経済同友会 副代表幹事
株式会社リコー 代表取締役会長
地方都市が抱える課題の解消や地域活性化には、デジタルの力が大いに役立つ。しかし、求められるスキルを備えた人材は、決して潤沢ではないのが実情だ。
経済同友会では「地方自治体・企業への技術・人材派遣支援のデジタル化」など「7つの協働メニュー」を取りまとめ、地方自治体・地域企業・会員所属企業による官民連携のスキームを構築し、地方都市が抱える課題の解消や地域活性化に向け取り組んでいる。
「自治体と企業が協働する際、何よりも大切にすべきは、最終的にその恩恵を受ける住民の視点です」と経済同友会の山下 良則氏は話す。
そのような観点で、先行して成果を上げる事例の1つが会津若松市だ。スマートシティ化の推進にあたっては、デジタルサービスの実装前に市民に体験してもらい、多くの意見や要望を集めてフィードバックした。
また、会津若松市で構築したものを下関市へ展開して短期間で立ち上げており、デジタルの強みである遠隔地の自治体同士の連携も実現している。「住民の声を丹念に拾い上げるのは一見遠回りのようですが、実は成功への近道なのです」と山下氏は提言する。
横浜市長
DAY2、横浜市長の山中 竹春氏の講演では、同市のDXの取り組みが紹介された。市民生活の課題解決のため、市と企業の共創プラットフォーム「YOKOHAMA Hack!」を設置するなど、民間と連携し、子育てや教育などの分野でデジタル技術を生かしている。
山中氏はDXの一例として、「『区役所へ手続きに行くのが大変』との声を受け、全国初となる総合的な子育て応援アプリ「パマトコ」のWEB版を7月1日に先行リリースします(アプリ版は秋予定)。子育ての諸手続きがオンラインで完結でき、予防接種の案内などもプッシュ通知されます」と紹介する。
教育分野では、市立小中学校の児童生徒約26万人のデータを一元管理する「学習ダッシュボード」を構築。全国最大規模のデータをフル活用し、個々の児童生徒への最適な学習指導を可能にしていく。
「限られた人員で市民サービスを拡充するには、デジタルとデータの活用が不可欠。全国最大の約377万人の市民を擁する横浜市で有用性が立証された仕組みは、ほかの自治体でも役立つはずです。データに基づく自治体経営のトップランナーであり続けたい」(山中氏)
最後に、2027年に横浜市で開催される気候変動に着目した国際博覧会、「GREEN×EXPO 2027」を紹介。「GXやDXの取り組みを世界にアピールできる絶好の機会。ぜひご参画いただきたい」と呼びかけたほか、今後も唯一無二の魅力を持つ“横浜”というフィールドで、前例のない企画を企業の皆様と共に実現させていくと山中氏は抱負を語った。
参議院議員
そして、2日間にわたるフォーラムにクロージングメッセージを寄せたのは、参議院議員の片山 さつき氏だ。
政府は、2026年までにデジタル推進人材を230万人輩出するとの目標を掲げている。人数を確保することはもちろん、適材適所の活用も進めていく計画だ。そこでは、人材配置をコーディネートする各都道府県のDX推進室の役割が重要になるという。
「また、私が会長を務める自民党金融調査会では金融分野のデジタル化も推進しています。現在、口座振替や振込も含めて決済全体の6割ほどがキャッシュレス化されていますが、さらにその比率を高める必要があると考えています」(片山氏)
同調査会では中央銀行によるデジタル通貨発行も推奨している。「デジタル立国にはこのような金融イノベーションを進めることも欠かせません」と片山氏は強調した。 時代の動きは速い。日本の置かれた現状を見定め、求められる取り組みを素早く実行に移す。このことが、デジタル立国ジャパンの実現に向けて求められている。