
小張 慎一郎氏
NTTアーバンソリューションズ
株式会社
経営企画部 広報室 担当課長
徳永 NTTアーバンソリューションズは昨年生まれた新しい会社ですが、どのような背景から設立されたのでしょうか。
小張 NTTグループは2018年11月に、スマートな社会=Smart Worldの実現に貢献することを軸とした中期経営戦略「Your Value Partner 2025」を発表しました。その戦略の柱の一つとして掲げられたのが、NTTグループが所有している不動産をはじめ、ICT、エネルギー、環境技術などを最大限に活用した、新たな「街づくり事業」の推進です。これを具現化するため2019年7月に、NTT都市開発とNTTファシリティーズを子会社とする「街づくり事業推進会社」NTTアーバンソリューションズを創設しました。私たちのミッションは、「NTTグループの資産を社会課題解決のためにどう活用していくか」を考えることです。それは、ただ新しい開発をしたり、商業施設を運営したりするだけではありません。そこに住み、働く皆さまと同じ目線で課題と向き合い、声に耳を傾け、その方々が思い描く街の実現に向けて、「街づくり」をサポートしていくことだと考えています。

周 翰韵氏
NTTアーバンソリューションズ
株式会社
経営企画部 広報室 担当課長代理
徳永 会社設立後、間もない時期に立ち上げたWebサイト「ひとまち結び」による街づくりブランディングが高く評価され、今回グランプリを受賞されました。マーケティングにおいてどのような課題や目的があり、この施策をスタートさせることになったのかお聞かせください。
周 地域の方々をサポートしていくために、私たちは、日々どこかで生まれ続けている「街づくりの種」を知らなければなりませんし、同時にそれを多くの人に伝えていきたい、つまり、世の中にある「声」を聞き、共有し、街と人をつなげていくような場が必要だと考えました。それぞれの場所や人、抱えている課題によって異なる「種」があり、それらを集積する場となるWebサイトを作りたいと思ったことが、この施策を始めたきっかけです。
また、「ひとまち結び」での取り組みを通して、私たちNTTアーバンソリューションズのビジョンや取り組みを知っていただきたいという目的もあります。
徳永 「ひとまち結び」というサイト名はどのような思いが込められているのでしょうか。
小張 先ほども話した通り、私たちは単に開発するだけでなく、その街に集い、働き、住まう人々のことを第一に考えています。では、人々が生き生きと暮らしていける街とはどのような街なのか。それは、都心であれ、地方都市であれ、持続的、物理的、精神的に豊かになれるような街であるといえます。一方、少子高齢化や過疎化、自然災害や環境・エネルギー問題といったさまざまな社会的課題も、「人」と「街」の関わり方が大きく関係するという側面を持っています。まさに、その関わり方、絡み具合、結びつきといったところを表現したいという思いから、このネーミングに決めました。また、すでにできあがっている街に人が集まるのではなく、人々の想いが街をつくっていくという、そのプロセスや順序が重要であると考え、サブタイトルは「人の想い、街の未来」としました。

徳永 太郎
日経BP総合研究所
社会インフララボ所長
徳永 記事コンテンツの内容は、スタートアップ企業が持つテクノロジーに注目したものをはじめ、酒場めぐり、マイクロコミュニティなど多岐にわたっています。日経BPとの編集会議の場でも、「ワクワクするような話題を紹介しよう」と、街づくりに関する幅広い話題を取り上げる方針で進めてきました。NTTアーバンソリューションズとしては、どのようなお考えがあったのでしょうか。
周 「街づくり」という言葉は徐々に普及してはいますが、認知度が高いとはいえず、まだ知らない人も多いと思います。あるいは、とても難しく、仰々しいことのように捉えている人もいることでしょう。しかし、実はちょっとした工夫をすることでも、「街づくり」といえるのです。それを理解してもらうために、より身近で、自分ゴト化できること、そして何より「街づくりって楽しそうだ」と感じてもらえるような記事選びを心がけてきました。その取り組みによって街がどのように変化したかということも大事ですが、そこで生活を営む人々の生き生きとした表情もお伝えできればと考えています。
徳永 今回の施策はコンテンツの内容もさることながら、スマホでの閲覧をメインとして想定し、デザインや記事の画像、文字数なども工夫したことで、スタートから3カ月で合計20万超のPVを獲得する結果を残しました。これからの展開としてはどのようなことを考えていますか。
小張 「人と街を結ぶ」と謳うからには、Webサイトという仮想の世界を飛び越え、実際につながる場を実現したいと考えています。「ひとまち結び」でつながった全国の人や街と協力し、その街の地酒を楽しんでもらうようなイベントを開催したり、街を見に行くツアーを企画したり、街を肌で感じて地域の人々と交流できるような場をつくれたらと考えています。また、「ひとまち結び」に掲載されている記事は、必ずしも私たちが関わるものばかりでなく、時には競合他社の事例を取り上げることもあります。さまざまな垣根を越えて、全国各地の「面白い」「楽しそう」「参考になる」「元気になる」記事をお届けすることで、皆さまの課題を価値に変えていくお手伝いができればと考えています。
※所属・肩書はインタビュー時点