

イラク北部の代表的な都市、スレイマニアを訪れました。
緯度は日本の横浜市や島根県松江市と同じくらい。先に訪れた南部のバスラ(前章参照)の緯度は種子島や屋久島と同じくらい。500キロ近く北上したことになります。標高も900メートル近くあるため、摂氏50度までしか計れない寒暖計が振り切れた灼熱のバスラと比べると、比較的過ごしやすい気候です。ただし、高原とはいえ盆地なので、やはり暑いことは暑く、気温は7月時点で40度くらいまで上昇しました。
土地の大半は森林山岳地帯です。そのため、道路もうねうねと曲がりくねっていますが、舗装も進んでおり、道路のインフラはかなり整いつつあります。こうした道路の脇には、畑が広がり、ビニールハウスも見えます。
イラクにおける日本の国際協力を担当し、取材に同行してくれたJICA中東・欧州部中東第二課(当時)の木村出さんに、スレイマニアの農業事情を訊いてみました。













このように、イラク農業の復興には日本が重要な役割を果たしています。ポイントはやはり水回り。灌漑設備の充実・効率的な水利用が、乾燥したイラクの農業にとっては欠かせないのです。
車を降りて、畑の近くまで行ってみましょう。

土の匂いがします。南部の乾いた砂の匂いとは違い、生命力を感じさせる匂いです。ビニールハウスで栽培されているのは、トマトでしょうか、ウリでしょうか。
緑に触れていると、なんだか気分まで軽くなります。理由は気候のせいだけではありません。
ここ北部農業地帯での取材時には、防弾チョッキを着ていないからです。
別の回で解説しますが、イラク滞在中、私たちにはずっとセキュリティ会社のボディガードがついていました。さらに防弾チョッキの着用も義務づけられました。前回取材した南部のバスラでもそうでしたし、この後訪れるバクダッドでも、防弾チョッキは欠かせませんでした。バクダッドは、いまだにテロの危険性を考え、一般外国人は自由に市内を歩けません(2011年夏現在)。
しかし、スレイマニアでは、ボディガードも防弾チョッキもいらないのです。南部に比べて圧倒的に治安がいいからです。
JICAもクルド人自治区の中心エルビルに拠点を持っていて、隣県のここスレイマニアでも活動しています。こちらでの活動をJICAの木村さんにお伺いしました。