

「会社に対する従業員の帰属意識(エンゲージメント)の希薄化が、従業員のモチベーション低下、組織の生産性低下を招いています」。そう語るのは、Staffbase Japanの赤平 百合氏だ。
同社によると、従業員エンゲージメントに影響を与える大きな要因が「コミュニケーション」だという。経営層と従業員、従業員同士のコミュニケーションギャップが大きいほど、従業員エンゲージメントは低下する。組織全体で情報を共有し、自由・闊達なコミュニケーションを行える環境をどう構築するかが、これからの企業の生産性を左右するといえるだろう。
「ただ、現在の日本企業は多くの課題を抱えています」と赤平氏は言う。例えば、世界最大級の従業員エンゲージメント調査会社であるGallupの調べによると、日本企業の従業員エンゲージメント率は世界最低クラスの「7%」。それが、実に年間86兆円規模の機会損失を生んでいるという。
「『メールが読まれない』『紙のお知らせが埋もれる』『現場まで情報が届かない』など、情報が思うように伝わらない状況は、多くの方が経験したことがあるのではないでしょうか。また、現在は価値観が異なる若い世代や外国人の入社、働く女性の増加などで組織のダイバーシティが向上しています。さらに、AIの登場によって情報との向き合い方も大きく変わりつつあります。何もしなければ、日本企業の従業員エンゲージメント率はさらに厳しい状態になるでしょう」と赤平氏は警鐘を鳴らす。
この状況を脱却するためには多面的な改革が必要だ。例えば、一方通行のトップダウン型コミュニケーションを是正することはその1つ。トップダウンとボトムアップ、両方の情報の流れを実現することが肝心になる。また、アナログなコミュニケーションも早急に脱却すべきだ。紙のチラシや掲示板での情報告知は場所に依存するほか、更新も遅れがちになる。デジタルを活用した方法に移行することが重要だ。
「物理的に離れた場所で働く社員・チーム間の連携強化や、多言語対応も考える必要があります。さらには、情報がちゃんと伝わったかを追跡して、エンゲージメントの現状を継続的に可視化することも欠かせません」と赤平氏は説明する。
Staffbaseは、AIを統合したEX(従業員体験)プラットフォーム「Employee AI」によって、このような条件を満たすコミュニケーション環境の実現を支援している。
Staffbaseの製品では、多彩な情報コンテンツの企画、制作、発信から実態の計測までを一元的に実行できる。同じ情報を全社員に一斉送信するのではなく、必要な人に、必要な情報を適切な仕組みで届ける。具体的には、スマートデバイス向けの従業員アプリ、Webサイト(イントラネット)、デジタルサイネージ、Eメール、SMSなど、個々の従業員の業務に即した多様なチャネルがその接点となる(図1)。
図1 EXプラットフォーム「Employee AI」
スマートデバイスアプリ、Webサイト、Eメールからデジタルサイネージまで、個々の従業員の働き方に合わせたチャネルで、必要な情報を必要な人にパーソナライズして届ける
「中でも、多くのユーザー様から好評なのが従業員アプリです。スマートフォンにアプリをインストールすればアクセスできるので、あらゆる従業員がこのアプリを介してつながることができます」と赤平氏は紹介する。アプリは配色やフォントを調整できるほか、ユーザー企業のロゴを表示して、自社ブランドとして組織内に展開できる。これも、従業員エンゲージメントの向上につながるポイントといえるだろう。
さらにEmployee AIの登場によって「パーソナライズ」機能がさらに進化を遂げた。パーソナライズされた情報をAIが2~5分程度の音声コンテンツにしてユーザーに届ける「AIポッドキャスト」機能はその一例だ。これを使えば、移動や家事の時間などを有効に使って情報にアクセスできる。また、個々の従業員の専用秘書となって業務タスクの完了までをサポートする「AIアシスタント」機能も搭載。パーソナライズされた情報を基に、必要な情報収集やタスクのサポートを効率よく、漏れなく行うことができるだろう。
「使いやすさを左右するインターフェースも、勤務場所や職種、役割に合わせて情報やレイアウトをパーソナライズして提供します。例えば、オフィスで働く事務系社員にはトレーニングや人事関連の情報、工場の現場や外回りが中心の従業員には安全情報や地震の情報などを送る、といったことが行えます」と赤平氏は続ける。情報の内容や粒度に加えて、ユーザーが使う環境にも、パーソナライズの思想が生かされている。
情報の発信者や管理者の使い勝手も考慮されている。コンテンツの企画、作成、管理を単一のプラットフォーム上で行えるほか、操作もシンプルなため作業負荷を抑えられる。また、発信した情報の効果分析も行えるため、結果を次回の施策の改善に役立てることも可能だ。取り組みのPDCAサイクルを回すことで、効果的な従業員エンゲージメント向上施策を継続的に実施できる。
「キャンペーンやジャーニーといった機能も搭載しています。前者はコンテンツをテーマごとにグループ化したり、特定のトピックスに関する情報の発信・効果分析を行ったりする機能です。各コンテンツがどのくらい読まれて、どのくらい反応があったかを個別に分析できます」と赤平氏は紹介する。
ジャーニーは、業務の節目ごとに必要になる情報を事前に設定しておくことで、情報提供を自動化する機能だ。新入社員や研修を受けた従業員のフォローアップなどに役立つ。アンケートを自動で実行することも可能だという。
「情報を見る従業員にとっても、発信・管理する側にとっても使いやすいように設計されているのがStaffbaseのプラットフォームの特徴です。これにより、情報を『伝える』から『伝わる』に変えることができるのです」と赤平氏は強調する。
Microsoft 365やGoogle、ServiceNowといったクラウドサービスをはじめ人事、顧客管理、経費管理など、多種多様な外部システムと連携可能。情報を取り込み、最適なチャネルで届けられるほか、プラットフォーム側から統合検索もできる。外部システムのウィジェットを画面内に配置することも可能だ。必要な情報にスムーズにアクセスできるようになるだろう(図2)。
図2 多様な外部サービスと連携可能
Microsoft 365やGoogle Drive、ServiceNowなどの外部システムが保有する情報も、Employee AIを介して一元的にアクセスできる
「経営者や従業員がつながり、エンゲージメントを高めることで、従業員一人ひとりが『ワクワクしながら働ける組織』を実現できます。私たちは、お客様の取り組みに伴走することで、その実現を全力でサポートします」と赤平氏は話す。
日本企業が躍進するために不可欠な従業員エンゲージメントの向上。StaffbaseのEXプラットフォームが、そのための取り組みを支える基盤になるだろう。
