
坂田 優氏
株式会社Hacobu
取締役COO

森山 美帆氏
株式会社Hacobu
マーケティング部
コーポレートコミュニケーション担当
北方 リブランディングに合わせた施策として、日経ビジネスに5回シリーズの純広告を掲載し、金賞を受賞されました。企画・出稿の意図をお聞かせください。
坂田 2023年6月に政府が物流「2024年問題」への対応に向けて「物流革新に向けた政策パッケージ」を発表しましたが、当社はその直前の同年5月下旬にリブランディングを行いました。検討に着手したのはその1年前。当社は、物流現場の働き方を変えるためのデジタルツールである「MOVO(ムーボ)」を提供しています。その一方で、荷主や物流事業者の本社がデータ活用で物流を変革することを支援する企業として「Hacobu」の名前が認知されています。この2つの名称をどちらかに寄せることも検討しましたが、様々な議論を経て「両面あるのが強み」という結論に落ち着きました。
議論の過程で改めて確認したのは「物流を経営アジェンダ化すること」と「物流を社会アジェンダ化すること」です。経営アジェンダ化は、物流には変革の余地があり、それが利益につながることを知ってもらい、我々のサービスでそれが実現できることを訴える。社会アジェンダ化は、物流の現状を正しく知ってもらい、物流の社会課題解決に向けた気運を高めることに寄与したいというものです。加えて、社会課題に挑む我々の会社にも興味を持っていただき、採用にもつなげたいとの思いもあります。
今回の純広告は主に物流の経営アジェンダ化を実現するためのものです。荷主や物流事業者に「物流×DX」が不可欠であることを知っていただき、物流DXをやるならパートナーとしてHacobuをご検討くださいとお伝えするのが目的です。
北方 審査会では「美しく、理解しやすく、インパクトのある目を引くデザイン性」と 高く評価されました。
坂田 物流には様々な課題があります。しかし、物流課題はこれまで日本企業の中であまり注目されてこなかった。まずは経営層が物流についてきちんと知る必要があり、マインドセット(思考様式)を変えることが大切です。
そのためにストレートな表現で物流の現状を訴えるようにしました。例えばトラックの積載効率は40%未満で、60%以上は空気を運んでいるとされます。そこで「まだ、『空気』を運んでいるの?」というコピーで訴えることにしました。
HacobuとMOVOのロゴは、それぞれに上向きの「矢印」の意匠を組み込み、物流をアップデートしていく志を新ブランドの基軸にしています。またMOVOのロゴは、現場力とそれを支えるデータの強さを表し、ヒーローカラーと呼ばれる赤を採用しました。物流現場の人たちにヒーローになってもらい、物流を基本にした経営戦略が練られるようにとの思いを込めています。
経営学者ピーター・ドラッカーは「物流は最後の暗黒大陸」と言っています。そこで 「まだ、『空気』を運んでいるの?」と呼びかけた初回広告はあえて夕日に向かってトラックが走っていくイメージにしましたが、それ以外は夜が明けていく描写にしています。 「もはや暗黒大陸ではない」と訴えたかったのです。
北方 美しい写真もさることながら、コピーも秀逸という評価がありました。
森山 ありがとうございます。デザイン会社がたくさんデザイン案を作ってくれ、デザインとのシナジーが出るようにコピーを考えました。企画テーマを物流の社会課題訴求にしようと決めたのは校了の3週間ほど前。そこからコピーは疑問文にしたほうがいいか肯定文がいいか、デザインに合った文字数はどれくらいかなど、皆さんに相談しながら私がメインコピーとボディコピーを書きました。
4回目の「『運ぶ』の未来を皆さんと共に創る。」は、「2035年、未来のトラックを動かすのは誰だ」というコピー案もあったのですが、「共創」するという言葉がHacobuらしいという意見があり変更しました。

北方 雅人
日経BP
日経ビジネス発行人
北方 読者をはじめ社内外の反応はいかがでしたか。
森山 社長CEOの佐々木が「大手自動車メーカーの経営層からコメントをいただいた」と言っていたのをはじめ、日経ビジネスの読者からインパクトのある反応を多く寄せていただきました。
坂田 今回の純広告に使った素材を展示会でご覧いただくなど、会社のブランドをきちんと打ち出せるものが作れたのは本当に良かったと思います。以前のHacobuのロゴは創業時にパワーポイントで作ったもので、特に採用活動でロゴを使用する際に他社との比較で目立たないといった評判もありました。そのロゴが刷新され、社員の気持ちを一新するうえでもプラスの効果があったと思います。
北方 金賞を受賞されてどんな感想をお持ちですか。
森山 ブランディングも純広告もすぐには正解の得られない分野のものです。一生懸命に作っても、その思いが世の中にちゃんと伝わっているかわかりにくいので、こうしてご評価いただけたのはうれしいことですし、光栄に思います。
北方 今後の広報・宣伝活動の方向性についてお聞かせください。
坂田 物流の経営アジェンダ化と社会アジェンダ化は引き続き取り組んでいきます。政府は今後、荷主と物流事業者に対して法規制を強化し、双方に物流改善を促していく方針です。経営層に向けて、さらに情報発信を強化していきたいと思います。
また荷主には物流の適正化に向けた取り組みを実施するため物流統括管理者の選定が求められるようになります。Hacobuはそういった方の支援を通じて企業の皆様をサポートしていきたいと考えています。
※所属・肩書はインタビュー時点