それでは具体的に、現在のランサムウエア攻撃はどのように行われるのか、実際の事例を基に見ていこう。
あるケースでは、はじめに攻撃者がVPNの脆弱性を起点にして一部のサーバーとPC端末に侵入した。そこから徐々に侵害を広げてアカウント情報などを窃取。上位権限を用いて、全社で利用しているクラウドサービス「Microsoft 365」に不正アクセスし、大量の重要情報を盗み出したという。
「この事例では攻撃者に狙われるポイントが大きく3つありました」と大元氏は言う。1つ目は、外部と組織内の出入り口に当たるVPNゲートウエイだ。本来は外部からの侵入を防ぐはずのVPNだが、脆弱性が残っていると攻撃者に悪用されてしまう。
このリスクは、「Netskope ZTNA NEXT L7」(以下、ZTNA NEXT)をはじめとするNetskopeソリューションを利用することで回避できるという。ZTNA NEXTは、ゼロトラストモデルのセキュリティー対策をクラウドサービスとして提供するソリューション。従来のVPN機器の代替として導入すれば、セキュアなゼロトラストネットワークを構築できる。
「ZTNA NEXTは、外部から組織内へアクセスする通信をすべて拒否することが可能です。脆弱性が発見された場合も自動的にバージョンアップするため放置されることはありません」と大元氏は紹介する。
狙われるポイントの2つ目が、ADサーバーにおいて侵害検知に必要なログが取得されていないことだ。サーバーの増強が必要になるため、十分なログを取得していない企業は多い。その点ZTNA NEXTを使えば、ADに依存しない認証形式にすることが可能だ。万一、脅威の組織内への侵入を許しても、認証形式を切り替えることで被害を極小化できるという。
そして3つ目は、Microsoft 365の特性によるものだ。ログインURLが世界共通なため不正アクセスのターゲットになりやすい。また、組織の情報が大量に蓄積されていることも狙われる理由になる。
この点については、脅威の遠隔操作に用いられるC2通信をブロックする方法を用意している。脅威の侵入を許し、認証情報が窃取されてダークウェブに公開されてしまった場合も、それを検知する。ダークウェブ上のID・パスワードとNetskope上のIDを突合することで、速やかに該当者をリストアップできるという。
「侵入される前提の対策ももちろん重要ですが、コスト効率を考えると、改めて入口対策を強化することが先決です。対策が手薄になりがちなクラウド領域を含めて、脅威に水際で防ぐ仕組みを確立することが、現在のランサムウエア対策における最優先事項です」と大元氏は強調する(図1)。