受賞者インタビューグランプリ

新東工業 圧倒的なわかりやすさとインパクトで
製品理解と認知拡大につなげる

武田 裕之 氏

武田 裕之
新東工業株式会社
執行役員
営業本部 副本部長


山本 浩希 氏

山本 浩希
新東工業株式会社
企画部 情報発信チーム


兒玉 節子 氏

兒玉 節子
新東工業株式会社
企画部 主任担当員

加藤 審査会では「インパクトがある」「テキストに頼らず、一目で何を訴えたいのかわかる」など「6軸力覚センサ『ZYXer(ジクサー)』」の広告を高く評価する声が上がりました。製品名も印象的ですが、名前の由来を教えてください。

山本 近年、人口減少を背景に様々な業界でロボットが導入され、作業の自動化が進んでいます。しかし、産業用ロボットは職人技のような微妙な力加減での作業が得意ではありません。そこで、弊社では、X、Y、Zの3方向の軸にかかる荷重と各軸回りのねじれる力を同時に検出し、ロボットに人間のような力の感覚を与えられる「6軸力覚センサ」を開発しました。この新たな商品をブランドとして大切に育てていきたいという思いから商品名を付けることになり、関係する部門の10人ほどで名前の案をそれぞれ10案ぐらいずつ出し合いました。その中から採用したのが、「X、Y、Zのアナグラム」案です。そこにセンサーを掛け合わせ「ZYXer」としました。製品特性を表す、わかりやすい名前を付けられたと自負しています。

日常のシーンと産業用ロボットの
意外な組み合わせで興味を喚起

加藤 ロボットが手のひらの上の豆腐を切るというビジュアルを広告で展開したきっかけをお聞かせください。

山本 鋳造業を祖業とする弊社において、力覚センサーは新規の事業となります。市場にも新規参入となるので、認知度を上げるため、日経ものづくりに2021年7月号から2回連続で広告を出稿しました。ロボットに取り付けて使用する力覚センサーは単体で見せてもよくわからないため、そのときの広告では力覚センサーを装着したロボットが「遊星歯車の位相合わせ」や「バリ取り」を行っているビジュアルを使用しました。読者アンケートの評価はよかったのですが、正直なところ「ロボットの印象が強すぎて、商品をきちんとアピールできていないのではないか」とずっと気になっていました。そこで、2022年に広告を見直すタイミングで、ビジュアルを一新。もっと遊び心やインパクトが欲しいと考え、試行錯誤しながら生み出したのが、「ロボットが豆腐を切る」というビジュアルです。

加藤 私たちにとって身近な豆腐を、産業用ロボットが切るという意外性のあるシチュエーションで読者の目を引くことに成功していると思います。他にもアイデアの候補はありましたか。

山本 はい。制作チームでブレストした結果、ロボットが大根やりんごの皮をむくとか、直方体のブロックを組んで作ったタワーから一片を抜き取り、最上段に積み上げていく「ジェンガ」をするとか、豆をつまむといったアイデアがいくつも出ました。それらを検討してみたところ、力覚センサーでなくてもできる、あるいは力覚センサーではできないといったものが多かった中で、一番シンプルでありながら面白く、かつ力覚センサーの特徴である「繊細な力加減」を的確に伝えられるという観点から豆腐バージョンを採用しました。

加藤 今回の広告は、最初の工業的な広告と比べると、かなりジャンプアップしているように思います。ここには、どのような思いが込められているのですか。

武田 弊社は、2034年10月で創業100周年を迎えます。その未来のビジョンにある「人々の豊かな暮らし」「産業」「ものづくり」といったキーワードをお客様にどう伝えていくかということが課題となっています。豆腐を切るという日常のシーンを確かなものづくりによる機械が支えることを表現した今回の広告には、それらのメッセージが隠されており、新東工業が進むべき方向性を表しています。

加藤 確かに、インパクトだけを狙ったものではなく、様々なメッセージが伝わってきます。例えば、熟練の職人しかできない作業も力覚センサーなら可能なことがよくわかりますね。

