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朝日工業社

100年の技術を礎に、新研究所をつくばに開設

「農業」も「におい」対策も
空調と情熱で進化する!

創立100周年を迎えた朝日工業社は2025年12月、つくば技術研究所を開設した。同社は設備工事だけでなく、空調設備に関わる機器製造販売まで手掛ける。社員の情熱と、1世紀を超えて培ってきた技術。「農業」と「におい」、2つのユニークな分野に注力しながら「心地良い」を追求する新研究所の登場で、さらなる広がりに期待がかかる。

朝日工業社が設備工事だけでなく機器製造まで手掛けるのは、常に顧客の課題と真摯に向き合ってきた結果だ。既存機器だけで課題を解決できない場合、「なければ作る」の精神で機器製造にチャレンジした。現在は主に半導体製造装置向けの精密環境制御機器や印刷機・塗工機に搭載するドライヤを製造しており、設備と組み合わせた提案も行う。

(左)朝日工業社 技術研究所長 生田紀夫 氏 (中)同社 取締役 上席執行役員 技術本部長 木村隆志 氏 (右)同社 執行役員 技術本部 技術企画部長 平泉尚 氏

このような事業形態の根底にあるのは創業者の「朝日工業社は診断し、処方箋を書く医者である」という言葉である。同社執行役員技術本部技術企画部長の平泉尚氏は、「設計図通りに施工するだけでなく、お客様の課題を汲み取り、本当に求められる設備を提供してきました」と語る。

画期的なコメ型経口ワクチン
協業で実用化を目指す

●図1 研究所内の人工光型植物栽培室朝日工業社の効率的な空調システムを用いて、低コスト型植物工場の構築を進める
(画像提供:朝日工業社)

●図2 開発中のコメ型経口ワクチン「MucoRice(ムコライス)」常温保存、経口投与可能。世界中の感染症予防推進に期待がかかる
(画像提供:朝日工業社)

新たに開設した朝日工業社つくば技術研究所。特に注力する分野が「農業」と「におい」である。気候に大きく左右される農業では近年、植物工場が注目を集める(図1)。同社は1996年から植物工場の空調に取り組む。植物の育成には気温や湿度の他、照明、病害対策、養液の循環など検討事項が多い。様々な対策を試み開発を進めてきた。

●図1 研究所内の人工光型植物栽培室朝日工業社の効率的な空調システムを用いて、低コスト型植物工場の構築を進める
(画像提供:朝日工業社)

経験を基に千葉大学と取り組むのが、コメ型経口ワクチン「MucoRice(ムコライス)」(図2)の研究開発だ。コレラなどのワクチン生産を目指す。その意義を同社技術研究所長の生田紀夫氏は、「注射によるワクチンの場合、保存や運搬に温度管理が必要ですが、コメは常温で保存でき接種も容易です。発展途上国など温度管理が困難な地域で特に役立ちます」と説明する。

●図2 開発中のコメ型経口ワクチン「MucoRice(ムコライス)」常温保存、経口投与可能。世界中の感染症予防推進に期待がかかる
(画像提供:朝日工業社)

MucoRiceは遺伝子操作をしているため、種や花粉の外部流出は絶対に避けなければならない。空気や養液の排出はもちろん、工場内で使われた衣類や手袋なども徹底した管理と無害化が必要となる。こうした厳格な封じ込め対策に加え、同社は空調・衛生設備分野で培った空気・水・熱の環境制御技術を生かし、安定的なイネ栽培を可能にしている。

農業分野では2025年、米国で植物工場を展開するOishii Farm(オイシイファーム)と資本業務提携契約の締結も行った。Oishii Farmは東京都羽村市に植物工場の研究開発施設「オープンイノベーションセンター」の開設を決定。空調を含めた植物栽培施設工事一式を朝日工業社が受注している。

同社取締役上席執行役員技術本部長の木村隆志氏は、「Oishii Farmとの資本業務提携を起点に、サステナブルな農業や社会の実現を目指し、次世代農業分野への本格展開を加速させるとともに、当社が強みとする空調・環境制御技術の新たな価値創出につなげたいと思います」と語る。

サンプル採取・分析から
要望を汲んだ臭気対策を提案

建物に関する課題で、同社が重点的に取り組むのがにおい対策である。工場にとって近隣への悪臭排出は、時に賠償にもつながる重要課題だ。また食品工場などでは、製品のにおいが他のラインの製品に移ると品質に影響する場合もある。そこでにおいのコントロールが必要だが、一筋縄ではいかない。

においの成分や濃度は千差万別。まずサンプルの採取と分析が必要だ。脱臭には活性炭などによるフィルタリング、燃焼、希釈、水に溶かすなど様々な手法がある。成分や濃度、予算などに合わせ、複数の手法を組み合わせて臭気対策を施す(図3)。

●図3 脱臭装置を用いたにおい対策ある空間に朝日工業社の脱臭装置を設置した場合の、臭気環境の変化を示したシミュレーション結果。青くなるほど臭気が弱くなる。装置の起動後、空間の大部分でにおいが抑制されていると分かる

「すべて個別対応が必要となるため手間がかかり、経験に基づくノウハウが求められます。そこに当社の技術が生きます。お客様が気にされるポイントや予算、どこまで対策を施すかなど密なコミュニケーションも必要で、当社が強みを発揮できる部分です」(生田氏)

つくば技術研究所が目指すのは「心地良い空間と環境調和」。ここでいう「心地良い」とは、人間だけに限らず、植物や機械など製造物にとっての「心地良い」も含む。最大の特徴は研究所自体が実験室となり、快適さと省エネ性能の調和を探っている点だ。オフィス部分では冷暖気が染み出す床や、床・壁の放射冷暖房など複数の空調設備を備え、組み合わせによる効果を測定。ここでの実験結果を製品・サービスに生かしていく。

研究室としては疑似太陽光照射装置、閉鎖型植物栽培室、脱臭専用の試験室、気流に関わる様々な技術を実験し可視化できる「みえるかラボ」、クリーンルームなどを備える。社員研修施設としても活用予定。1階フロアはあえて天井を外し、剥き出しの設備を見せることで、新入社員の空調設備に対する理解醸成を進める。今後は研究所のさらなる活用を模索し、設備を活用した共同研究なども行う予定だ。

朝日工業社は100周年を機に新たなパーパス「情熱と技術で、世界をもっと最適に」を策定。「次の100年に向けて、今後も人々の暮らしや植物、生産現場の快適さを追求し、挑戦を続けていきます」(木村氏)

「心地良い」を当たり前に 100年先も人々の明日を支える▶ 次なる挑戦を追う

Contents

総論

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AIで社会変革を起こすには?

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分野を越えて知見を生かす、それが「真のOne Hitachi」「Lumada 3.0」に「HMAX by Hitachi」
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