
長野県飯山市。新潟県との県境に近いこの地にマウスコンピューターの飯山工場はある。40年前の創業期から使われている建屋は歴史を感じさせるが、清潔かつ整然とした状態が保たれている。物品が増えれば倉庫として、注文が増えれば組み立てや検査の作業場所を拡げるなど、柔軟な運営ができるようになっている。
パソコン組み立ての流れは、パーツを入庫する「部材受入」、1台のパソコンを組み上げるのに必要なパーツを集める「ピッキング」、実作業の「組み立て」、稼働を確認する「検査」、そして「出荷」に分けられている。飯山工場で注目すべきポイントは、どの工程にもチェック機能が盛り込まれていることだ。また、組み立てや検査に関わる人は様々な工程を担当できるよう、経験を積むことになっている。「注文状況に合わせて臨機応変に対応し、お客様をお待たせしないためです」と松本一成工場長。


部品はトレーラーと10トントラックで届けられる。

発注通りの部品が届いたかどうかを確認し、それぞれに個別のバーコードを割り振る。これをもとに、今後の工程が管理される。部品はいったん、部品置き場に置かれる。

お客様からの発注情報は、紙で管理される。注文を受けたCPUやHDDなどの詳細情報が1枚の紙に落とし込まれる。これをもとにスタッフが、それぞれのパソコンに必要な部品を部品置き場から集めてくる。

集めた部品に間違いがないかどうかをチェック。「折りコン」と呼ばれるコンテナ1個が、ひとつのパソコンに相当。中にパーツが入っている。

箱に入った食材を使い切って料理をするように、折りコンの中の部材を組み合わせてパソコンを作り上げる。担当者のほとんどは女性。細かい上、根気も必要な作業には女性が向いているのだとか。

別の担当者が、きちんと組み上がっているかどうかを確認する。この時に、組み上げたパソコンに通電する。主にメモリーが正しく動作するかなどの検査を行う。

さらに、検査。これは、より長時間の稼働に耐えられるかどうかを確認する工程だ。想定されるよりも過酷な環境下で、一定時間以上、問題なく稼働することを確認する。

より広い範囲をチェックする工程。スピーカーから音は聞こえるか? 光学ドライブはスムーズに動くか? ユーザーが不具合を感じないよう、念入りに検査を行う。

できあがったパソコンと、それに加えるべきマニュアルや付属品を箱に入れていく。

ここまでの検査はすべての製品に行われるが、最後に、ふたをするだけの状態のものの中から、ランダムに製品を抜き出し、最終チェック。傷がないか、添付物は不足していないかなど、入念に確認する。

部品が組み上がってここまでやってくるのに、1日から1日半。最初のトラックは14時台には製品を積み込みにやってくる。

構成表通り、つまり、注文通りにできあがっているかどうか、すべて問題なく動くかどうかを紙で確認。この紙の色で、出荷すべき曜日が分かるようになっている。

法人向けブランド「MousePro」の製造過程では、より厳しい検査が行われる。ビニールで覆われたスペースは気温が35度に保たれ、そこでの稼働検査に耐えられたものだけが、次の工程へ進む。

法人向けの需要が急増しているサーバーは、あらゆる工程を担える担当者が基本的に1人で行う。注文に応じた、柔軟な製造体制だ。エージングは3日間ほど行われる。
必要と考える検査を実施するために、独自に作り上げた検査設備も少なくない。「既製品と違い、プロセスの見直しなどにフレキシブルに対応できますし、結果的にコストも抑えることができます」(松本工場長)。
丁寧に組み上げられ、厳しい検査すべてに合格した「日本品質」のパソコンだけが、出荷用のトラックに載せられ、お客様の手元に届けられる。