活用事例

馬術競技の成績集計を効率化し 観客・選手の満足度向上に貢献する「タフパッド」
直射日光、砂埃、雨…。苛酷な競技環境で入力端末に不具合が頻発

ただし、問題もあった。採点データの入力には、当初、タッチパネル式のノートPCを用いていたが、晴天の場合、周囲の明るさで画面が見えなくなり、入力に支障をきたしてしまう。また、審判席は、激しく動き回る馬たちのすぐ目の前に設置されているため、砂埃が舞う。この砂埃によって、液晶が砂まみれになってタッチ操作ができなくなったり、内部に砂が入って熱暴走を起こして動かなくなったりといったトラブルが頻発していたのだ。さらに、雨が降ると、仮に審判席に屋根があったとしても、横から吹き込んでくることもある。
「競技会のたびに毎回、必ず何らかのトラブルが発生して、競技が止まってしまっていました。最初のほうは調子がいいのですが、日が昇って、気温が上がり、さあこれからメインの競技、となった時にタッチパネルが動かない、といったことも何度もあって。このため、競技会が開催される屋外の苛酷な環境でも使える端末はないか、探し始めたのです」
タフパッド導入後は成績集計トラブルの発生がゼロになる
そこでノートPCに替わるデータ入力用の端末として黒川氏が選択したのが、以前から気になっていた「タフパッド」だった。2016年8月より、10.1型画面の「タフパッド FZ-G1」を11台導入。実際に競技会で使ってみて、その導入効果は期待以上だったと黒川氏は言う。
「強力な防塵・防水性能を備えているので、砂埃が舞っていても、雨が降っていても大丈夫。しかも頑丈なので、審判席で万が一落としても大丈夫です。審判席に馬が飛び込んでくることもないとは言えませんから(笑)。液晶の輝度も高く、直射日光下でもしっかりと画面が見えます。導入以来、ゲリラ豪雨の中など、かなり苛酷な環境でも使ってきましたが、トラブルが発生したことは一度もありません」
最大11時間と、バッテリー駆動時間が長いのも大きなメリットだ。従来使っていたノートPCだとバッテリーが持つのは数時間程度。そのためバックアップ用のマシンを何台も用意し、休憩時間のたびに交換していたが、その必要もなくなった。
また、「FZ-G1」はSIMカードスロットも内蔵。ここにMVNOのSIMを挿入して、データ通信が行えるようにしている。
「電源を入れて立ち上げたらいつでもどこでもすぐに通信が可能になるのは、集計システムのクラウドサーバとデータをやり取りする上で大きなメリット。以前はノートPCにUSBのドングルタイプのモバイルルーターを挿して使っており、いちいちパソコンを起動し、通信状態を確認してから集計システムのアプリケーションを立ち上げなくてはならず、非常に面倒でした。モバイルルーターをノートPCの台数分用意しなくてはならず、その管理も大変でしたし」と黒川氏。MVNOのサービスもパナソニックが提供しているものを利用。大手キャリアのモバイルルーターを使っていた時に比べて、通信コストも大幅に削減できた。
総合馬術競技ではタフパッドの強みがいっそう発揮される
アルネッツでは現在、タフパッドを用いた集計システムを馬場馬術競技で使っているが、今後は障害馬術競技や総合馬術競技での活用も視野に入れている。
特に総合馬術競技では、広大な自然を舞台に行われるクロスカントリーが加わる。競技エリア内には20ヶ所ほどの地点に審判が配置されるが、エリアが広いため、従来は全ての審判を回って採点用紙を回収するのに非常に時間がかかっていた。その点、この集計システムを使えば、各審判がタフパッドで入力したデータを、その場でクラウドサーバに送信してしまえばいい。
「この際に使う端末は、それこそタフパッドしか考えられません。土砂降りの雨の中でも競技が行われますし、移動中に転んだり、落としたりといったことも充分考えられますので、タフパッドの強みがいっそう発揮されるでしょう。審判席が設けられないため立ったまま入力することになる上、コース上の障害物を審判が直したりもするので、より小型で軽量な7型のタフパッドのほうが向いているかもしれません」
日本では欧米に比べ、まだメジャーとはいえず、選手数も限られている馬術競技。2020年の東京オリンピックに向け、ファン層を拡大し、存在感を高めていくには、成績をできる限り早く発表するなど効率的かつスピーディーな大会運営を行い、観客を楽しませることが欠かせない。
「そのためにも、今回開発した集計システムをさらに普及させ、国内のスタンダードとして位置づけられるようにしたい。タフパッドの重要性も、ますます高まっていくはずです」。黒川氏は今後の展望を、こう力強く語った。
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