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エコシステムで主導的地位を確立する知財活用
国際標準の主導権争いが過熱
経営目線のIPランドスケープ®

政府の国際標準戦略を「自分ごと」と捉え、自社の技術を生かすエコシステムを形成する。これは企業の将来を決する大きな経営課題となっている。エコシステムでは、組織間関係の調整を行う知財活用の重要性も強まる。政府の知財戦略に詳しい東京大学教授の渡部俊也氏に、知財経営の「勘所」を聞いた。

渡部 俊也
東京大学
未来ビジョン研究センター 教授

1959年生まれ。2001年、東京大学先端科学技術研究センター教授。2012年から現職。イノベーション政策や技術経営の分野で研究論文など多数。政府の知的財産戦略本部構想委員会座長、経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議座長などを兼務している。

―政府の知財戦略トピックスを教えてください。

大きく3つのポイントがあります。1つ目はAIです。政府の知的財産戦略本部構想委員会が策定する「知的財産戦略推進計画2024」において、2023年から引き続き重点テーマです。特許法500年以上の歴史で初めて、発明者が「人間ではない」ケースが検討されています。AIの進化を前に、これまでの知財の考え方で成り立つのか。しばらく議論が続くでしょう。

東京大学は財務情報と非財務情報を組み合わせた統合報告書を発行するなど、知財活動を積極的に展開している

2つ目は「クールジャパン」コンテンツの著作権保護。コンテンツ産業は今や半導体に匹敵するともいわれる市場規模です。これをいかに守るか。「海賊版」ではなく正規版から日本のコンテンツに親しみ、訪日する海外の人を増やすには、「海賊版」を寄せ付けない圧倒的な正規版プラットフォームを産業政策で確立させる必要があります。

そして3つ目が、国際標準戦略です。AIといった技術分野だけでなく、自然資本や環境系も、国際ルールによってビジネス環境が大きく変わります。今年の重要テーマとして、政府も予算を確保してルール形成に臨むことになります。

国際標準戦略なしには
技術が生かせない!

―国際標準戦略は、知財の世界にどのように関わってきますか。

知財は企業や個人が所有する資産です。しかし知財を取り巻く外側のルールには、資産の観点から好都合なものと、不都合なものがあります。

例えばAIでは、欧州が様々なルールを制定し規制強化を図っています。あるデータを使ってビジネスモデルをつくっても、ルールが変わればそのデータが使えなくなる。するとビジネスモデルが見直しを迫られる。こんなことが現実に起こり得るわけです。

国際標準戦略でイニシアチブを取っていかなければ、技術を生かせない。情報通信分野では既に、日本はルール形成でだいぶ遅れており、必死に巻き返しを図っています。

政府主導の国際標準戦略に応じて、企業も「自分ごと」として考え、その流れに参画し自社の足場をよくする活動を行っていく。これは、企業の将来を決する重要な経営課題です。

―国際標準を経営戦略に生かす具体例を教えていただけますか。

■図 オープン&クローズド戦略と知財の関係コア領域をクローズド戦略で守りつつ、他の領域でオープン戦略を実施して市場形成を図る。この鍵を握るのが「知財」と「標準」である出所:経済産業省「標準化をビジネスで用いるための戦略」の資料を基に作成

オープン&クローズド戦略がそうです。エッセンシャルパテント(標準必須特許)との関係があるため、保有技術の近い領域が国際標準となった時に、コアとなるノウハウだけを残し、その他は特許をオープンにして市場を拡大していく。標準がビジネスの命運を左右します。

今は、環境問題など地球規模の社会課題が顕在化する中、オープン&クローズド戦略のスケールが大きくなっています。自社だけでは戦略の全体をカバーできないために、エコシステムを形成するのです。

例えば東京大学では国内外の他大学とも共同し、ウェルビーイングの実現に向けて産学官連携でグローバルスタートアップエコシステムの構築を目指す「WE AT」を設立しました。エコシステムを進化・拡大させていくためには、グローバル観点で戦略を立てる必要があります。

