AI技術を活用した攻撃に対し、企業はどのように備えるべきなのか。これについてOktaは、複雑化した環境を包括的に保護するアプローチを提唱している。
「認証を行う瞬間だけでなく、アイデンティティが生まれてからなくなるまでのライフサイクル全体を守る視点が不可欠です。アクセス管理やガバナンス、特権管理、脅威の検出といった施策を自動で連携するようにし、アイデンティティを守る仕組みを実現するのです」と板倉氏は述べる。Oktaのプラットフォームを利用することで、これを実現できるという(図1)。
同時に、個別の対策も必要だ。一例としてOktaが提案するのが「Okta FastPass」である。
これはユーザー認証に公開鍵暗号を使用することで、パスワードなしの認証を可能にするソリューション。パスワードの漏えいにかかわるリスクをなくすほか、認証時の手間も削減することが可能だ。
「Okta FastPassでは資格情報をドメインと関連付けているため、別のドメインを持つ偽サイト、フィッシングサイトでは認証が成功しません。認証はスマートフォンやセキュリティーキーなどの認証器に基づいて担保します」(板倉氏)
さらに、高度化する攻撃に備える上で重要なのが、守る側もAIを活用するアプローチである。目には目を、「AIにはAIを」というわけだ。
例えば、自社アプリケーションをリリースする前の脆弱性診断にAI技術を活用すれば、攻撃者の狙い目になる脆弱性を、効率的かつ網羅的に見つけ出して修正できる。マルウエア対策においても、従来のシグネチャベースの検出だけでなく、AIの振る舞い分析や強化学習を活用することで、検出精度を大幅に高めることができるだろう。
「ディープフェイクに対しても、ディープフェイク検出AIやブロックチェーンと組み合わせた改ざん検出などで不審なものを早期に見つけられるようにします。脅威を検出したら、AIを用いて自動修復を行い、次の攻撃への対策を強化するのです」と板倉氏は話す。
Okta自身も社内でAI技術を積極的に活用しているほか、ソリューションへの実装も進めている。一例が、2024年にリリースした「Identity Threat Protection with Okta AI」(以下、Okta AI)だ。認証に成功したデバイスを継続的に監視し、IPアドレスの変化や連携する他社製SASEなどから得られる情報を基に不審な動きを検知する(図2)。
「高リスクなアクションがあった場合は、アプリケーションへのアクセス権を無効化するなどの対応を行います。これにより、認証時だけでなく、認証後を狙った攻撃にも対応することが可能です」と板倉氏は強調する。
この認証後の攻撃を防ぐことは、アイデンティティ保護の世界で近年、重要度を増している取り組みだ。なぜなら、一度認証したユーザーやデバイスに対しては、監視の目をゆるめる企業・組織が多く、そこが攻撃者の狙い目になっているからだ。
「しかし油断は禁物です。例えば、インフォスティーラー(Infostealer)というマルウエアを使って、ブラウザに保存されているセッショントークンを盗み出す事例が確認されています。またフィッシング攻撃により、攻撃者が制御する透過プロキシ経由でサインインをさせて、セッショントークンを傍受するケースもあります」(板倉氏)。このような手口から情報を守るには、認証後のセキュリティーも強化するOkta AIが有効だという。