パロアルトネットワークス株式会社
チーフサイバーセキュリティストラテジスト
染谷 征良氏
ここ数年猛威を振るっているランサムウエア攻撃は、様々な企業や組織に対して甚大な被害をもたらしている。パロアルトネットワークスの染谷 征良氏は、次のように具体的なデータを紹介する。
「当社には、脅威分析とお客様のセキュリティー支援を行う『UNIT 42』という専門家組織があります。その調査によれば、ランサムウエアに情報を盗み取られてダークWeb上に機密情報を暴露された事案は、昨年1年間だけで約4000件に上っています。2021年の約2500件に対して大幅に増加しており、その方法も、暗号化だけでなく情報窃取による多重恐喝が主流な中で、海外では、経営層に直接連絡して『監督当局や報道機関に知らせるぞ』と脅す手口も登場しています」
脅迫を受けた際に大きな問題になるのが、身代金支払いの是非だろう。同社の調査によれば、身代金支払い後に約束が守られたケースは68%であり、32%は約束が守られていない。身代金を支払ったところで、データが正常化する保証はないのだ。実際に国内企業へのアンケート調査でも、8割近くは「支払うべきではない」と回答。しかしそのうちの半数近くは「支払うべきではないがその状況になってみないと分からない」と回答しており、対応の難しさが浮き彫りになっている。
ここで注目したいのが、個人情報や重要インフラの世界ではサイバーセキュリティーに関して大きく3つのトレンドが起きていることだ。第1は、サイバーセキュリティーが義務化される中で、脅威を特定して防御するだけではなく、できるだけ早く異常を検出して対応・復旧させることが重視されるようになっていること。第2は、インシデントの迅速な報告・通知が義務付けられるようになっていることだ。「日本でも3~5日以内の報告が義務化されていますが、海外の個人情報保護に関する法規制では、72時間以内の報告を義務付けるというのが1つのトレンドになっています」と染谷氏は指摘する。
そして第3が、セキュリティー対策の不備や報告の遅れ・不十分な情報量に対して、徹底的に罰していこうという動きが進んでいることである。実際にEU圏内や米国、オーストラリア、一部のアジア地域では、過去にさかのぼってでも高額な罰金を課せられるケースが増えているという。