
瀬川 佳昭氏
株式会社日立製作所
ブランド・コミュニケーション本部
デジタルコミュニケーション部長
河井 今回、受賞された『Society5.0は「食」の未来を救えるか』サイト(以後、スペシャルサイト)の企画には、どのような狙いがあったのかお聞かせください。
瀬川 日立では、社会インフラをはじめとする幅広い領域において培ってき知見と、 ITを活用した協創で、社会やお客様が直面しているさまざまな課題を解決する社会イノベーション事業を推進しています。この事業の取り組みをコンテンツとして集約し、紹介する「社会イノベーション事業サイト」を2016年に立ち上げました。当初は、本社宣伝部内のWeb戦略グループが、このオウンドサイトの運営及びコンテンツ制作を担っていましたが、2017年に同グループが、デジタルコミュニケーション部として独立しました。新たな部署には、広告だけではお客様に到達し難くなった、企業のメッセージや情報を、デジタルを活用して、いかに届けるかという命題が課せられ、「社会イノベーション事業サイト」の運営を任されることになりました。しかし、コンテンツを制作してサイトに載せるだけではお客様には届きません。バナー広告やリスティング広告といった通常のアプローチでPVを増やしても、お客様にコンテンツを最後まで読んでいただけない、また、社内にも知られていないコンテンツがあったりと、コンテンツで拡散していく仕掛けを作っていく必要がありました。日立のコンテンツに関心を持ってもらい、最終的には日立の社会イノベーション事業に興味を持っていただくということが今回の企画の大きな目的でした。

河井 保博
株式会社日経BP
技術メディア局長
河井 さまざまな取り組みをされる中で、どのような背景から弊社に企画制作をご用命いただいたのでしょうか。
瀬川 今、日立は「Hitachi Social Innovation is POWERING GOOD」というタグラインを使って、ブランドコミュニケーションを展開していますが、社会イノベーション事業サイトでも、タグラインを取り込んで、ブランディング面での訴求はできているのですが、一方でコンテンツを読むポテンシャルのある人にうまくアプローチできるように、コンテンツマーケティングを強化したいという思いがありました。今回、御社にお願いしたのは、コンテンツの訴求を得意としていることと、日経IDのデータを活用して細かい分析ができるということが大きな理由です。
河井 今回のスペシャルサイトは、「食」をテーマに連載形式で展開しました。審査員にも高く評価されましたが、どのような感想をお持ちですか。
瀬川 サイトの公開が年明けのこともあり、おせち料理など食に関することはどうかと私が思いつきで言ったことを河井さんが真摯に受け止め、形にしてくださいました(笑)。ただ、思いつきではありましたが、スペシャルサイトとリンクしているオウンドサイト内の「世界経済フォーラム第四次産業革命センター」のムラット・ソンメズ氏と弊社の執行役常務の鈴木教洋の対談には、農業という観点から食を語っている部分がありますので、うまく連動させることができました。また、食であれば生産、流通、健康という観点から日立の取り組みを幅広く伝えることができるため、テーマとしては適切だったと思います。ただ、「Society5.0」の実現に向けた日立の取り組みという大きなテーマの訴求にあたり、食に絞り込むことに多少の躊躇もありましたが、思い切って実験する必要を感じ、踏み切ったことは正解でした。
河井 企画全体を通して戦略的な誘導を実施し、「社会イノベーション事業サイト」への集客を図りましたが、その結果はいかがでしたでしょうか。
瀬川 日経IDの数字でも分析しましたが、スペシャルサイトを経由してからリンク先である「社会イノベーション事業サイト」の対談に移動した来訪者の方が、非来訪者に比べて読了率は高かったですね。アンケートも取っていただきましたが、スペシャルサイト来訪者の方が日立の「Society5.0」への取り組みにより興味関心を持ち、理解促進にもつながりましたし、その属性も我々のターゲットに近い人のスコアが高いという結果が出ました。こうした読了率や関心の引き具合が高かったところに効果を感じています。
河井 日経ビジネス電子版をはじめ、日経BP固有のID・BP DMPへの評価や期待されていることがあればお聞かせください。
瀬川 日経IDを活用して実験的な検証ができたことは、御社だからこそのことだと思います。食というテーマに対して、さまざまな切り口を提案していただけたことも期待通りでした。一方、これから期待することは、メディアに対する感覚が我々とは異なり、新聞も雑誌もあまり読まなくなっている若い世代へのアプローチですね。これからの世の中をリードする若い世代にもどう関心を持ってもらうかも企業の大きなミッションとなっています。その点において、日経BPはどのようにアプローチしていくのか、非常に興味があります。
河井 若い世代にどのようなコンテンツで、どうリーチするか弊社にとっても課題ですが、今後ぜひご提供していきたいと思います。最後に、これからのコーポレートサイトの方針や実現したいことなどをお聞かせください。
瀬川 目指しているのは、サイトを訪問してくださった方と弊社のつながりを強めていくということです。今のところ、たださまざまなソリューションをご紹介するというカタログ的なデザインになっていますので、訪問者にとって最適な情報を渡せるように誘導したり、次のアクションにつなげたりという設計が必要です。現在も徐々に進めていますが、それをより発展させることで事業に貢献したいと考えています。
※所属・肩書はインタビュー時点