既に多くの企業では、インターネットとの境界に設置したファイアウオールやIPS(不正侵入防止システム)、エンドポイントに配布したアンチウイルスなど、様々なセキュリティー製品が導入されているはずだ。しかし、そこで行われてきたのは、あくまでも個別領域におけるインシデントの予兆検知にすぎないと笠原氏は指摘する。
「DX推進やリモートワークの拡大などに伴いITインフラは複雑化しており、そのぶんセキュリティー脅威はさらに複雑性を増しています。個別領域で発生した単体のアラートだけを見ても、水面下で進行しているサイバー攻撃の中身まではとらえきれません。個々の事象は、それほどクリティカルな兆候ではないと見過ごされてしまう可能性があります。個別領域で発生している小さな事象を丁寧につなぎ合わせ、従前よりも一段高い視点から一連の流れをコンテキスト(文脈)としてとらえ直すことが重要です」
こうした課題の解消に向け、チェック・ポイントが提供するのが統合セキュリティー基盤「Infinity Platform」だ。
「AIと自動化機能を駆使することで、インシデントの予兆検知から封じ込めに費やしていた応答時間を数日から数分程度に短縮します。その上で攻撃者の動きを突き止め、脅威を根治するためのインシデントの全体像把握と対処につなげていきます」と笠原氏は訴求する。
Infinity Platformは、具体的には下記のような一連の5つのプロセスをサポートする(図1)。
1.ゼロトラスト…大前提となるのは、エンドポイントやモバイルアクセス、ネットワーク、クラウドに対するゼロトラストの考え方に基づいたセキュリティーである。信用を得たユーザーが、許可された部分だけをアクセス可能とすることで、アタックサーフェス(攻撃対象領域)を可能な限り狭めておく。
2.予防・防止…次が不正侵入の予防・防止措置だ。ネットワークセキュリティーやSASE、Eメールセキュリティーがここに該当する。フィッシングメールが受信ボックスに届く前に隔離したり、脅威のマルウエアをダウンロードする通信を阻止することを指す。これによりインシデント件数を減らし、貴重なセキュリティー人材の時間と作業をほかに集中させることが可能になる。
3.検知&対応(部分)…予防・防止措置を行ったとしても、あらゆる脅威を100%の精度で排除できるわけではなく、2~5%の確率で不正侵入を許してしまう可能性がある。その意味でセキュリティー対策は、侵入を前提として組み立てておくことが肝要だ。EDRはここで大きな役割を果たす。攻撃者の活動を一時的に食い止め、時間を稼ぐことが可能となる。
4.検知&対応(全体)…生み出された猶予を生かし、インシデントの全体像を把握していくことも大事だ。ネットワークセキュリティーで侵入を防止した場合には、攻撃経路やユーザー・デバイスなど関連した領域からログを集めて分析することで、組織内のアセット全体に迅速に脅威対策を共有・設定することも大事だ。
5.脅威ハンティング…この分析結果に基づいてインシデントが発生している領域を特定し、脅威の根治に向けた対処を実施。さらにSOCやCSIRTといった組織とも連携し、隠れた脅威を見逃すことがないよう徹底した脅威ハンティングを行う。
なお、こうした統合セキュリティー基盤を構築するにあたり、すべてのセキュリティー対策を、チェック・ポイントのソリューションで統一しなければならないわけではない。
「エンドポイントやモバイル、ネットワーク、クラウド、データなど、あらゆる領域にセンサーを配置。他社製品を含めた既存のセキュリティー対策ソリューションからログを収集して相関分析を行い、脅威の早期検出やインシデント全体像把握につなげられることが、Infinity Platformの特徴です」と笠原氏は語る。