受賞者インタビュー金賞

第一三共ヘルスケア 「生理痛は我慢しなくていい」
女性たちにメッセージを送る

田中 巌夫 氏

田中 巌夫
第一三共ヘルスケア株式会社
ブランド推進本部
広告宣伝グループ長

佐藤 今回、鎮痛薬の広告が社会性・時代性をうまく捉えている点で、非常に高い評価が寄せられました。生理という女性においてもまだセンシティブに捉えられがちなテーマにおいて、論理的に検証しながら女性の気持ちに寄り添っている点が個人的にも素晴らしいなと思いました。まずは、今回の広告の企画意図や出稿の目的について、教えていただけますか。

田中 2023年3月8日に生理痛のメカニズムに着目した「ロキソニンSプレミアムファイン」を発売しました。発売に際して、生理痛の実態調査を行ったところ、生理痛がつらくても我慢している人が多い実態が明らかとなったことから、社会全体でもっと生理痛への理解を促進するために「みんなの生理痛プロジェクト」を立ち上げました。名前に「みんなの」とつけたのは、生理痛が重い人も軽い人も、男性も女性も、みんなが正しい知識を持てるような社会になってほしいと考えたからです。製薬会社として、ただ製品を届けるだけでなく、より良い未来にしっかりコミットしていきたいと考えました。その第一歩として、まずは当事者である女性に寄り添いたいとの想いから、今回は女性向け媒体の「日経ヘルス」と「日経xwoman」を選びました。広告では生理痛に対する対処法をお伝えして、女性の皆さんに改めて向き合っていただくきっかけになりたいと考えました。

佐藤 リアルな調査結果も、広告の訴求度の高さにつながったのではないかと感じます。

田中 痛みは目に見えないものなので、男性が生理痛に対して気づきにくいのは分かるのですが、同じ女性の中でも、個人差が大きいために理解が得られないとの声が多かったことは驚きでもありました。今回の広告で私たちが最も伝えたかったのは「対処法はいくつもあるので、我慢しないでいただきたい」ということです。また、「生理痛くらいで病院に行くのはダメなのではないか」と婦人科の受診をためらう人が多いことにも課題を感じ、婦人科に行くハードルを下げたいという想いも強くありました。そういった想いを私たちが一方的に伝えるのではなく、産婦人科医や女性タレントの方との対談形式にすることで、いろいろな視点からお伝えできたと思っています。

「生徒に正しい情報を伝えたい」
先生からの反響が嬉しかった

佐藤 近年、働く女性の健康問題に注目が集まり、取り組んでいる企業も増えています。そういう時代性は強く意識されたのでしょうか。

田中 これまでもブランドサイトを中心に、生理痛に関する情報提供に取り組んでおりましたので、実はあまり時代性といったものは意識していませんでした。それよりも、生理痛を我慢していることへの問題意識の方が強かったのです。結果的に、その問題意識と時代性というものがマッチして、今回、広く発信させていただいた際に、非常に多くの反響をいただけたものと捉えています。

佐藤 広告の中で、男性の婦人科医のコメントが入っていることも印象的でした。「女性だけの話にならないように」という点は意識されたのでしょうか。

田中 これも時代性かもしれませんが、生理痛に対して理解したいと考えている男性も徐々に増えていると感じます。男性医師のコメントが入ることで、よりその機運を高め、思いやりの気持ちで寄り添える男性が増えるといいなというのは意識しました。

佐藤 今回の広告に対して周囲からの反応はいかがでしたか。

田中 SNS上で「理解が広がるのが嬉しい」「自分の子どもには正しい情報を伝えたい」。という声がたくさん届きました。また、生徒に正しい情報を伝えたいと考えていた学校の先生から、これをきっかけに生理痛を単なる症状として見るのではなく、人の問題であり、その人を取り囲む環境も問題として捉えることができた、といった声を頂戴しました。さらに、この広告をきっかけに生理痛を授業のテーマとして取り上げたいというご相談もいただき、この広告を制作して良かったと思いました。

佐藤 以前は学校でも女子だけが生理の教育を受けていましたが、今は学校教育もかなり変わってきているみたいですね。今回は女性向け媒体でしたが、審査会では「男性向け媒体でも訴求した方がより良かったのでは?」という声も上がっていました。

田中 「生理は女性の問題」という思い込みを払拭するのは短期間では難しいのではないかと感じています。生理の問題をトレンドにしてはいけないと思っていますので、まずは当事者である女性において、悩みの深い方に寄り添うことから始めて、男性向け媒体に発信するかどうかは、その先の段階として考えていきたいと思います。

悩みに寄り添うために
何ができるか考え続ける

佐藤 珠希

佐藤 珠希
日経BP
ライフメディアユニット長

佐藤 改めて、今回の受賞のご感想をお聞かせいただけますか。

田中 名誉ある賞をいただけて、大変嬉しく思っています。受賞したことが改めて注目していただけるきっかけになり、私たちの取り組みをより多くの人に知っていただけるチャンスが広がったことに感謝しています。

佐藤 今後の広報・宣伝活動の方向性についてお聞かせください。

田中 3月には10代向けの「みんなの生理痛プロジェクト for TEEN」を発足しました。若い世代に向けても生理痛の対処法の啓発や理解促進に力を入れていきます。生理痛そのものというよりも、生理痛で悩む人に寄り添っていく姿勢はこれからも変わることはありません。そのためにロキソニンにできることは何かを考え続けていきたいと思います。今回、雑誌とWebの両方で広告を展開しましたが、それぞれに提供できる価値が違うと思っています。今後も媒体や手法を限定せず、いろいろなチャレンジをしていく予定です。

※所属・肩書はインタビュー時点

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