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20代、30代が半数以上、若者を集める最新「就農イベント」事情

リクルートジョブズ

“農家の子供が農業を継ぐ”は昔の話。最近は農業に興味を持ち、会社を辞めて農業を始めるケースも珍しくはない。いまや「自然の中で暮らしたい」「自分で育てた作物を食べ、生計も立てたい」と農業に関心を示す20代、30代の若年層が新規就農の中心を担っているという。

2015年に東京国際フォーラムで行われた「新・農業人フェア」
(写真:リクルートジョブズ)

 「新・農業人フェア」は、2013年度からリクルートジョブズが実施する、就農に関するイベントだ。入場者は「独立して農業を始めたい」「就職・転職先として農業を考えたい」「農業に興味があるが何から始めたらよいか分からない」といった“仕事としての農業”に関心を持つ人たち。出展するのは、より多くの人たちを採用したい農業生産法人や、離農を抑制し人口減少を食い止めたい自治体などだ。

 13年度は東京、大阪、名古屋、札幌の4都市で全8回開催され、延べ来場者は7430人。14年度は東京、大阪、札幌で全7回開催され、延べ来場者数8188人。15年度も前年度と同様の3都市で、延べ8228人を集めた。出展数も13年度976ブース、14年度1046ブース、15年度1322ブースと着実に拡大している。

 今年度は東京、大阪、名古屋、札幌に加えて仙台、広島、福岡の3都市を加えた全7都市で18回開催する予定。入場者数については、9000人から1万人弱くらいを見込んでいる。

リクルートジョブズ
深瀬貴範氏

 リクルートジョブズが「新・農業人フェア」を開催するようになったのは、農業分野での求人情報を提供する場を用意すれば、就農者を求める側にとっても、農業に携わりたいと考えている人たちにとっても、就職先・転職先として確立され、最適なマッチングができると考えたからだ。

 「札幌で就・転職フェアを実施した際に、北海道農業公社にも出展してもらったところ、着席者が多く賑わっていました」とリクルートジョブズで「新・農業人フェア」事務局を担当する深瀬貴範氏は話す。そこでリクルートの求人・転職情報サイト「はたらいく」で農業法人15社の求人を掲載したところ、100人以上の応募があり、そのうち数十人が就職したという。

来場者の5人に1人が次のステップへ

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 「新・農業人フェア」に来場する人は若い層が圧倒的に多い。15年度の実績では20代が33%、30代が29%を占める。来場者全体の男女比では71%が男性だ。また、「新・農業人フェア」への来場回数については、「初めて」という回答が82%。来場目的では「情報収集」が53%となっている。さらに来場者の職業は「会社員」47%で「学生」21%、「求職中」15%と続く。今の仕事に“不安”や“不満”があり、将来的に長く続けられそうな農業へ、サラリーマンが関心を持っている姿が浮かび上がってくる。

 「しかし、そればかりではありません」と深瀬氏は指摘する。「働き方が多様化していることも大きな要因だと思います。“自然に触れたい”“収入より社会貢献ややりがいを感じたい”“自分で時間を工夫してできる仕事がしたい”という意見が少なくありません」。

 そうした思いはフェアに参加した後の行動にも表れてくる。昨年度は、フェア来場後に現地見学・体験へと進んだ人が延べ1444人、さらに次の段階である農業研修を開始した人が315人、そして最終的に農業法人などへ就職した人が62人と、来場者の5人の1人の割合で次のステップに踏み出している。

セミナーでは来場者が就農について説明に熱心に耳を傾けていた
(写真:リクルートジョブズ)

「就農への不安」を解消するサポートが決め手

 もちろん農業を営むのは簡単ではない。季節によっては寝る間もないほど忙しい。天候に左右されるので収入が安定しない可能性もある。ノウハウのない初心者にとって失敗はつきものだ。都会を離れるというハードルもある。

 新・農業人フェアでは、東京や大阪での入場者が多い。しかし、いざ農業を始めるとなると、都会ではなかなかできない仕事なので、どうしても転居を伴うケースが多くなる。20代から30代のファミリー層の場合、家族の反対で就農を断念する場合も少なくないという。

 だが、情報をきちんと共有すれば、これらのハードルが低くなっていく一面もある。 「自治体は、転居や就農のあっせんなどで補助金制度を用意しています。そうした情報がきちんと伝われば、就農への不安や転職の障害も解消されていくと思います。フェアの会場では、初めての来場者には“初心者マーク”をつけてもらい、ポツンと1人にならないよう出展者が積極的に声をかけるなどの工夫もしています」(深瀬氏)と、出展者も支援情報の共有に積極的に取り組んでいる。

 最終的に就農まで進んだ人が2桁にのぼるなど、“新たな農業従事者発掘の場”としての価値が高まっている。就農へのニーズが拡大している何よりの証左といえるだろう。