データ量は増えているものの、その価値を十分に引き出せていない企業は多い。所有するデータを生かしきれず、意思決定に結びつかない“活用の壁”が顕在化している。セールスフォース・ジャパンは、AI(人工知能)を組み込んだデータ分析基盤がこの壁を取り払う有効な解決策になると提唱する。AIがデータの意味を捉えインサイトを自動的に提示することで、専門性を持たない現場層でも分析ができる。データを“見る”ものから組織を“動かす”ものへと変化し全社的な意思決定の礎へと昇華していくプロセスを、同社の冨永康之氏が語った。
多数の企業がぶち当たる“データ活用の壁”
株式会社セールスフォース・ジャパン
ソリューション統括本部 Tableau本部
リードスペシャリストSE
冨永 康之 氏
企業を取り巻くテクノロジー環境は進化のスピードを上げている。その中心にあるのがAIだ。データ生成量も爆発的に増え続け、2年後の2028年には世界全体で394ゼタバイト(ZB=テラバイトの100万倍)に達するとの予測も示されている。企業活動のあらゆる側面がデータに囲まれつつある。
データの量が膨れ上がる一方で、価値創出に結びついていないケースも少なくない。多くの企業において、データは存在していてもアクセスできない、不完全である、更新されておらず最新のものではない、あるいは部門ごとに分断されている、といった背景から、十分に活用できていないのが実情だ。セールスフォースの調査によれば、回答したビジネスリーダーのうち94%が「自社はデータの価値を最大限に引き出せていない」と認識しており、データを意思決定や行動を支援できていないという“活用の壁”にぶち当たっていると冨永氏は警鐘を鳴らす。
この壁を突破する手段として、同社はAIを組み込んだデータ分析基盤を取り入れるのが有効と訴える。単にデータを可視化するのではなく、AIがその意味を補足し、ビジネスリーダーに“気づき”を与える仕組みを構築する。そうした仕組みを構築できれば、データ分析スキルを持たない人材であってもAIにより分かりやすく解説されたデータを意思決定に生かすことができる。
日々の業務のなかで意思決定を繰り返し、アクションを起こさなければならないのは分析の専門スキルに乏しい現場マネージャーや一般社員だろう。彼らにこそ、AIがサポートするデータ分析基盤が必須だ。冨永氏は「“普通のビジネスパーソン”にこそ、日ごろから信頼できるデータにアクセスできる環境が不可欠」だとし、「Tableau Pulse」の機能を解説した。
通知で日常的にデータに触れる「Tableau Pulse」
Tableau Pulseは企業のKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を継続的に監視し、統計数学的にインサイトを見出してAIが要約し、ユーザーに通知する機能である。重要なインサイトはプッシュ通知で届ける。定期的に通知することで、ユーザーはデータを自ら“見に行く”必要がなくなり、自然にデータに触れられる環境に置かれるようになる。
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こうした体験は「アラート」、いわば通知を起点とする一連の流れで機能する。ユーザーはSlackやメールなどを通じて、メトリクスの更新情報を入手する。その中からトレンドを見つけ、「なぜ今こうなっているのか」の理解に努める。理解しきれないところは、掘り下げて探索する。それでも追いきれなければ、フォローアップとして会話型のインターフェースを使って自然言語で質問する。得られた回答は、共有してチームでデータに基づく意思決定のために活用する。
冨永氏はTableau Pulse利用例として、2つのデモシナリオを示した。
1つは営業担当者が外出先から場所や時間に縛られることなく、スマートフォンで商品についてなぜ返品が増えているのか、その背景を探っていくケースである。営業担当者は、自然言語で問い合わせると結果を即座に調べて回答するTableau Pulseの「拡張Q&A」を用いて、返品増加傾向の要因を深掘りしていく。
もう1つは営業部内でさらにデータを深掘りし、分析するケースである。このケースでは視覚的なTableauダッシュボードとTableau Pulseの拡張Q&A機能を使っている。
冨永氏はどちらのデモシナリオにおいても共通のTableauデータソースを使用していることを強調した。情報源がそろっていないと、切り口によって値が変わってしまい、データの信頼性が損なわれるからだ。
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AIとデータソースをつなぐ「Tableau MCP」
Tableauは、MCP(Model Context Protocol)に対応した接続インターフェース 「Tableau MCP」も用意している。これにより、TableauのダッシュボードやデータとAIエージェントを連携できる。
冨永氏はもう1つのデモシナリオとして、企業が自社で開発したAIエージェントとTableau MCPを用い、返品の増加をめぐるデータ分析内容から取るべきアクションをAIに立案してもらうケースを提示した。デモでは返品の多かったメンズ商品に関し、サイズガイドの強化、バーチャル試着機能などといった施策を示唆した。
冨永氏は「AIは非常に進化しているものの、間違いもあります。例えばフィールドや集計条件が違っていたり、コンテキストが違っていたりすることもある」と注意を促した。「特に、データの領域では間違いがあっても気づきにくいというところが難点です。重要なデータはBI(Business Intelligence)ツールなどで正確性を確認・検証した上で、全社共有していくことを推奨します」(冨永氏)。
冨永氏はSalesforceプラットフォーム上に構築するエージェント型プラットフォーム「Tableau Next」についても言及した。Salesforceのエージェントフォースがユーザーの質問を解釈し、データ分析を含め要因を探った上で最適な方法でアクションまでつなげていこうというものだ。
“気づき”を配信するTableau Pulseから“見るBI”から“動かすBI”への進化を実現するTableau Nextまで、セールスフォース・ジャパンはあらゆるTableauテクノロジーで企業のデータ分析文化を根本から変革しようとしている。
株式会社セールスフォース・ジャパン
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