

西尾 DXの進展に向けて、多くの企業がレガシーシステムのモダナイゼーションに取り組んでいます。
モダナイゼーションは単なるシステムの刷新ではなく、ビジネス変革につなぐための戦略的な取り組みです。ただ一方で、それをうまく進められているお客様は多くありません。重松さん、お客様の現状や直面する課題について、教えてください。
重松 私自身新卒入社4年目で、複数のプロジェクトに携わってきましたが、代表的なのは、メインフレームベンダーの市場撤退、お客様社内の知見を持つ社員の高齢化などです。また運用・保守周りでもプログラムの巨大化・複雑化、ドキュメントの消失、オペレーションの属人化といった課題が顕在化しており、それが老朽化したシステムからの脱却を難しくしています。
西尾 私もこれまで多くのお客様を見てきましたが、やはりプログラムの巨大化・複雑化がレガシーシステム最大の課題だと感じています。そのため、いざ改修しようとしても場当たり的な改修になってしまったり、どの範囲までを移行ターゲットにしたりすればよいのか分からない状態になっています。
重松 仮にドキュメントは存在していても、度重なる改修によって最新化が追いついていないケースもあります。結局、運用保守を行えるのがソースコードを読める人に限定されてしまい、運用の属人化、次世代へ知見を継承できないといった状況が起こっています。

西尾 これらの課題を解決するテクノロジーとしてAIが注目されています。どのような活用法があるのでしょうか。
重松 大きく3つあります。1つ目は「プログラム分析」です。巨大化・複雑化したプログラムも、AIの分析にかければクラスやメソッドの関連図、階層構造を簡単に可視化できます。改修の範囲や難易度を把握できるようになり、改修計画立案時の属人化の排除、網羅的な調査と工数削減が狙えます。
2つ目は「設計ドキュメントの生成」です。COBOLやJCLなどのソースコードを読み込ませて、基本設計書や処理フロー図などを作成できます。
西尾 設計書はシステムが改修されるたびに最新化する必要があります。人手で行うのは大変な作業ですが、AIを活用すれば、工数削減や品質の均一化が図れますね。
重松 3つ目が「障害分析」です。設計書や過去の障害ログ、事例などをAIに読み込ませることで、発生した障害の一次分析を自動化できます。それを人がチェックする体制にすれば、効率的な障害対応が実現できます。
とはいえ、現状のAIは万能なソリューションではありません。いわゆるモダナイゼーションのコア領域では、AI活用がまだ難しいと考えています。
西尾 コア領域とは具体的にどのようなものですか。
重松 例えば、ソースコード/文字コードの変換が挙げられます(図1)。モダナイゼーションでは、COBOLをJavaに、EBCDICをSJISに置き換えるといった作業が発生しますが、これらは基本的に1対1で変換するため厳密な正確性が求められます。
図1 AI活用が適する領域、適さない領域
ノンコア領域はAIによってプロセスの効率化、リスク低減を図ることができる。一方のコア領域は、依然として人の手が不可欠だ
AIにはハルシネーション※のリスクがあるため、この正確性がクリアできません。また文字コード変換ではマルチレイアウトや例外データの特定が困難です。さらに、重要データをAIに学習させるリスクも懸念事項となるかもしれません。
加えて、ミドルウエアの構築もAIの適用が難しい領域です。それらはブラックボックス化していることが多く、AIへの入力情報が不足しがちだからです。性能のチューニングを含め、人手での対応が必須となります。
※AIが嘘をつくこと
西尾 このような、AIの「使いどころ」をしっかり見定めつつ、セキュアで効率的なモダナイゼーションを推進するためには経験豊富なパートナーが必須です。
その点アクセンチュアは、日本企業の複雑なレガシー環境を踏まえた総合ソリューション「MAJALIS」を武器に、3億ステップを超える豊富な移行実績を有しています。
国内最大規模のモダナイゼーション選任メンバーをそろえており、中核を担っているのが重松のような20代中心の「AIネイティブ」世代です。経験豊富な人材と先進的なAI活用の両面で、コア領域とノンコア領域、両方のモダナイゼーションをご支援できるのが大きな強みです。
重松 実際、モダナイゼーションにおけるAI活用には人のアシストが必須だと私も考えています。例えばドキュメント作成にしても、生成されるものは60点くらいの精度なので、そこから人がクオリティーを引き上げる必要があります。もちろんAIは今後も進化するので、あくまで現時点では、ということですが。
西尾 その通りですね。また、私はモダナイゼーションは「過去の清算」ではなく、「挑戦」だと位置付けています。
当社のモダナイゼーションチームが若手中心なのもそのためです。経験豊富なベテランの支援のもと、AIネイティブ世代が新しい感性で課題解決に向けた提案をすることが、お客様の新しい価値を生むと考えています。
アクセンチュアからお客様企業の若い世代にノウハウを継承することで、次世代のシステム構築・運用体制を整えることも可能になるでしょう。可能性を広げたいお客様は、ぜひ当社にご相談いただければと思います。
図2 アクセンチュアの強み
若手中心の体制に加え、強力な武器とするのが独自開発のリライトツール「MAJALIS」だ。レガシーなIT資産を高精度かつ効率よく変換できる
