モダナイゼーションの
有力な選択肢はリライト
技術者の高齢化による人材不足、最新のビジネス要請との乖離などを理由として、ITシステムのモダナイゼーションが企業の喫緊の課題になっている。では具体的に、どのようにモダナイゼーションに臨めばよいのか。システムインテグレーターのTISは、その代表的な手法として次の3つを挙げる。
1つ目は「サービスまたはパッケージの利用」だ。業務内容の特殊性が少なく、できる限り早期にモダナイズを実現したいケースに適している。ただしカスタマイズ要素が多くなるにつれ、費用が膨らんでいく点には注意が必要だ。
2つ目は「リライト」。現行業務の内容を熟知した有識者がほとんどいない、ドキュメントが整備されていない、規模が大きいといった課題を抱えたレガシーシステムのモダナイゼーションに適している。
3つ目は「リビルド」である。先のリライトとは逆で、現行業務の内容を熟知した有識者を確保できる、ドキュメントが整備されており適切に更新されている、規模が比較的小さいといった特徴をもつシステムのモダナイゼーションに適している。その一方で、多額の費用をかけてもモダナイズする価値があるシステムでは、規模が大きくても選択されるケースがある。
「3つの手法のうち、当社がフォーカスするのがリライトです。特に対象となるプログラムの規模がメガステップ級またはそれ以上の場合、非常に有効な手段といえます。また、例えばデータベースをNDBからRDBへの変更が必要になった場合では、リホストと比較して難易度やコストに大きな差がないのもメリットといえるでしょう」とTISの熊谷 宏樹氏は説明する。
リライトツール選定で
押さえるべき「1+3」
リライト方式でITモダナイゼーションを進めると決めた場合、次の検討項目となるのが「どのようなツールを選択するか」である。ここで間違うと、ソースコードの行数が膨大に増えたり、悪い意味での“JaBOL”化が進んで保守性が低下したりするからだ。
「このような状況を回避するためのツール選定のポイントは、『1+3』です。まず1は『変換率』で、これがほぼ100%でなければプロジェクトを安全に遂行できません。その上で『正確性』『性能』『保守性』の3つが担保されているかどうかを確認することが大切です」と熊谷氏は言う。これらを満たすリライトツールとしてTISが提供しているのが「Xenlon~神龍Migrator」(以下、Xenlon)だ(図1)。
図1 Xenlon~神龍Migratorの特徴
COBOLやPL/Iなどのレガシー言語からJavaへの移行に際して100%近い変換率を誇る。加えて、「正確性」「性能」「保守性」の3つを高いレベルで担保することで、プロジェクトを成功に導く
変換元プログラムのコーディングスタイルを分析するツール、実際にJavaソースコードを生成する変換ツール、変換元言語の動作仕様をJavaで実現した実行時ライブラリの3つの主要ツールで構成される(図2)。変換率はほぼ100%。正確性については、データ型とステートメントを掛け合わせた独自のテストプログラムを用意、これを変換元環境において実行。変換元環境の実行結果を基にライブラリをチューニングし、新環境での実行結果を合わせることで、組み上げた時のバグをなくす。また、同社が特許を取得する独自キャッシュ機構などの技術によって性能を確保。さらに、COBOLのCOPY句(DDS)をクラス化するなどの変換技術によって、高い保守性も維持することが可能だ。
図2 Xenlon~神龍Migratorの構成要素
変換条件を整備する「分析ツール」、COBOLやPL/IなどのコードからJavaのコードを生成する「変換ツール」、変換元言語の動作仕様をJavaで実現した「実行時ライブラリ」の3つの仕組みで構成されている
「そもそもXenlonは、ある金融機関のお客様とCOBOL to Javaのプロジェクトを進める際、要求を満たすツールが見当たらず、自社開発したツールがベースになっています。性能の確保とリライト後にメンテナンスできるかを主眼に置いているため、安心して使っていただくことができます。これを用いることで、迅速かつ省コストにITモダナイゼーションプロジェクトを進めることができるでしょう」と熊谷氏は言う。
ガラパゴス化したメインフレームの
救助隊になる
とはいえ、優れたリライトツールを使うだけでは、モダナイゼーションは成功できない。ガラパゴス化したメインフレームを脱却するには、様々な工夫も必要になる。
「かつて日本では多くのメインフレームベンダーが熾烈な競争を繰り広げ、独自の技術開発によって顧客の生産性を高めるための支援を行ってきました。ところがその結果、ベンダーごとに異なるメインフレーム製品が乱立することになったのです」(熊谷氏)。プログラミング言語を眺めても、COBOLやPL/Iのほか、Easy classic、Easytrieve、RPG、COBOL/S、IDL IIなど、各社各様の言語仕様が存在している。データベースや画面制御のミドルウエア、帳票出力製品なども同様だ。現在の企業のシステムには、これらの言語や製品が混在したまま残っている。
「当社はリライトだけをお勧めしているわけではありません。例えば、価値があり今後も使い続けるシステムはリライトしますが、そのままでは価値がないものはリビルドするのがよいはずです。このように、システムそれぞれの役目を精査した上で段階的な移行を図ったり、場合によって新たなツールを開発して利用したりしながら、お客様のモダナイゼーションプロジェクトをご支援します。このような支援を通じてTISは、お客様のメインフレームシステムの救助隊になりたいと考えているのです」と熊谷氏は強調する。ツール開発も含めたトータルな対応を行える点は、SIerであるTISならではの強みといえるだろう。
既に多くの事例もある。大手製鉄メーカーのJFEスチールは、PL/IからJavaへの移行に当たってTISのモダナイゼーションサービスを採用。数百万ステップを超える大規模リライトの実績を持つベンダーは世界でも少なく、TISがその1社であったことがポイントになったという。はじめに移行対象資産の棚卸を行い、11Mステップあったプログラムを約1/3の4Mステップに圧縮。Xenlonをはじめとするツールを活用することで、プロジェクトを21カ月で完遂した。
またパナソニックグループでは、人事システムのオープン化をわずか7カ月で実現。当初はCOBOLのまま維持するリホストも検討したが、Xenlonによるリライトとの比較でコスト・期間に差がなかったため、リライトを選択した。COBOL技術者の継承問題を解消するとともに、数十億円規模の保守延長費用を削減することができている。
「一口にリライトといっても、COBOLをどのように書き換えるかはベンダーやツールによって千差万別です。プロジェクト期間やコスト、リライト前後での性能の差などを正確に把握するためにも、まずは変換後のソースコードを確認することが重要です」と熊谷氏。モダナイゼーションプロジェクトの推進に当たり、その実現可能性を評価するためにも、まずはTISにアセスメントを依頼してみることをお勧めしたい。
CONTACT
TIS株式会社
e-Mail:xenlon_migration@ml.tis.co.jp
問い合わせフォーム:https://www.tis.jp/inq/xenlon_query/



