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効率化・人手不足解消に挑む「進化を続ける物流」

2024年問題はどうなったのか? その顛末と教訓

サプライチェーンを止めないために
学びをどう生かすか

日本ロジスティクスシステム協会 理事
JILS総合研究所 所長
北條 英

「物流の2024年問題」は、結局どれほど影響があったのか? また、今後の物流を持続可能にするために、何をしなければならないことが分かったのか? 公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会の理事でJILS総合研究所 所長の北條英氏が、2024年問題の“学び”と「物流の2030年問題」に向けての課題を挙げた。

地道な努力が実を結び2024年度は
何とか運び切ることができた

トラックドライバーの年間時間外労働時間の上限が960時間に制限され、従来のようにモノが運べなくなることが懸念された物流の2024年問題。

貨物自動車運送事業者の売り上げ、利益の減少や、労働時間の減少によるドライバーの収入の減少、そして何より、物流の停滞によって、社会や産業、国民の暮らしに多大な悪影響を及ぼすことが危惧されていた。すでに960時間規制が始まってから1年以上が経過したが、初年度の影響はどうだったのだろうか?

「結論から言うと、2024年度は何とか荷物を運び切ることができたようです。理由として考えられるのは、そもそも輸送量が減ったこと。そして、営業用貨物自動車のロードファクター(輸送トンキロ÷能力トンキロ)が向上したことです」と、JILS総合研究所所長の北條氏は講演で語った。

北條氏によると、24年度の営業用貨物自動車(いわゆる緑ナンバー)の輸送重量は、コロナ前の19年度に比べて3億トンほど減少したようだ。

一方、トラックの積載効率を表すロードファクターは、「19年度の37.8%から41.3%へと3.5ポイント(9.3%)向上した」と北條氏は推計。輸送量が減り、積載効率が上がった結果、トラックドライバーの労働時間が短くなった分を何とか補うことができたようだ。

では、なぜロードファクターは向上したのか? 北條氏は「荷物の積載重量をなるべくトラックの最大積載重量に近づけたり、『今日運ばなくてもいいものは明日運ぶ』といったように取引条件を見直すなど、荷主や物流会社による地道な努力が実を結んだようです」と分析する。

高齢化率とトラックの出荷ロットの関係

高齢化率とトラックの出荷ロットの関係

物流の能力が競争力を左右する時代において、企業は調達、生産、販売のほか、物流も統合したサプライチェーン・マネジメントを確立する必要がある。これを実現するには、不合理な商慣習の見直しや、物流DXが必須だ

「問題は今後」。物流の重要性を
理解し積極的・戦略的な投資を

こうして物流の2024年問題は何とかやり過ごすことができた。だが、北條氏は「問題は今後」と説く。「慢性的なドライバー不足によって、今後、構造的な輸送力不足がより現実味を帯びていくはず。抜本的な対策を講じないと、いよいよサプライチェーンが機能しなくなってしまう恐れがあります」(北條氏)。

ドライバーの人手不足や高齢化の問題はよく語られるところだが、深刻なのは高齢化が進むとトラックの出荷ロットが減少することだ。「高齢化率と出荷ロットには負の相関関係があり、このまま高齢化が進むと出荷ロットが小口化し、その結果、2030年には2トン車の積載率が22%まで減ってしまいます。同じ量を運ぶためにはより多くのトラックやドライバーが必要となるわけですが、もちろん現実的ではありません」と北條氏は説明する。

積載率が減ると、貨物重量当たりのCO₂排出量が増え、物流コストも上がる。高齢化や人口減少は抗いようのない構造的な問題であるため、荷主や物流会社はそのトレンドを真正面から受け止め、抜本的な物流変革に取り組む必要があるのだ。

「30年に向けて荷主や物流会社が取り組むべきは、さらなる積載効率の向上、共同配送の推進、物流DXなどです。物流会社は、人材の確保のため、長時間労働の是正や給与・待遇の改善、副業人材や外国人材の活用などに、これまで以上に取り組むべきでしょう。経営者は、物流を止めないことの重要性を十分理解して、戦略的な投資を行っていくべきです」と北條氏は提言した。

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