武田 単純作業でものをつくることにおいて、日本は自動化の先頭を走ってきた国だと思います。それだけに、少子高齢化によるものづくり企業の人手不足は深刻な問題です。職人の技術を継承する人間がいない中で、それをどう残していくのか。「ZYXer」であれば、熟練工の技を自動化し、再現することができる。社会的な課題解決と企業の持続性を両立する製品なのですが、そのことが広告から伝わっているとしたら嬉しいですね。

多くを物語るビジュアル表現が
一つの有効な営業ツールに

加藤 今回、広告を展開するにあたり、掲載メディアとして日経ものづくりを選んだ理由を教えてください。

山本 新聞広告や雑誌広告の場合、広告に対する読者の評価がわからないことが多い中で、読者アンケートの結果を毎月報告していただけることが理由の一つです。これにより、広告のランキングや読者の反応を知ることができ、改善につなげていくことができます。また、用途が幅広い「ZYXer」はターゲットを絞りにくい商材のため、ものづくり全般に携わる方にアプローチできる日経ものづくりが掲載メディアとしてふさわしいと考えたことがもう一つの理由です。

加藤 社外からはどのような反応がありましたか。

山本 読者アンケートでは、おほめの言葉を多数いただきました。特に、「どのようなことができるのかよくわかる」「さらに詳しく知りたい」という回答が多かったので、力覚センサーや弊社の認知度を上げるという目的は達成できたと思っています。力覚センサーはシンプルな形状ですから、一目見ただけでは何をするものかわかりにくい製品です。それをどうやって周知するかという難しいところを、広告に頼ることができました。

武田 営業に携わっている私としては、「よくぞ企画部門がこの広告を制作してくれた」という思いが強いですね。営業マンが「ZYXer」をセールスする場合、その性能をお客様にPRする際に、様々なデータに基づいて説明し、納得してもらう必要があります。その点、この広告を用いれば、お客様にお見せするだけで多くのことをお伝えできる。一つの有効な営業ツールにもなります。

加藤 Marketing Awardsでグランプリを受賞した感想をお聞かせください。

武田 今回の受賞でこれまで賞を獲得されてきた企業の仲間入りができ、非常に光栄です。審査委員の皆様に感謝を申し上げるとともに、弊社の制作チームにも感謝したいと思います。グランプリ受賞により、力覚センサーという新たなものづくりの中で、「ZYXer」とともに新東工業の知名度が上がっていくことは間違いなく、とてもありがたく感じます。競争社会において、汎用性の高い「ZYXer」を様々な業界でセールスする場合、強力な「ツール」が必要になります。グランプリをいただいたこの広告は、まさにそのツールになると考えています。

コロナ禍で「伝える方法」が変化
今後はデジタルの活用も視野に

加藤 雅浩

加藤 雅浩
日経BP
技術コンテンツユニット
編集委員

加藤 今後はどのようなマーケティング活動を進めていきますか。

武田 コロナ禍によって「伝える方法」が変化したと感じています。これまでの営業は、対面で、お客様の表情を見つつ、タイミングを見計らってという手法が基本でしたが、不測の事態が次々と起こる今、それだけでは不十分なことを痛感しています。加えて、ものづくりの現場だけでなく、人手不足は営業部門も同じです。今回のグランプリ受賞で認識したことは、広告は伝える手段の一つとなるものであり、営業としては活用しない手はないということです。今後は、DXを推進し、デジタルを生かした情報発信にも力を入れる必要があると考えています。

加藤 日経ものづくりをはじめ、日経BPに期待することをお聞かせください。

兒玉 世の中の価値観が変わる中で、お客様に対するコミュニケーションの形も、アナログからデジタルへと変化しています。広告に関しても、読者が紙媒体をめくりながら目に留めることを想定して制作されたものから、昨今では動画を駆使した映画のようなストーリー性のあるものまで、表現が多様化しています。そうした中で、媒体としての質を保っている日経BPには、これからも媒体の本質である読み手にきちんとメッセージを届けることを大切に続けていただき、読後に心が豊かになったり、知識が得られたりとプラスになる情報発信を期待しています。

※所属・肩書はインタビュー時点

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