IPランドスケープ®
エコシステムをデザイン

―エコシステムにおける知財の位置付けを教えてください。

多くの人や企業が活動するエコシステムを「デザインする」ツールとして、知財活用の重要性が高まっています。

昔から知財は、敵対関係の緩和や競合との協調など、組織間関係の調整に利用されてきました。この関係性が非常に複雑化するエコシステムにおいて、知財活用の構想は経営層にしかできません。知財部門はそれをサポートしないといけない。

社内外の知財やマーケットの情報を分析し、その結果を経営に生かすIPランドスケープ®を確立し、自社がエコシステムの中でリーダーシップを取れるよう戦略を立て実行していく。巨大IT企業のプラットフォーム戦略は成功モデルの一つです。

―IPランドスケープ®を上手に活用するには、何が必要でしょうか。

IPランドスケープ®は経営目線でつくるものです。専門的になり過ぎると、経営からは離れてしまう。必要なのは、知財部門も経営の言葉で知財戦略を語れるようになることです。経営層と知財部門がIPランドスケープ®で風景を共有し、同じ言葉で語り合うことで両者の距離は近づきます。

事業部門中心でビジネスを展開してきた日本企業の多くは、知財部門を研究開発部門の中に置いてきました。一方、スタートアップから成長した企業が多い米国では、知財とトップが密接につながり、コミュニケーションを重ねています。日本も学ぶべきです。

■図 知財部門のIPランドスケープ®に対する意識・理解IPランドスケープ®を「理解している」と回答した知財部門のうち、約半数近く(グラフ囲み部分)が、分析結果を経営層に提示するといった観点よりも、分析手法(専門性)を重視するという結果に。この意識を変え、「知財を重視する経営」の観点を知財部門も持つ必要がある
出所:特許庁「経営戦略に資する知財情報分析・活用に関する調査研究の概要」の資料を基に作成

―日本企業が留意すべき点は何ですか。

エコシステムに対し、間違った認識を持っている日本企業が多いと感じています。エコシステムは本来、生態系を表す用語です。ビジネスにおいても強者を頂点とする、いわば弱肉強食の世界です。

ある企業に、この話をした時「私たちは“肥やし”になってしまうのか」という反応がありました。大切なのはリスクの取り方を工夫し、“肥やし”にならず生存するための準備をすること。仮にそれが失敗した時の経営への影響を少なくするうえでも、IPランドスケープ®は重要です。

―日本企業にメッセージをお願いします。

エコシステムにおいて、知財は非常に大きな影響力を持っています。ただし、資金、技術、需要、市場などエコシステムに影響を及ぼすメカニズムを理解することが必要です。そのためにもIPランドスケープ®は有効です。

今後、国際標準の主導権争いはますます過熱していきます。政府の知財戦略と歩調を合わせながら、リスクを伴う覚悟を持って知財経営に挑むことで、日本企業は生き残りかつ進化できると思います。

「IPランドスケープ」は、正林国際特許商標事務所所長正林真之弁理士の登録商標です。なお、本広告特集の他ページについても同様です。

Contents

総論

エコシステムで主導的地位を確立する知財活用国際標準の主導権争いが過熱
経営目線のIPランドスケープ®

IP Bridge

知財部門はコストセンターではない過去、現在、未来の知財で
社会と顧客企業に貢献する

アナクア

IBMが見る知財経営のグローバルスタンダードとはマネタイズとオープン戦略の両輪
知財を軸として市場拡大を推進

デンネマイヤー

VUCA時代に知財で高めるビジネスモデルの確実性グローバル拠点に専門家多数
迅速かつ効率よく変化に対応

パナソニック ソリューションテクノロジー

パナソニックが現場実践で培ったノウハウを凝縮戦略化を促進する知財BIが
経営と知財の共通言語に

RYUKA国際特許事務所

発明者とのディスカッションで特許の価値を最大化グローバル特許競争時代を
勝ち抜く知財戦略へシフト

レクシスネクシス・ジャパン

学術的に認められた手法で知財経営を推進確かな指標とビジュアルで
事業再編、M&Aの旗印に