ADEKA
最先端半導体材料の開発に経営資源を集中
革新的材料の創出を加速し
半導体のさらなる進化を支える
現代社会の「戦略物資」である半導体。今後の進化には、半導体そのものを再発明するかのような「破壊的技術革新」が必須となる。半導体材料も同様だ。素材メーカーのADEKAは、経営資源を半導体材料ビジネスに集中する決断を下した。未来の半導体の進化を支えていく覚悟だ。
AIも、自動運転車も、スマートファクトリーも、すべて半導体の飛躍的進化を大前提として未来のロードマップを描いている。半導体が「戦略物資」と呼ばれるゆえんだ。ただし半導体も技術だけを追求していたのでは、進化を継続できない局面を迎えつつある。
ADEKA代表取締役社長兼社長執行役員の城詰秀尊氏は、「デジタル化・スマート化を推進する多様な業界の半導体ユーザーの期待に応えるため、半導体業界は今、次の半世紀を切り開くための技術的ゲームチェンジが求められていると見ています」と語る。
素材メーカーであるADEKAは、長年蓄積してきた高度な分子設計と合成技術を駆使して、先端DRAMの記憶素子形成に必須な材料や、プロセッサーなどの微細加工に用いる露光用感光材料(レジスト)の素材を中心としたビジネスを営んできた。同社の高度な材料開発力と安定供給力、品質管理力は顧客からの信頼が厚く、同社製品の世界シェアの高さがそれを物語る。
より微細で高積層、高集積な未来の半導体を実現するためには、チップやそこに集積する素子の構造、製造プロセス、利用する材料に至るまで、あらゆる側面を刷新しなくてはならない。微細加工技術の発展だけでは高性能チップの量産が困難になってきた現在、チップレットや3Dパッケージ技術など、後工程のさらなる高度化が必須だ。
ADEKA 代表取締役社長 兼 社長執行役員 城詰秀尊 氏
ADEKAの強さの本質は
顧客に寄り添った課題解決力
「ADEKAが得意とする半導体材料の領域でも、素子構造の立体化、高難度なEUV(極端紫外線)露光技術、次世代パッケージングの導入に向けて、新コンセプトの材料を数多く開発・供給していく必要に迫られています。そこで素材メーカーに求められるのは、既存の発想にとらわれない突き抜けた技術力です。私たちは深く広い知見とスキルを基に、半導体業界の課題を解決する新材料の開発・提供に挑んでいます」と城詰氏は力強く語る。
従来の同社は前工程の高度化に資する材料を中心に、高付加価値な素材を開発・提供してきた。今後は同社の技術力をベースに、従来領域での強みをさらに発展させながら、後工程やロジック半導体製造の進化を支える材料へと領域拡大していく(図)。
■図 前工程向け材料を強化、後工程向け材料にも領域を拡大ADEKAはEUV露光向けやDRAMの記憶素子形成向けなど、先端半導体の前工程の領域を中心に競争力の高い素材を提供してきた。今後は他業界で培った知見も融合させながら、後工程やロジック半導体のプロセスの進化を後押しする素材の開発・供給にも注力。半導体材料の総合トップメーカーを目指す
事業領域の拡大は簡単ではない。同社の勝算は何か。一つは、現在の半導体業界で「破壊的技術革新」を求められていること。明日の半導体業界を担う材料メーカーには、果敢に技術革新に挑む資質が必要だ。
加えて同社は、既存のビジネスを新規領域での技術革新によって切り開いてきた。半導体材料への参入は1980年代、国内半導体メーカーへ同社の祖業である電解事業から得られた塩素を高純度化しエッチングガスとして提供したことが始まりだ。同社の強みの本質は、顧客が抱える課題を深く理解し、多様な技術を駆使して解決策を見出し、求める機能を持つ素材の供給を迅速に具現化する力にある。
半導体特化の組織を新設
的確な技術革新創出を加速
世界中の国や地域で戦略物資となった半導体。開発・製造体制の整備が進む。ADEKAはグローバルで幅広い業界に向けて多様な材料を供給してきた。世界の半導体トッププレーヤーが集う韓台米に拠点(米国は営業拠点のみ)を構え、顧客課題を迅速に解決できるよう日本の先端研究と各国の開発が連携できる体制がある。21の国と地域にある同社グループ拠点もフル活用する。
同社は飛躍的成長が見込まれる先端半導体市場に経営資源を集中させていく。2025年4月、従来組織を再編。新たに研究開発・営業・マーケティングが一体となって対応できる半導体材料に特化した組織「半導体材料本部」を立ち上げた。“オールADEKA”で顧客との距離を縮め、課題や求められる技術像をいち早く把握。さらには装置メーカーなどサプライチェーン上のプレーヤーとの密な対話を通じて技術革新の動きを察知し、迅速かつ的確に応えられる体制を整えた。
同組織には、開発に特化する「半導体材料開発研究所」も設置した。2026年1月には、半導体・エレクトロニクスの研究開発を集約・拡張する「新研究棟」が完工予定。より深く広い領域の研究開発を迅速に推し進める拠点となる。同社の前工程向け材料の開発資産と他分野で培った技術を融合させ、前工程から後工程まで先端領域の課題を包括的視点から解決していく。
例えばディスプレーや電子機器向けなどの領域で培った技術の中には、半導体の技術革新に役立つものが多くある。次世代3Dパッケージに用いられる微細接合技術「ハイブリッドボンディング」や熱マネジメント(放熱)など、後工程の分野でも新材料を生み出す素地が、こうした領域に多くあると同社は見る。
知識集約を推し進めるため、他領域含む200人規模の研究者が新研究棟に集結。半導体材料に関わる人員も従来比1.3倍に増員した。新研究棟はワンフロア850㎡超のクリーンルームに最新の成膜装置をはじめとする評価設備を完備。顧客ニーズを捉えたタイムリーな新製品を開発できる。
「幸い、DRAM向け高誘電材料やEUV露光向けMOR(金属酸化物レジスト)の材料のような、ADEKAの素材なしには成り立たないと言っていただける技術領域もあります。これらはお客様から困難な課題をいただき、技術と知恵を絞って、投げ出すことなく真摯に解決に向けて開発に取り組んだ成果です。半導体業界の中で大きな存在感を放つこうした製品領域をさらに増やし、その未来を力強く支える企業になりたいと考えています。困難な課題に直面した時こそ、ADEKAを活用してください」と城詰氏は語った。
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