Okta Japan株式会社
Regional CSO(日本担当リージョナルCSO)
板倉 景子氏
様々なサイバー攻撃の中でも、アイデンティティ情報を狙った攻撃が非常に増えている。アカウント情報や口座番号、メールアドレスなどの情報を窃取するマルウエアは「インフォスティーラー」と呼ばれているが、「RedLine Stealer」や「META Stealer」というマルウエアを聞いたことのある読者もいるだろう。実際にこれらのマルウエアは、過去12カ月で2億件以上の認証情報を盗み出したといわれている。
「情報漏洩の80%以上は認証情報の不正使用に関係しているという調査結果もあります」と語るのは、Okta Japanの板倉 景子氏。アイデンティ管理ソリューションベンダーであるOkta自身も常にこの脅威にさらされており、クレデンシャルスタッフィング攻撃やフィッシング攻撃、パスワードスプレー攻撃など、資格情報を狙った様々な攻撃を毎月30億以上ブロックしているという。そうした中でも特に2種類の脅威が紹介された。
第1は「Scatter Swine」。何年も前から活動を行っており、今なお活発なサイバー攻撃グループだ。巧妙なソーシャルエンジニアリング攻撃を仕掛けてくることが多く、例えば、標的企業のITサービスデスクを装い、現実にありそうな口実を使ってユーザーを騙す。また、手段や目的が時間の経過とともに変化していることも注目すべきポイントだという。
「以前は主に通信会社を標的にSIMスワッピングを行っていましたが、最近ではランサムウエアグループと連携して大企業を脅迫することで、より大きな利益を狙うようになっています。また、ソーシャルエンジニアリングの手法も、以前は一般従業員を装ってヘルプデスクに電話をかけてパスワードリセットを要求する手口でしたが、今ではCFOなどのエグゼクティブを装うケースが増えています。そのほうが例外対応を行わせやすく、プロセスの隙が生まれやすいからです」と板倉氏は指摘する。
第2は、認証連携されていないアクセスを狙った攻撃だ。技術的な制約で認証連携・SSOができずに直接アクセスせざるを得ないアカウントや、運用保守のために直接アクセスしているアカウントなど、認証連携されていないアカウントは意外に多い。これらが悪用されるケースが散見されるのだ。