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特集

迫る「2025年の崖」を中小企業はどう乗り越えるのか?
2024年8月29日公開

迫る「2025年の崖」を中小企業はどう乗り越えるのか?

-人的資本とデジタル資本への投資がDXを成功に導く-
日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ所長 大和田尚孝氏インタビュー

人的資本と同様にデジタル資本への先行投資が次なるビジネス成長をもたらす

課題は見えているものの、DX推進に向けた長期投資に踏み切れない企業も多いと聞きます。これからの経営者・IT担当者にはどのようなマインドが求められるのでしょうか。

大和田 例えば、企業が優秀な人を採用したい場合、平均より高い年収など、厚遇をもって迎え入れようとするケースは多いと思います。DXも同様であって、高い成果を求めるのであれば、デジタルツールに対して事前に十分な投資を行わなければなりません。

 近年、「人的資本経営」といった言葉をよく耳目にします。これは社員の経験やスキルを「資本」として捉え、その成長に対して投資を行うというものです。対して、日本企業の場合、人には先行投資するものの、ビジネスPCを含むデジタルツールに関しては、投資として捉えられていないケースが多いように思われます。実際、デジタルツールをコストと考え、その選択にあたって価格を最も重視しているようなケースは少なくありません。

 「使った分だけ対価を支払う」という短期目線の考え方ではなく、「先行投資をして、後から成果を受け取る」という長期目線の考え方にシフトできる企業が、競争の激しい時代を強く生き延びていくようになります。まとめると、成果を生むDXのためには、長期的なリターンを見据えた視点に立ち、デジタル資本への先行投資を行っていくことが重要です。


人的資本とデジタル資本へのバランスのよい投資が必要なわけですね。

大和田 そうです。人材への投資、あるいは工場の生産設備への投資は、「人が増える」「設備が新しくなる」など目に見えるので誰にも理解されやすい。一方で、デジタルへの投資は直接目に見えないことも多く、投資する理由や、その後の効果を説明しづらい。だから投資が出遅れたり、そもそも「コスト」と捉えたりしがちです。しかしDXを成功させるには、そのマインドセットから変えていく必要があります。


ビジネスPCがDX推進のキーポイントとなる理由

DXを支えるツールの1つであるビジネスPCの役割についてお聞かせください。

大和田 DXを実現するためのシステム化に取り組んでいくにあたって、見落としてはならない要素の一つが、社員が利用するエンドポイントデバイス、すなわちビジネスPCです。先にも述べたように、DXの神髄はデータ活用にあります。どんなに素晴らしいシステム基盤が整っていても、実際に社員がデータを利活用するための入り口となるビジネスPCがボトルネックとなってしまってはDXに歯止めがかかってしまいます。ビジネスPCの選択も、2025年の崖への対処、ひいてはDX推進の成否を分ける重要なポイントとなります。


ビジネスPCを選択するポイントについてお聞かせください。

大和田 データを活用してビジネスを強化していくためには、収集された多種多様なデータを人が分析し、判断を下さなければなりません。まずは、膨大なデータであってもスムーズに処理できる優れたパフォーマンスが不可欠です。また、社外への持ち出しに伴い、紛失や盗難時の情報漏洩のほか、マルウェア感染を防ぐための、より強固なセキュリティも考慮しなければなりません。ビジネスPCを入口に膨大なデータにアクセスできるようになった時代だからこそ、デバイスの信頼性・セキュリティの重要性が増しています。



中小企業のDXを加速させるビジネスPCには、具体的にどのような機能が求められるのでしょう。

大和田 性能面では、膨大なデータの処理や、複数のアプリケーションを立ち上げるマルチタスクにも対応可能なパフォーマンスを引き出すための、最新CPUの搭載や十分なメモリ容量が必要です。また、オフィスの外にビジネスPCを持ち出して仕事をすることが増える中では、故障を生じさせないための頑丈性、持ち運びに負担がかからない軽量さ、充電を気にせず業務に集中できる長時間駆動のバッテリーが重要となるでしょう。これらモバイル性に優れたビジネスPCを使用し、場所やシーンを選ばずシステムにアクセスすることができれば、社員の生産性も高まるでしょう。


セキュリティ機能についてはいかがでしょうか。

大和田 マルウェア感染や情報漏洩のリスクを考慮し、ビジネスPCをオフィス外に持ち出させたくない、と考える情報システム担当者は少なくないでしょう。しかし、リモートワークが加速し「どこでもいつでも仕事ができる」ようになった昨今、リスクに捉われ、業務遂行の柔軟性を欠かしてしまったのでは、時代の変化に対応できず、ビジネス活動のパフォーマンスが著しく損なってしまうおそれがあります。ビジネスの柔軟性を確保するためにも、セキュリティ機能も重視しなければなりません。

 外に持ち出して利用することが前提となれば、当然ながらオフィス内で利用するよりも一段高いセキュリティ機能が必要です。まず生体認証の搭載など、本人以外が利用できない確実な認証は考慮すべきポイントとなります。このほかにも、万が一ビジネスPCが盗まれたり紛失したりした場合に、遠隔からPC内のデータを消去可能な仕組みなども、企業のセキュリティ対策として有効でしょう。


指紋センサー搭載でセキュリティ機能に優れた「レッツノートSR」。
指紋センサー搭載でセキュリティ機能に優れた「レッツノートSR」。

これからDXに取り組む、あるいは現在進行形で取り組んでいる中小企業にメッセージをお願いします。

大和田 中小企業の成長の前提として重要なのはビジネスモデルの在り方です。どのような社会課題を解決するために、自社の価値を提供するのか。そうしたビジョンの実現のために「人とデジタル」が存在します。まずビジネスモデルがあり、人的資本とデジタル資本にバランスよく投資していくこと。実行を決断するのはトップの役割であり、高い視座を持って推進・サポートしていくのは情報システム部門の役割だと考えます。

 ビジネスPCはデジタルと人間のインタフェースを担うものであり、今後デジタル社会が本格化する中で、その役割はますます重要なものとなります。したがって、ビジネスPCの導入は、コストではなく投資と捉えるべきでしょう。より優れたビジネスPCを選択し、その性能を最大限に活用することで、デジタルの世界に広がる無限の可能性を、自社の競争力強化に取り込めるようになるのです。

 中小企業の経営者やIT担当者は誰しも日々の業務で忙しいことと思います。だからこそデジタル資本への先行投資によって、この競争の激しい時代に大きな成長を勝ち取ってほしいですね。


目前に迫った「2025年の崖」が突きつける課題を、中小企業の成長のチャンスにするべきだと語ってくれた大和田氏。
目前に迫った「2025年の崖」が突きつける課題を、中小企業の成長のチャンスにするべきだと語ってくれた大和田氏。





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