これまで触れてきた特権IDとは、システムの維持・管理に用いられる特別なIDのことを指す。Linuxならroot、Microsoft WindowsならAdministratorといった管理者権限がこれに相当する。OSのすべての操作が可能なため、システムやデータを改ざん/破壊することも可能だ。利便性の高いIDであることから、システムにビルトインされている特権IDを複数ユーザーで使い廻すケースも少なくない。こうなると、誰がどのような操作を行ったか、後から追跡することが困難になってしまう。
「特権IDを適切に管理するには、『利用者の特定』『承認申請』『作業の記録』『妥当性の確認』の4つのステップを踏むことが肝心です。誰が特権IDを使用したのか分かるようにすると同時に、使用前には作業内容の申請と承認権限者による承認を実施。実際に行われた作業の内容もきちんと記録し、申請した内容と異なっていないか後で確認を行います」と大谷氏は説明する(図1)。
とはいえ、こうしたプロセスを実装するのは容易ではない。手作業だと運用管理工数が膨大になってしまう上に、人為的なミスや作業漏れも起きやすい。また特権IDの管理者自身による不正リスクなども懸念される。
「こうした課題を解決するために、当社では特権ID管理ソリューション『SecureCube Access Check』を提供しています」と大谷氏は話す(図2)。同社はNRIグループのセキュリティー専門企業であり、情報セキュリティーの課題を解消するトータルソリューションを展開している。世界中のNRIグループ拠点を活用したグローバルサポートを提供しているほか、継続的な調査研究も行っている。今回のSecureCube Access Checkも、そんな同社の有力ソリューションの1つだ。
「製品の大きな特長としては、まず導入・運用が容易なゲートウエイ型であることが挙げられます。利用者とシステムリソースの間にゲートウエイを設けてアクセス制御やログ管理を行いますので、エージェント型ソリューションのように端末や管理対象機器に手を加える必要がありません」と大谷氏は話す。
また、制約条件が少なく多様な環境で利用できる点も大きな強みだ。クライアントツールは現在使っているものをそのまま利用可能。またサーバーだけでなく、ネットワーク機器やクラウドサービスも管理対象にすることができる。通信プロトコルも、SSHやRDPなど一般にメンテナンスに利用されるものだけでなく、ファイル転送なども含めた10種類のプロトコルに対応している。
「導入時にIDの棚卸しやパスワード変更を必要とする製品もありますが、SecureCube Access Checkにはそうした制約もありません。さらに、最初はアクセス制御から始めて、次にID・パスワード管理、さらにパスワード定期変更と、徐々に統制レベルを上げていくこともできます」と大谷氏は続ける。これにより、4つのステップを確実に実装できるほか、多要素認証やAD連携などの多彩なオプションも用意されている。
こうしたメリットが評価され、外部ベンダーがリモートメンテナンスを行う際のアクセス制御や、オンプレミス/クラウドの一元的な特権アクセス管理など、様々な用途で活用されているとのこと。外部からの攻撃や内部不正による被害を防ぐためにも、特権ID管理について今一度見直す必要がありそうだ。