IP Bridge
知財部門はコストセンターではない
過去、現在、未来の知財で
社会と顧客企業に貢献する
IP Bridgeは2013年に設立し、2024年現在で国内唯一の知財ファンド運営会社である。同社が重視するのは「過去の成果、現在の努力、未来の創出」に紐づく知財。これを踏まえて「ライセンス事業」「コンサルティング事業」、そして「イノベーション事業」の3本柱で知財活用に取り組む。
2021年のコーポレートガバナンス・コード改訂以後、上場企業は知財に関する情報開示が求められる。しかしIP Bridge代表取締役CEOの藤木実氏は「経営の視点で知財の活用戦略を明確にしたうえで、戦略に基づきポートフォリオを策定、その活用を実行できている日本企業は多くありません」と語る。
(写真左から)IP Bridge イノベーション事業部 マネージングディレクター 吉村岳雄 氏、代表取締役 CEO 藤木実 氏、取締役会長 田中義明 氏、事業開発部 ディレクター コンサルティンググループ グループ長 渡辺理 氏
知財ライセンスで収益を上げている日本企業も限られる。同社イノベーション事業部マネージングディレクターの吉村岳雄氏は指摘する。「根底には“戦い”を好まない日本の文化があります。技術は本業のために使うべきで、知財で稼ぐのは経営戦略ではないという考え方も根強い。日本企業では長らく、知財部門はコストセンターと考えられてきました。知財で稼いだ経験がなければ、挑戦する風土もできません」。
現状を変え得るのが、IP Bridgeの「ライセンス事業」だ。様々なしがらみがあるゆえに“戦い”を避ける企業が知財の権利行使をためらうケースがある。この知財をIP Bridgeが譲り受け、収益化を実現するものだ。
交渉相手の多くは、世界に名だたるグローバル企業。リソースが限られる個々の企業が、対等に渡り合うのは時に現実的でない。その点IP Bridgeは知財業務に関する経験やノウハウを豊富に有し、グローバルな専門家のネットワークもある。
しがらみなき交渉と
エコシステム形成を支援
「我々は交渉相手との事業関係に伴うしがらみを意識することなく、特許本来の価値を顕在化できるように交渉を進めることができます。また、例えば2年前には中国のシャオミと、ドイツのシーメンスやフランスのオレンジと一緒にライセンス契約を結びました。こうしたグローバルな取引を実現できるところも強みです」(藤木氏)
同社はライセンス事業で活用している特許を複数の日系企業や研究所から譲り受けているが、実際に契約が締結されて収益化がなされた時には元の特許権者に収益の一部を還元している。「この資金の流れによって、企業や研究所における研究開発がさらに強化され、結果として、我々の活動はイノベーションの推進に大きく貢献しています」(藤木氏)。
近年はIR資料に知財関連のKPIを記載する企業も増えつつあり、IP Bridgeの「コンサルティング事業」はそこをサポートする。
同社は大和証券グループ本社と資本業務提携を結び、大和アセットマネジメントが日本版ドラッカー研究所スコアを開発するにあたり支援を行っているため、機関投資家の視点を持つ。同社事業開発部ディレクターの渡辺理氏は、「2021年のコーポレートガバナンス・コード改訂(知的財産と経営戦略等の整合性を開示)から期間がたち、当社も知財情報開示に関する質問・依頼を数多く受けています」と話す。顧客は製造業だけでなく、建設、非鉄金属、インフラ、証券、広告、ゲームなど多岐にわたる。「知財情報開示の動きは、ESGや人的資本の開示が充実していった流れと非常に似ており、今後ますます盛り上がると思われます」(渡辺氏)。
■図 IP Bridgeの事業3本柱特許を活用して収益につなげるライセンス事業、大企業向けに知財戦略をサポートするコンサルティング事業、そしてベンチャー企業の育成を行うイノベーション事業。これら3つの柱で、総合的に日本企業の知財経営を支援する
「月10万円」の知財部長
株と特許の等価交換も注目
3本目の柱「イノベーション事業」では、ベンチャー企業の支援を行う。ベンチャー企業は時に知財が企業価値に直結する。知財の専門人材を有する企業は少ない。だからこそ、創業期から自社で知財メンバーを雇用できるまでサポートする。
同社取締役会長の田中義明氏は「知財部長を月10万円で雇いませんか、というコンセプトです。特許出願の是非や、グローバル対応すべきかなど、知財部長ならではの発想で経営者に提言を行います」と説明する。
例えば個人が発明した自転車のギアの特許をIP Bridgeが引き受け、大学で検証。そのギアの優位性をレポートにまとめ、特許と一緒に売り込み商品化に至った事例もある。
新たなスキームをIP Bridgeが創出し、知財活用の道を開くこともある。同社が持つ特許権をベンチャー企業のパロニムに売却する際、金額が折り合わず膠着状態が続いた。状況を打開したのが吉村氏のアイデアだ。
「特許権とパロニムの株を等価交換しました。優れた技術も実装に至るか、先のことは分からない。成長途上にあるパロニムのようなベンチャー企業の株も同じです。そこで株と特許の物々交換を行い、将来に賭けようというアイデアです。このスキームは、大企業で埋もれている休眠特許にも活用できるはずです」(吉村氏)
田中氏は抱負を語る。「当社は社会とお客様に資する知財活用という基本理念のもとに取り組んできました。今後もそのスタンスは変えず、新たなプロジェクトに向けてまい進いたします」。
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