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オムロン

息づくベンチャー精神で世に先駆けた「顧客ニーズ」を実現

進化を続ける半導体チップの
「高速・高精度検査」の両立に挑む

生活を大きく変える最先端技術。そのコアパーツである半導体には必ず品質の問題がつきまとう。制御機器メーカーとして知られるオムロン、実は半導体の品質維持・向上に大きく貢献している。同社のキーパーソンに日経BP 総合研究所リサーチユニット長クリーンテックラボ所長の大石基之が話を聞いた。

チップレットの多層構造

チップレットの多層構造オムロンでは、一括で3Dデータを取得。半導体を切断することなく、接合状態を自動検査できる

電子機器の高機能化に伴い、半導体製造においては微細化、高集積化の要求が高まっている。当然、半導体製造の難易度は上がるため、メーカーにとってはいかに生産性と品質を維持、向上させるかが課題となる。そこで登場したのが、「チップレット」である。完成された機能を持つチップを組み合わせ、高機能を実現できるためコスト削減にもつながる。一方で新たな問題も出現した。「チップレットには、異なる素材と大きさの接合面が混在します。結果、接合が多様化し品質保証の難易度が急激に上がったのです」。オムロンインダストリアルオートメーションビジネスカンパニー検査システム事業本部本部長の渋谷和久氏は説明する。

チップレットの多層構造

チップレットの多層構造オムロンでは、一括で3Dデータを取得。半導体を切断することなく、接合状態を自動検査できる

(左)オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 検査システム事業本部 X線検査システム事業部 開発部 開発2課 課長 益田真之氏 (右)オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 検査システム事業本部 本部長 渋谷和久氏 ※CT型X線自動検査装置「VT-X950」の実機を背景に撮影

(左)オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 検査システム事業本部 X線検査システム事業部 開発部 開発2課 課長 益田真之氏 (右)オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 検査システム事業本部 本部長 渋谷和久氏 ※CT型X線自動検査装置「VT-X950」の実機を背景に撮影

検査時間60秒という要求を
チーム一丸となってクリア

環境モビリティーやデジタル社会の進化に伴い、人命や社会インフラなど半導体が担う重要性が高まっている。同様に半導体の接合部にもより高い耐久性が求められる。SMT工程の検査装置で30年以上の実績を持つオムロンに対し、半導体先進企業からこれらの品質保証への対応が期待されている。

 

※表面実装(SMT)…電子基板の表面に電子部品を搭載する方法の一つ。ペースト状に加工したはんだで電極を接着し、炉で熱して固定する方式

「素材が変われば熱の伝わり方や応力のかかり方が複雑に変化するため、従来の工程管理では品質の維持が難しくなります。ラインの中でチップレットの接合状態を検査したいという声がお客様から寄せられました」(渋谷氏)

半導体チップ解析には通常多くの時間がかかる。解析機の暖気運転で約1時間、画像の撮影で約1日。解析ができるのはその翌日から2~3日を要することもある。変革の早い半導体開発におけるこの状況を変える提案ができないかとオムロンは考えた。

SMT工程で培った技術と実績をもって、この新たな課題にどう対峙すべきか、開発に取り組むメンバーに当初の開発背景を交えて話を聞いた。

基板の高密度化や部品の微細化に伴い、部品との接合面が外観で捉えられなくなる中、不良の見極めが困難になっていた。そこでX線検査が登場した。ある時顧客から「1基板を60秒で検査したい」という要望が出た。2007年のことである。同検査システム事業本部X線検査システム事業部開発部開発2課課長の益田真之氏は、当時を振り返り次のように語る。

「最初は180秒かかりました。これを縮めるため装置の機構設計から作り直したのですが、90秒が限界でした。お客様にそう伝えたところ、逆に『オムロンならできる』と励まされて奮起。夢の中でも検証するほど皆が必死になって1秒、コンマ数秒を縮める闘いでした。時には自分にできることはもうこれしかない、と実験室の掃除をしていたこともありました。最終的には、専門外の領域も含めたあらゆる知恵を結集し、60秒を実現しました」

そして完成したのが、高速CT型X線自動検査装置「VT-X750」である。VT-X750で測定できる大きさは最小3~最大30μm(マイクロメートル)。最新バージョンでは、1基板20秒程度にまで高速化している。VT-X750でチップと基板の接合面検査時間の課題をクリアし、次なる課題は搭載チップの内部、チップレットの微細な接合への挑戦である。開発チームではこれまで培った高速化技術をできる限り踏襲し、測定能力を最小0.2μmにまで高めた「VT-X950」の開発に成功し、2024年にリリースすることができた。

VT-X950自動検査イメージ

X線高速自動検査がもたらす
半導体製造工程への革新とは?

今まで見えなかったものが、見えるようになる。非破壊で試作品の検査ができることがVT-X950の大きなメリットだ。研究開発段階では想定通りのものができるかどうか(出現率)が問われる。そのため多くのデータを蓄積、分析を繰り返し、ようやく目指す製品に近づけている。データを取得するためには、多くの場合、試作品を切断して内部を確認する。しかし本来、試作品は再検証するため残しておきたい。

「VT-X950は、試作品の傾向や変化点を非破壊かつ高速で確認することができます。従来の解析機との併用で、研究開発が大幅に効率化します。これにより、量産に向けていち早く良品を作るための基準値(プロセスウィンドウ)を決めることができます。さらに、増産期において基準値通りにモノづくりされていることをVT-X950がモニタリングすることで、良品製造の品質安定化に貢献します」(渋谷氏)

半導体製造の各プロセスにおけるオムロンの貢献価値

半導体製造の各プロセスにおけるオムロンの貢献価値オムロンは半導体の研究・開発期、量産初期から安定期までの各フェーズで、顧客課題の解決策を提案できる

検査システム事業本部が開発拠点とする滋賀県の草津事業所は生産拠点でもあり、実際にVT-X750を使用している。装置のデモ・検証に訪れた顧客に実際に利用している製造現場を案内することがある。渋谷氏は「お客様が当社の現場従業員に話を聞くと、彼らは我々に忖度なく回答しています」と笑う。実際の現場を見せることで、顧客は製品への理解を深め、同社への信頼感にもつながっている。

半導体の変革スピードは極めて速く、進化には終わりが見えない。渋谷氏は「創業以来のベンチャー精神で、二律背反する検査精度の向上とスピードアップの両立に取り組んでいきます」と語った。

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Contents

総論

真に必要なのは、半導体業界の「外」を知る人材「周回遅れ」からの起死回生へ
社会変革を担う人材は九州で育つ

野村マイクロ・サイエンス

「水」の利用が絶えることはない卓越した超純水技術で
半導体の洗浄工程を革新

高砂熱学工業

クリーンとCO₂削減を両立し、半導体工場に導入拡大先進空調技術と自然原理を融合
時代が求めた空調システム

JX金属

半導体金属材料の総合メーカーへ生成AIで飛躍的に進化する世界を
高純度な金属材料で支える

新菱冷熱工業

ナノレベルの汚染物質を分析し可視化たゆまぬ技術開発で
除去率99.9%を目指す

オムロン

息づくベンチャー精神で世に先駆けた「顧客ニーズ」を実現進化を続ける半導体チップの
「高速・高精度検査」の両立に挑む

新日本空調

映像の直感性と独自画像処理技術による定量性に強み「100万分の1」の微粒子可視化へ
クリーンルームの清浄度を追求