

多くの日本企業がDXの取り組みを進めている。しかし、世界と比べるとまだ遅れが目立つのも事実だ。IMDが発表している世界競争力ランキング2024年版で、日本は38位。米国をはじめとするデジタル先進国に大きく水をあけられている。
また、IMD世界デジタル競争力ランキングにおいては、ビジネスの俊敏性の観点で分析の活用への課題が指摘されている。
「経営者がリーダーシップを発揮し、戦略的にDXを推進することが肝要です。実際、企業価値向上のためにDXを推進するには経営層の関与が重要だからです」と話すのは、日本オラクルの塚越 秀吉氏だ。DX推進のガイドラインとして経済産業省が2024年9月に発表した「デジタルガバナンス・コード3.0」でもその重要性が指摘されている。
とはいえ、もちろん経営者の号令だけでDXは進まない。テクノロジー面でのハードルとなるのが、レガシー化したITシステムだ。構築から長い年月が経つITシステムは、テクノロジーの陳腐化、中身を知るエンジニアの減少などによって技術的負債になりつつある。「いざというときにビジネス上のチャレンジを支えるデータ、およびその活用に課題をお持ちのお客様も多い」と塚越氏は言う。
そのため、DXに向けてはまず技術的負債を解消し、新たなデジタルビジネス基盤を構築することが必要だ。システムと業務をアップデートして、業務標準化を進めるとともに、データ利活用を促進する。「これにより、柔軟な方針転換や事業のグローバル展開に即応できる『変化対応力』を強化します。これまで維持・保守業務に費やしていた経営リソースを、デジタル技術の活用にシフトすることで、イノベーションを継続的に創出できるようになります」と塚越氏は話す。
このDXシナリオの実現に向け、オラクルが提供するのが「Oracle Fusion Cloud Applications」だ(図1)。
企業データを統合し、ERPやサプライチェーン管理、人材管理など多様なアプリを利用可能。すべてのアプリで高度 なAIを利用したデータアナリティクスを提供する
インフラから統合されたデータ、AIサービス、業務アプリケーションまですべてを包括的に提供するSaaSソリューションで、機械学習や生成AIなどの多様なAI機能も追加コストなしで利用できる。これらすべてのレイヤーに対し高度なセキュリティーを組み込んで提供することで、業務アプリケーションの中でAIなどの先端技術をセキュアに利用することが可能だ。
「SaaSのため、自前でインフラを構築・運用する必要はありません。技術的負債からの脱却だけでなく、イノベーション負債の低減に向けて迅速に対応できるでしょう」と塚越氏は語る。
最近発表した50以上のAIエージェントのユースケースは、業務の生産性と効率を向上させ、働き方を大きく変革するものといえる。また、このような最新技術の活用により、イノベーションも加速できる。例えば、調達業務ではAI機能で支出情報のカテゴリ分けを自動化し、データの質の向上や分析力強化を図れる。資材や原材料を調達するサプライヤー選定時の最適候補を生成AIが提示したり、サプライチェーン計画の策定をAIがアシストしたりすることも可能だ。
加えて、AIの強みが生きるのが未来予測の領域だ。普段と違う状態や変化の兆しを捉え、ビジネス状況やサプライチェーンのリスクを早期に発見する予兆管理はその1つである(図2)。
膨大なデータを学習したAIが、わずかな異常の予兆を捉えて通知するほか推奨アクションも提示する。気付き、判断 し、アクションにつなぐという一連の流れを高速化できる
変化の度合いが小さい場合は、その重要性に気付かないことも多いが、過去の傾向や予測との差異/偏向、異常値/外れ値を検出することで早期発見が可能になる。また、人の判断を支援し、素早いアクションへつなげることができる。
オラクル自身もOracle Fusion Cloud Applicationsをビジネス基盤としてフル活用している。これにより、97%の銀行取引を自動で調整できるようにしたほか、サプライチェーンの計画サイクルは70%短縮。様々な業務領域で効率化を実現できているという。
AI機能の一層の進化に向けて、オラクルは2024年9月にデータプラットフォーム「Oracle Fusion Data Intelligence」をアップデートし、AIを活用した新しいインテリジェント・アプリケーションを追加した。AIで導き出されたインサイトを活用し、ビジネスの意思決定を次のレベルに引き上げる。
「例えば、製品の供給計画を検討する際に、部品供給に対する天候や地政学的リスクなど様々な影響を勘案する必要がある場合、AIが迅速に生産や出荷などへのリスクを検知して納期やコストへの影響を分析し、代替手段の検討を支援することも可能です。この機能はお客様の要望を基に共同開発したものです。実際、新機能の60%~ 80%はお客様の要望や提案に基づくもので、それらが四半期ごとに次々とリリースされています」と塚越氏は紹介する。
より高度なサプライチェーン分析も可能になる。調達やフルフィルメント、在庫管理の異常を早期に発見し、最適な受注・管理・配送を予測することで、経営上のリスクを軽減できるという。
レガシーなアプリケーションをIaaS上に載せただけの“なんちゃってSaaS”では、AIの真の価値を享受するのは難しい。変化や進化のスピードに対応するためには、インフラからアプリケーションまで、すべてのレイヤーをサービスとして利用できる“本物のSaaS”が不可欠だ。
「これをベースに経営トップがリーダーシップを発揮し、変革を進め、標準化とイノベーションを推進していく。イノベーションは長く続くジャーニーです。持続的な改善と学びに努め、新たな顧客価値を創出し続けていくことが大切です」と塚越氏は強調する。一連の取り組みを進める上で、オラクルは強力なパートナーになるだろう。
