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「倉庫の見える化」と「配送の見える化」が悩める日本の物流を変える
業務の効率化と正確性のための倉庫見える化ソリューション

「倉庫見える化ソリューション」は、ZETES(ゼテス)社のサプライチェーン向けソリューションの一つで、音声によるピッキングサポートと入出庫時のバーコード一括読み取りの2つの機能を提供する。
現在、多くの倉庫内の作業指示は、どの棚からいくつカートに入れるのかというピッキング指示も含めて、紙ベースで行われていることが多い。これでは非効率で間違いも発生しやすいが、倉庫見える化ソリューションでは、ピッキングの作業指示を音声で行うことができる。
倉庫内で作業する作業者はヘッドセットをしてハンドヘルド端末を通して音声で作業指示を受け取る。新しい注文が入るとヘッドセットから音声でどの棚の商品なのかという通知があり、指示された場所に着いたことを報告すると、何をいくつピックアップするかが指示される。
作業が終了して商品や個数などを報告すると、間違っていた場合には、改めて音声で追加の指示が出る。全てのやりとりが音声で行われるので、フリーハンドで作業に当たれるために、作業効率も向上する。


もう一つのバーコード一括読み取りの機能を使えば、倉庫の入出荷時の検品作業の正確性と効率化を大幅に向上させることができる。画像認識機能によって移動している複数のバーコードを一括で読み取り、倉庫管理システムと連携して瞬時にデータを突き合わせる。間違いがあれば、どれが間違っているのかを、ひと目でわかるように提示してくれる。
ブース内では、トレーに積み込まれてレールの上を移動する複数のケースのバーコードをカメラで瞬時に一括して読み取り、間違ったケースを提示するというデモンストレーションが行われていた。この一括読み取り機能は、カメラと照明とPC、そして専用ソフトウェアから構成される。

※銀色の筐体は展示用のものとなります。

「倉庫見える化ソリューションは、効果がわかりやすいだけに、来場者の反応はすごく良かったです。今すぐ導入したいというお話もいただきました」と説明に当たったパナソニックの高岡晴義氏は語る。企業規模を問わずに活用できるソリューションと言えるだろう。
配送の一元管理を可能にする配送見える化ソリューション
もう一つの注目されていたソリューションは「配送見える化ソリューション」だ。やはりZETES(ゼテス)社が開発したもので、こちらは昨年12月から日本での提供を開始している。システムとハンドヘルド端末「TOUGHBOOK(タフブック)」とサポートを含めて、主にメーカー、卸、小売などの荷主と3PL向けに提供されている。
配送見える化ソリューションの特徴は、異なる3PLや配送業者のトラックの位置や配送の進捗状況を、ひとつの管理画面からリアルタイムに一括して管理できることだ。運行管理者のPCとドライバーのハンドヘルド端末を、クラウドサーバーを通じて相互連携させることで実現する。

ドライバーはハンドヘルド端末を介して、正確な配送業務指示を受け取り、集荷や配達の報告を端末から行う。運行管理者は電話で問い合わせることなく、進捗状況がわかり、管理画面ではトラックの配送ルートの予実比較や現在位置の把握、配達の進捗状況が一括して一覧表でビジュアルに表示される。
配達完了時には現場で電子サインをもらうことができ、リアルタイムで配達完了のエビデンスを確認できるので、誤配送の心配もなくなる。トラブルが発生した場合も、現在位置を確認できていて、状況を写真で報告することもできるので、適切な指示を出すことができる。


これまで配送を外部に委託している荷主からは、進捗状況が見えないという声が多かったが、この配送見える化ソリューションを活用すれば、すべての委託業者を一元管理できるようになる。またクラウドサービスなので初期投資を抑えて手軽に導入できるというのも魅力的だ。
この他にも、パナソニックブースでは、棚卸しや欠品検知、行動分析、顔認証などの「見える化・データ活用ソリューション」と、荷仕分け支援、自動搬送、温度センシング、空間採寸などの「自動化・作業支援ソリューション」が展示されていた。
パナソニックには、多くの課題を抱えると言われる日本の物流に向けた大きな貢献が期待できそうだ。