プラスアルファ・コンサルティング
ソリューション講演
人材データを活用した科学的人事がもたらす効果とは?
人的資本経営には、“あるべき姿”からバックキャスティングした人事戦略が必須となる。こうした戦略を支えるのがデータを駆使したタレントマネジメントシステムだ。「タレントパレット」の担当者が実例を交えながら次世代HRのあり方を示した。
プラスアルファ・コンサルティング
HRソリューション本部
副事業部長
守田 康明 氏
人事領域でのデータ分析・戦略的な活用を支援するタレントマネジメントシステム「タレントパレット」で名高いプラスアルファ・コンサルティング。だが同社はビッグデータを緻密に解析するマーケティングソリューションが出発点だ。文章データを分析するテキストマイニングツール「見える化エンジン」、マーケティングプラットフォーム「カスタマーリングス」を中心に高い評価を得ており、これらのSaaSツールは約4500社に導入されている※。
※出所:富士キメラ総研ソフトウェアビジネス新市場2023年版
プラスアルファ・コンサルティング
HRソリューション本部
副事業部長
守田 康明 氏
マーケティング支援で培ったノウハウを応用し、人事戦略にマーケティング視点を取り入れたツールがタレントパレットである。プラスアルファ・コンサルティングの守田氏は「人事領域ではまだまだ属人的な意思決定から脱却できていません。人的資本の最大化に向け、2016年に提供を開始したのがタレントパレットです」と説明した。
現在はビジネスを取り巻く環境が激変し、先が読めない時代に突入している。そのため、いかに変化に強い人材を育て、同時にしっかりと多様性を高めていくかが鍵を握る。並行してジョブ型雇用の浸透や人的資本経営がトレンドになり、従来の人事評価・管理制度では対応しきれないケースも増えてきた。
とりわけ上場企業は人的資本の開示によって定量的な人事戦略の実践が投資や企業価値の向上に直結する。これを受け守田氏は「経営戦略を起点に人事戦略を考える潮流が生まれています。人的資本経営においては、“人材”こそが経営戦略のキードライバーです」と指摘した。
「これまでは人を軸に職務をアサインする適材適所が主流でした。しかし今後は経営戦略と密に連動しながら役割を創出し、そこに適切な人材を配置する『適所適材』のポジションマネジメントが求められます。さらに次世代人材を育成するサクセッションプランニング(後継者育成計画)も重視されています」(守田氏)
経営戦略起点の人事戦略には、データの活用が不可欠となる。企業の人事管理システムには時系列でたくさんのデータが蓄積されているが、これらをつなぎ合わせるのは容易ではない。採用、人事・労務、配置、育成、評価などそれぞれのフェーズでデータが部分最適化されており、一気通貫で可視化することが難しいからだ。
「情報が縦割りで分散しているため、多角的にデータを確認・分析しながら意思決定ができる状態に整備されていない課題があります。そこで我々はマーケティング発想で一元的にデータを管理・可視化できるようにしました。タレントパレットの強みはデータを活用した科学的人事にあります」(守田氏)
人事が現在抱えている課題のみならず、中期的な経営課題としての人材活用を見据えて、タレントマネジメントシステムを導入
タレントパレットは導入法人数が3000を突破(契約社数1380社、2023年9月末時点)。メーカー、金融、流通、小売、サービス、医療、IT、人材、マスコミ、公共インフラ、自治体など幅広く網羅している。業界によって導入目的は様々だが、ダッシュボードの一元化による業務効率化はもとより、中長期的な視点で人材活用に役立てていることが多い。
守田氏は実際のサンプル画面を映し出しながら代表的な機能を解説した。複数データを掛け合わせられることがポイントで、縦軸に事業部、横軸に役職といった形で人材の現在地点を瞬時に把握可能。データの組み合わせは自由に切り替えられ、例えば「過去3年間の平均評価」と「残業の月平均時間」での並び替えもできる。
「このデータの掛け合わせから、左上に位置する社員は非常に生産性が高く、現場での評価も高いことが見えてきます。そこにスキルや適性、現場のマネージャーとの面談による客観的評価、勤怠の推移から分析したモチベーションなどを加えてあらゆる角度から可視化し、まるでカルテのように閲覧・確認できるのが特長です」(守田氏)
すでに導入企業で実践しているいくつかの事例も興味深い。約4万人を有するITソリューション企業ではグループ全体の研修プラットフォームとしてタレントパレットを展開。豊富な人材データに基づいて「自分に何が足りないか、何を学ぶべきか」を的確にレコメンドし、リスキリングや自律的なキャリア形成を推進している。「自分の立ち位置を理解したうえで研修を受ける仕組みのため、一人ひとりの成長を促すことができます」と守田氏は話す。
またタレントパレットにはジョブ型雇用、サクセッションプランニングを促進するポジション管理機能が搭載されている。複合的にデータを参照しながらキーポジションに対して“人材のポテンシャル”を洗い出し、適所適材を実現するものだ。
「仮にDX戦略推進部長をアサインする場合、まずはジョブディスクリプション(職務記述書)の形でどのような経験やスキルが必要であるかを定義します。この定義に従ってタレントパレットのデータから適切な人材が自動的に選出されます。マッチ度が100%のこともあれば75%のこともありますが、75%の人材は次世代の経営人材候補として育成の対象となります。このように、データに基づいた議論が可能になるのです」(守田氏)
ある食品メーカーでは、社内公募にこの機能をフル活用している。以前から現場の挙手制によって社内公募を行っていたが、応募率が低いことが課題となっていた。そこで数十社にも及ぶグループ全体をタレントパレットで一括管理。社員本人がポジションのマッチ度を確認した後にチャレンジできるようにした。
「スキルギャップを埋めるために研修メニューに取り組むなど、自律的成長を促しています。経営陣が望むポジションに対して社員自らが考えて実践して応募する流れは、まさに経営戦略と人事戦略を連動させた事例といえるでしょう」(守田氏)
今後のキーテクノロジーといわれる生成AIの融合にも意欲的だ。人事データ、人材データ、非人事データなど社内の各所に分散するデータを集約して生成AIにインプットし、社員の紹介文、分析結果の解説文を自動生成する機能をすでに実装済み。さらに自然言語による社員検索機能も予定している。
「社員の紹介文には勤務年数や過去のキャリア、適性などが網羅されているので、パフォーマンスや人物像がひと目で分かります。これにより人材活用が活性化するとともに現場のマネジメント力の強化につながります。自然言語の社員検索機能では『営業経験が3年以上あり、英語が得意な革新性の高い若い社員』といった質問を入力すれば、生成AIが適合する人材を自動でピックアップしてくれます」(守田氏)
生成AIを活用することで、多岐にわたる人事データをより活用しやすくできる
ここまで紹介した一連の機能は大幅な業務効率化をもたらすものだが、一方で守田氏は「可視化や効率化だけで終わらせない、真のタレントマネジメントを実現することが非常に重要」と訴える。
「なぜなら効率化が目的になってしまうと失敗に終わることが多いからです。意思決定支援に人材データを活用することを最終ゴールに定め、あるべき姿から逆算して業務効率化に取り組めばタレントマネジメントシステムによるデータ分析が定着するに違いありません」(守田氏)
いずれにしろ、人材活用のレベルが企業の競争力を左右することは自明の理だ。これを踏まえ守田氏は「ビッグデータを駆使したマーケティング思考の人事戦略が、これからの時代を生き抜くための大きな武器になると考えています」と改めて強調した。同社が掲げる科学的人事は、人的資本経営におけるスタンダードになるのかもしれない。
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副事業部長
守田 康明 氏

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