東急コミュニティー
東急コミュニティーが目指すPPP・PFIの一歩先
「THE SOCIAL COMPANY」として
価値創出を、施設から地域へ広げる
マンションやビルの管理事業を手掛ける東急コミュニティーでは「パブリック事業」にも力を入れる。運営・管理やPFI事業などで公共との接点を設け、そこから地元企業と共に地域課題の解決に乗り出す。施設単体で培ったノウハウを地域の運営・管理に展開し、新たな価値を創出する。
北海道倶知安町とネーミングライツ契約を交わした町立総合体育館
2026年2月、北海道倶知安町の総合体育館に愛称が新たに生まれた。「東急コミュニティー アリーナ 倶知安」。その名の通り、東急コミュニティーが町との間でネーミングライツ契約を交わし、26年3月から3年間、この名を使用する権利を得たのである。
北海道倶知安町とネーミングライツ契約を交わした町立総合体育館
狙いは大きく2つ。同社営業開発本部PPP営業部事業推進チームマネージャーの谷口史門氏が説明する。
「一つは、当社で提供するネーミングライツ料を公共施設の維持・修繕に充ててもらうことで、利用者満足度を高めることです。もう一つは、この地域に今後もコミットしていくという決意表明としての契約です」
持続可能な地域づくりに貢献
命名権の購入は深化への布石
総合体育館と同じ公園内に広がる町営スキー場では管理業務を受託
総合体育館と同じ公園内に立地する町営スキー場では24年12月から、管理業務を受託する。人口減少や夏冬の繁閑差という課題を抱える地域で雇用を生み出し、地域社会の活性化や持続可能な地域づくりに貢献する狙いだ。
総合体育館と同じ公園内に広がる町営スキー場では管理業務を受託
ネーミングライツ契約は取り組みの深化に向けた布石の一つ。同社営業開発本部PPP営業部事業推進チームの寺側厚久氏は「将来は、スポーツ施設の活性化やスノーアクティビティーの多様化を図るなど、地域貢献につなげていく考えです」と意気込む。
公共施設の運営・管理を接点に地域との関係性を構築し、そこでの価値創出を仕掛ける。「『点』から『面』への展開。それが、『THE SOCIAL COMPANY』をスローガンとして掲げる当社の方針です」。同社営業開発本部PPP営業部長の向井泰宏氏は解説する。
公共施設の運営・管理をはじめとする「パブリック事業」では、あらゆる用途の施設を対象とするが、今注力する一つは例えば、スタジアム・アリーナ。
そこには、北海道北広島市内に23年3月に民設民営で開業した「エスコンフィールドHOKKAIDO」での経験を生かす。同社では運営に当たるファイターズ スポーツ&エンターテイメント(以下、FSE)と共に施設の立ち上げを準備し、開業後は統括管理業務を受託する。
FSEが初めて建物(球場および関連施設)を開発・所有するに当たり、開業準備段階から行政機関との協議・調整や法令対応を一体的に支援し、運営と連動した管理運営体制の構築に寄与してきた。
さらに、道内の地元企業と連携し、野球の試合やイベント開催時には市域人口の半数規模に相当する来場者を円滑に誘導する仕組みを整備。安全性と快適性を確保し、人流対策や野球興行・イベントなどの運営面を支えている。
公共との関係性とも言える事業手法は様々だ。先述の町営スキー場のような管理受託もあれば、PFI事業、指定管理者、地域連携などもある。最近は、公共が施設運営の権利を一定期間譲り渡すPFI事業、いわゆるコンセッション方式に基づく事業にも参画する。
東急コミュニティー営業開発本部PPP営業部のメンバー
地域活性化に向けた運営経験
コンセッション案件に生かす
一つは、愛知県が1992年、名古屋市内に開設した愛知芸術文化センターだ。各種ホールを持つ劇場や美術館などで構成する複合施設。県では指定管理者に建物と劇場の運営・管理を任せてきたが、27年4月から15年間、コンセッション方式に基づくものに切り替える。
もう一つは、JR三ノ宮駅東側の再開発ビル建設に併せて国土交通省近畿地方整備局が整備・開設するバスターミナルと神戸市が所有・運営する既存のバスターミナル。「バスタ神戸三宮」という一体の施設としてコンセッション方式による整備・運営・管理を26年2月から15年間にわたって取り入れる。
愛知芸術文化センターは地元メディア企業、バスタ神戸三宮は地元交通事業者を代表企業とするグループが、それぞれ優先交渉権者に選定されている。同社はこれらの構成企業としても参画する。「当社は、構成企業としての役割を通じ、また周辺管理物件や地元企業と連携し、これらの施設を中心に地域の安全性向上や活性化にも貢献できるようにしていきます」(谷口氏)。
もともとマンション管理やビル管理を源流に持つ会社だ。管理会社としての基本姿勢は、資産価値の最大化にある。施設の運営・管理を通じて価値の最大化に寄与してきた。
施設単位での価値最大化に向けた取り組みを、先に紹介した「『点』から『面』への展開」という方針の下、地域単位での価値最大化に結び付けていく。地域との接点が増えれば、自治体との関係性はより強まる。
自治体との関係性が強まれば、地域の課題を共有できる機会が広がり、説得力のある提案につなげられる。関係性強化の機会としては、自治体職員向けにPPP・PFIに関するセミナーを年2回開催する。参加者からは、「具体的に進めていくイメージができた」「複合型公共施設の事業手法について相談したい」など、多くの声が寄せられる。
「地域が抱える課題に地元の企業と一緒に取り組み、互いの経験を生かしながら、その地域の活性化に貢献していきたいですね」。地域に根差す各地の企業に向井氏はこう呼び掛ける。




