




アフリカの食料自給率の低さは、放っておくと今後世界全体にも悪影響を及ぼす恐れがあります。食料不足です。
現在、若年者の人口が圧倒的に多いアフリカが、21世紀の世界人口の増加の相当数を占めると言われています。2012年10億人(出典:国連, "World Population Prospects")のアフリカ人口が2050年には17億5000万人(出典:国連, "World Population Prospects")、22世紀までには36億人(出典:国連, "World Population Prospects")に達するという予測もあります。
では、この増大し続けるアフリカの胃袋を誰が満たすのか?
このままアフリカが大陸内で主食を生産できないと、深刻な食料不足につながる恐れもあります。
また、穀類には主食としての機能と同時に食肉用の餌としての需要、そして近年ではバイオエタノールの生産にトウモロコシなどが使われるなどバイオ燃料の原料としての需要もあります。途上国で肉食需要が増えると必然的に穀類の全体消費も増えます。すると、ますます世界的には穀類の需給が逼迫するという事態が起きえます。
穀類不足、主食不足を防ぐには、アフリカが一刻も早く農業革命を起こし、主食の大量生産体制を確立する必要があります。
では、アフリカの主食の自給率を高めるにはどうすればいいのでしょうか?
アフリカには、耕作可能な土地がたくさん余っています。ところが、すでに耕作地となっているところも含め、アフリカの多くの地域の農業では、農業機械が導入されておらず、価格が高いために化学肥料も使用されていません。
痩せた土地を大して耕すこともなく、作物を植えて収穫すると、数年で土地の栄養分はなくなり、耕作不能な場所になってしまいます。

私が今回取材したモザンビークでも、手作業で土地を耕し、種をばらまき、数年で土地がダメになり、それを放棄して、別の土地でまた同じことを繰り返す、という、焼き畑式的な農業が未だに多いという話を、聞きました。
こんな前近代的な農業を繰り返す限り、アフリカの農業は前に進みません。主食の自給率も向上しません。
そこで日本をはじめとする農業先進国の出番です。
アフリカでは今、各国がしのぎを削って、それぞれの得意技を活かし、農業の発展に協力しています。
アメリカは、遺伝子工学を応用した品種改良技術分野で圧倒的な力を持っています。アフリカの大地にマッチした品種を導入し、単位面積当たりの収量を増やしていこう、と行動を起こしています。
中国は、自らもつい最近まで途上国として各国からインフラ整備や農業支援を受け、各種作物について品種改良などを進めることで、条件が悪かった内陸部をも活用して巨大農業を発達させてきたばかりです。
では、日本はどんな強みを活かせばいいのでしょうか?
2つあります。
ひとつはきめ細かな農業技術です。限られた面積の土地で、より効率的により品質の高い作物を育てる技術を蓄積してきた日本。その農業技術はアフリカの農業の質を根本から変える力を持っています。継続的な農業技術の移転が、日本ならではの国際協力です。
もうひとつは、農業と物流開発などを組み合わせた、地域一体型のプロジェクトマネジメントの遂行力です。
第1章でも紹介した、モザンビーク北部で実施されているナカラ経済回廊プロジェクト。これはインド洋に面した歴史ある港、ナカラの港湾設備を改善し、道路や鉄道を整備して、北部の中心都市ナンプラを抜け、隣国のマラウィまでつなげる国際的な物流ネットワークをつくり、地域の経済をまるごと成長させようというプロジェクトです。

このナカラ経済回廊プロジェクトには、物流インフラの整備だけでなく、地域の小規模農家の生産性を一気に向上させ、大規模な商業的農業の導入も促す可能性を秘めています。
それが後に詳しく紹介する「プロサバンナ事業」です。
かつて日本の国際協力で、荒地を大耕作地帯に変え、今や世界有数の穀物輸出国に成長したブラジルと日本とがタッグを組み、モザンビークの大地にトウモロコシや大豆の穀倉地帯をつくろうという壮大な計画です。
ナカラ回廊という物流インフラの整備と相まって、こちらで生産した主食作物は、効率よくモザンビーク国内の胃袋を満たすことができるようになります。近い将来は、モザンビークを穀物輸出国とすることも夢ではなくなります。
このように複合的なプロジェクトを一体運営するのは、日本のお家芸です。
農業技術の移転と、農業と物流をセットで整備する回廊プロジェクト。日本の国際協力の現場を歩きながら、アフリカの農業の今と未来を取材しました。
レポートをご覧ください。