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新菱冷熱工業

「イノベーションハブ」で実際に試せる、研究できる!

ドライルーム需要は活況
温度と可視化の2軸で省エネ

リチウムイオン二次電池や全固体電池の製造に欠かせないドライルーム。しかし空気中の湿度を極限まで除去するドライルームの運用には、莫大なエネルギーを要する。新菱冷熱工業は高度な技術とアプローチで解決策を提供。その源泉、「ドライルームオープンラボ」は共創の場として積極的に貸し出しも行う。

スマートフォンや電気自動車(EV)、蓄電システムなど、あらゆる充電式製品に利用されるリチウムイオン二次電池。また現在熾烈な開発競争が行われている全固体電池の製造に必須なのが、ドライルームである。空気中の露点温度を非常に低い環境で保ち、夏の外気での露点温度が25℃程度であるのに対しドライルームでは-30~-40℃、場合によっては-90℃が求められるケースもある。

(写真左から)新菱冷熱工業 技術統括本部 イノベーションハブ 産業環境グループ シニアアソシエイト 小澤凌 氏、同産業環境グループ課長 兼 エネルギーグループ課長 佐原亮 氏、同産業環境グループ シニアアソシエイト 服部美紀 氏 (左手に見えるのは同社の「ドライルームオープンラボ」)

一般的なドライルームは、シリカゲルなどの除湿剤を添着したローターに空気を通風することで除湿する。しかし除湿剤に水分が吸着するとその効果が失われるため、今度はヒーターで加熱して水分を取り除く必要がある。その際、莫大なエネルギー量を消費することが課題だった。

新菱冷熱工業技術統括本部イノベーションハブ産業環境グループシニアアソシエイトの小澤凌氏は、「除湿機は夏場の露点温度が高い時+ドライルーム内に人が多い時を想定して運転するため、冬場などそれ以外の露点温度が低い条件では過剰運転になります。これを防ぐため、給気の露点温度を露点計で測定してヒーターの温度を制御する方式が登場しました。しかし露点計は精度や応答速度が低く、壊れやすいのがネックでした」と説明する。

※露点温度:空気中の水分が結露し始める温度=水分濃度を指す。

莫大なエネルギーを消費する
ドライルームを約30%効率化

同社の「アリフィカス」は、ドライルームの大幅な省エネに寄与する除湿システムだ(図1)。ポイントは、湿度ではなく温度に注目した点にある。温度ならば精密な計測が可能で、計測器の堅牢性も高い。

●図1 省エネドライ空調システム「アリフィカス」除湿ローター周りの温度変化(熱量)から給気露点温度を推定し、最適な再生温度・風量に自動制御する

アリフィカスはローター周辺の温度を計測し、高い精度で露点温度を推測。さらに、ヒーターを最適なエネルギーで自動制御して、省エネを図る。開発においては実験と計測を繰り返し、緻密な変換アルゴリズムを確立した。

「多様な外気条件および運転条件を想定して実験しました。またアリフィカスは既存の除湿機に組み合わせて使うため、各メーカーの除湿機ごとに検証しています」(小澤氏)

特許も取得し、既に約50件の実績がある。同産業環境グループ課長兼エネルギーグループ課長の佐原亮氏は、「平均20~30%の効率化を実現しています。お客様から測定データをいただき、それに基づいて改善も続けています」と述べる。

湿度0.001%の世界で
高精度の可視化を実現

●図2 低露点CFD解析の結果画面実空間では測定困難な露点温度ムラを計算で求め、任意の場所での露点温度分布を表示。絶対湿度誤差±7%以内の高精度で可視化でき、顧客ニーズに合った最適なドライルーム空調システムの提案に役立てる

エネルギー効率を高めるアリフィカスに対し、同社の低露点CFD(数値流体力学)解析は品質向上に貢献する(図2)。ドライルーム内の湿度にムラがあると製品の品質に悪影響を及ぼすため、低露点CFD解析でムラを可視化。ムラを抑制する気流デザインに役立てる。

●図2 低露点CFD解析の結果画面実空間では測定困難な露点温度ムラを計算で求め、任意の場所での露点温度分布を表示。絶対湿度誤差±7%以内の高精度で可視化でき、顧客ニーズに合った最適なドライルーム空調システムの提案に役立てる

CFD解析は流体のシミュレーション手法であり、自動車や航空機などの開発に欠かせない。同社はその技術をドライルーム環境でも実現した。ドライルームは湿度が0.001%(露点温度-90℃の場合)と極端に乾燥しているため、水分量の差が極めて小さくその測定は簡単ではない。水分の拡散速度も通常の環境とは異なるため、一般的なCFD解析では精度の高いシミュレーションができない。「当社の実験室で計測を繰り返し、CFD解析結果と擦り合わせ解析精度を高めていきました」(小澤氏)

同社はこの技術を用いて、吹き出し口の位置や作業者人数、ドアの開閉時間といった利用ルールの整備など、幅広い提案を行う。「既設のドライルームを改善する場合もあります。実際に改築しながら試すと時間も費用もかかりますが、低露点CFD解析を使えば予測して設計できます」(佐原氏)

アリフィカスや低露点CFD解析の開発には、同社のイマジネーションと価値を創出する拠点「イノベーションハブ」(茨城県つくば市)に設置された「ドライルームオープンラボ」(上写真)が活躍した。このラボは研究機関や企業に貸し出し、同社が蓄積するノウハウも提供する。同産業環境グループシニアアソシエイトの服部美紀氏は「国内では珍しい施設で、関心も増えています。以前は年に数件でしたが、2025年は約20件の問い合わせがありました」と説明する。

ここで新たに開発された製品に、局所ドライ化装置「フレックスドライ」がある。ドライルームは部屋全体がドライ環境であるが、必要な箇所のみドライ環境にできれば、省エネ効果はその比ではない。従来技術は低露点環境の維持や作業性に課題があった。フレックスドライはその両方を解決することに成功。ニーズに合わせて人の上半身をスーツで囲うハーフスーツ型と、手の差し込み部分にブラシを使うブラシ型の2種類を用意。この製品も実際にラボで試用可能だ。

ドライルームの需要はますます旺盛だ。同社の技術はそこに、主に省エネの観点から貢献していく。「環境エンジニアリング企業として、地球環境に貢献していくという強い思いを持ち、さらなる研究開発に邁進します」(佐原氏)

Contents

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新菱冷熱工業

「イノベーションハブ」で実際に試せる、研究できる!ドライルーム需要は活況
温度と可視化の2軸で省エネ

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