多様性が増す一方で財政難は進み、効果的・効率的な運営管理が求められる。先行き不透明な時代、枠組みを固めた上で整備・運営管理を進める手法では、環境変化への対応に課題が生じる。
藤沢市や高山市で採用する
運営者をまず選定する方式
そこで注目したいのが、「運営者先決め方式」。従来、設計・施工の後工程として選定・発注していた運営者を、前工程の段階で選定・発注する「ソフト先行」ともいえる方式だ。
こうした発注方式は、一部の自治体で採用され始めている。
例えば神奈川県藤沢市。老朽化の見られる藤沢市民会館の建て替えを中心とする敷地一帯の生活・文化拠点再整備事業で類似方式を採用する。市は2025年2月、基本設計と管理・運営計画策定業務の委託先を並行して選定する公募プロポーザルを実施。同年8月、選定先と委託契約や協定を交わした。
神奈川県藤沢市の生活・文化拠点再整備事業では、基本設計の委託先に選ばれた民間事業者グループと共に設計協議を行う
また岐阜県高山市では、JR高山駅西地区に複合・多機能施設を整備する事業でこの方式を採用。管理運営業務を行う民間事業者を選定する公募プロポーザルを2024年11月に実施し、運営予定者を25年6月に決定した。
これらの事業で選ばれた民間事業者の代表企業が、JTBコミュニケーションデザインである。
新たな発注方式が採用されるようになってきた背景を、同社エリアマネジメント第一事業局局長で国土交通省PPPサポーターの梅田亮氏はこう分析する。「多様性の時代、公共施設への地域住民の要求度が高まっています。自治体は運営者と共に地域と対話を重ね、その流れに応えようとしています」
JTBコミュニケーションデザインエリアマネジメント第一事業局局長の梅田亮氏(左)と同社エリアマネジメント第一事業局営業開発課エグゼクティブプロデューサーの中山ヒロコ氏
「箱モノ整備からの脱却」を指摘するのは、梅田氏と同じ部署でエグゼクティブプロデューサーを務める中山ヒロコ氏。公共としてコストパフォーマンスを重視する中、自治体はいま、交流や愛着など施設が生み出す地域価値に目を向け始めている、と見る。
「早めに地域住民などの当事者との接点を持ち、それらの当事者と共創・運営する覚悟を持った意見を、設計者にも伝えていきます」(中山氏)
JTBグループは全国に支店網を築き、自治体とも連携しながら地域の活性化に取り組んでおり、官民連携の歴史は長く、実績も豊富だ。なかでもJTBコミュニケーションデザインは2000年前後からPFI法の施行や指定管理者制度の創設などを受け、官民連携事業に取り組んできた。蓄積された施設運営ノウハウで、指定管理者や運営業務受託の実績は2025年4月現在、全国60施設を数える。
取り組みの根幹に据えるのは、「地域を元気にする」こと。「地域が元気になって活性化すれば、人の動きが生まれます。まさに、JTBグループの事業ドメイン『交流創造事業』を体現していると言えます」(梅田氏)
公共施設の運営を担うのは、「地域を元気にする」ための手段。施設の運営にとどまらず、施設を起点に、そこから地域の元気を広げることこそが、目的だ。
「地域を元気にしたい」と
住民への働き掛けを仕組む
真価は、得意分野でこそ発揮される。それは、人が集まり、にぎわいが生まれ、交流を促進するような用途。例えば、文化施設、教育施設、観光施設、スポーツ施設などである。
「運営者先決め方式」ではこれらの施設での運営実績が生かされていく。藤沢市の生活・文化拠点再整備事業を担当する中山氏は、運営が先行することの意義をこう説明する。
「設計者も空間の使い方を想定して設計しますが、類似施設の日々の使われ方を見ている運営者の現場感覚などのノウハウを掛け合わせることで、よりパフォーマンスの高い空間をつくれます」。中山氏は一級建築士。設計者の仕事への理解は深い。
運営段階では「地域を元気にする」を見据えるため、目線は施設だけではなく人にも向く。指定管理者として運営業務に当たる施設では、地域住民への働き掛けにも力を注ぐ。
例えば大阪府豊中市に位置する豊中市立文化芸術センター。大・小ホールをはじめ、多機能な施設を備えたこの文化施設は、地域社会とアートを結び付ける拠点だ。JTBコミュニケーションデザインは指定管理者として、地域住民がアートと深く関わるための「市民アートコーディネーター」の育成プログラムを提供する。「狙いは、文化芸術の育成。施設という枠組みにはとらわれていません」(中山氏)
また東京都墨田区の「すみだ生涯学習センター『ユートリヤ』」では、ボランティア育成の入り口として、「まちなかガーデナー講座」を開催。受講生が、施設の庭づくりを行う「庭部(ボランティア)」での活動に自発的かつ持続的に参加する仕組みを整えてきた。「講座という仕組みによって、開講タイミングで新しい人がボランティア活動に参加しやすくなります」。仕組み化の意図を中山氏は説く。
施設運営を通じて地域社会に何を提供していこうとするのか。
梅田氏は「持続的な地域価値の共創」と明快だ。「施設を起点に、地域の方と共に自分事で施設を育んでいくことを心掛けています」と続ける。施設で一過性のイベントを開催し、地域を一時的に盛り上げようとするのとは、一線を画す。
「施設の完成はゴールではなく、スタートです」と強調するのは、中山氏だ。「中長期の目線で地域にどんな価値を提供できるのか――。そこを常に意識しながら施設の運営に当たっています」と表情を引き締める。
お問い合わせ
JTBコミュニケーションデザイン
エリアマネジメント第一事業局・第二事業局
TEL:03-5657-0898




